シンガポール・東南アジアで事業、在住、駐在する方におすすめの本一覧・リスト。

とは、著者がその知見やノウハウを惜しみなく発揮する知の結晶

何か新しい事業を行う場合や、新しい場所に赴く際に、先人の知恵を学ぶことが出来る、素晴らしい宝庫です。

当記事では、シンガポール、東南アジアに在住する方、事業を起こしたり、駐在でビジネスをする方にとって有益だと思う書籍の数々を紹介したいと思います。

(本の画像をクリックしていただくと、Amazon のサイトへ移動します。)

目次

シンガポール・東南アジアビジネスの本

アジア新興国マーケティング(成川哲次氏)

自社の製品・サービスが本当に受け入れられるか?

海外進出にあたりまずはじめに考えることは、こんなことではないでしょうか。

海外進出の前に必ず行うべきことは、進出候補国のマーケティング・リサーチです。

進出に向けて、そもそもその国に製品・サービスの需要があるのかどのような戦略で進出すべきか、その情報を集めることが、進出の成否を左右する最も大事なファーストステップです。

特にASEAN新興国へのマーケティング・リサーチにあたり参考になる参考書籍が、

アジア新興国マーケティングーなぜ日本企業はアジアで苦戦するのか?

本書の著者は、マーケットリサーチ会社を経営する成川哲次氏。中国や東南アジアで豊富な実地調査の経験があるとのこと。実際本書では、ご自身の経験に裏打ちされたアジア新興国マーケティングの成功例をもとに、それぞれの国の最新事情と調査、分析のノウハウが数多く紹介されています。

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アジアのビジネスモデル 新たな世界標準(村山宏氏)

事業領域によっては、昭和・平成の時代に栄華を誇った日本企業でも太刀打ちができないアジア企業が数多く出現しています。

例えば半導体産業において、自社ブランドを持たずに他のグローバル企業の半導体製造を一手に引き受けるファウンドリー・モデルを確立し、今や世界一の技術力、規模を誇る台湾のTSMCなどの例があります。

このような勢いのあるアジア企業は、どのような歴史的な変遷を経て、そしてどのような事業戦略をもって日本企業を凌ぐところまで拡大できたのか。

このような疑問に応えてくれるのが、「アジアのビジネスモデル 新たな世界標準」。

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東南アジア スタートアップ大躍進の秘密(中野貴司氏、鈴木淳氏)

近年、東南アジアの経済は活況を増しており、特に数多くのテック系スタートアップが誕生しています。

実際、企業価値が10億ドル以上を有するいわゆるユニコーン企業の数は、日本の14社に対してシンガポール18社インドネシア11社と同水準となっています。

このような勢いのある東南アジア・スタートアップ事情を理解するのに最適な本が、「東南アジア スタートアップ大躍進の秘密」。

本書の著者は、日本経済新聞社のシンガポール・マレーシア支局長を兼務する中野貴司氏、前ジャカルタ支局長の鈴木淳氏。(執筆時当時)

日本経済新聞という経済メディア最高峰の、しかも東南アジアに実際駐在していた各国に詳しい記者による現地のスタートアップ事情の紹介であり、非常に洞察に富んだものとなっています。

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デジタル・フロンティア(坂田幸樹氏)

本書において「デジタル・フロンティア」とは、米国でも中国でもない「東南アジア」。

日本が学ぶべきは米国・中国などのデジタル先進国ではなく、「東南アジア」であると主張します。

著者は、日本を代表する経営戦略コンサルティングファームの経営共創基盤パートナーで同社シンガポール法人のCEOである坂田幸樹氏。

東南アジアの最新ビジネス、DXの事例に詳しいです。

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ジャパニーズ・ディスカウントからの回復-日本企業再生の処方箋(野澤英貴氏)

近年、日本経済の地盤沈下が止まらず、「ジャパニーズ・ディスカウント」の状況に陥っていると警鐘を鳴らします。このジャパニーズ・ディスカウントに適切に対処して、解消することが日本企業復活につながると主張します。

本書では日本企業(日立製作所、ソニーグループ)や外資ベストプラクティス企業(シーメンス、シュナイダー)の企業分析なども交え、具体的なジャパニーズディスカウントの解消手順を示します。

著者は、デロイトコンサルティングの執行役員パートナー野澤英貴氏、コンサルタントとしてかかわったグローバル企業への豊富な経営支援を通じて培った知見・経験を下に本書をまとめています。

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新アジアビジネス グローバルアントレプレナーの教科書(松島大輔氏)

新興アジアにおけるビジネスで成功するためにはどうすべきか

この問いに対する有益な示唆を与えてくれるのが、「新アジアビジネス グローバルアントレプレナーの教科書」。

本書はまさしく「教科書」といえる内容の、海外、特にアジア新興国でビジネスをするにあたっての具体的な方法論を詳述した指南書あると同時に、海外で一旗揚げたいビジネスマンや学生のモチベーションを鼓舞する、自己啓発的な内容もふんだんに含まれています。

筆者である松島大輔氏は、1998年に経済産業省入省後10年以上インド・デリー、タイ・バンコクに駐在しており、官僚という立場で政策案件や現地産官学の交流、1000社以上の新興アジアビジネスを支援。現在は長崎大学の教授として若者や地方の海外進出をあと押しされています。

まさしく、現場で培ったノウハウをまとめた教科書といえそうです。

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チャイナ・アセアンの衝撃(逸見伸弘氏)

アセアン各国における中国のプレゼンスは凄まじい勢いで増大しています。アセアンで一体何が起きているか、それを明快に解説してくれる本が「チャイナ・アセアンの衝撃」です。

著者は、戦略コンサルティング会社のデロイト・トーマツコンサルティングのディレクター邉見伸弘氏。さすがコンサルタントということで、豊富なエビデンス分析資料を元に説得力ある主張が展開されています。

本書での一貫した主張は「情報の重要性」。ASEANの現状を理解し、適切な企業戦略を立てるためにも、豊富な事例と分析を盛り込んだ情報が満載の本書は必読の書です。

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アジア経済とは何か 躍進のダイナミズムと日本の活路(後藤健太氏)

アジアにおける日本のプレゼンス低下に歯止めがかかりません。

その一方で、東南アジア諸国の経済も急速に発展しており、今まで「発展途上国」として見てきた国々と日本企業が競争関係となる時代に突入しています。

このような難しい時代において日本企業がどのような戦略を取るべきかについて示唆を与えてくれるのが、本書「アジア経済とは何か 躍進のダイナミズムと日本の活路」です。

著者は、関西大学経済学部教授やアジア太平洋研究所の主席研究員の任にある後藤健太氏。

著者の豊富な海外事業経験及び研究職としての知識により、本書は具体例を豊富に紹介しながらもアカデミックな内容となっています。

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アジア資本主義(小平龍四郎氏)

ここ20年のアジアの経済発展は、目を瞠るものであることは疑いようもありません。

アジアはいかにして急速に経済発展できたか、そして今後も成長を続けて行くことができるのか。

この問いを考えるにあたり考慮すべき重要なポイントが、アジアの独特な経済イデオロギーです。

東南アジアの経済イデオロギーは、ベトナムの社会主義(的資本主義)や、シンガポールの一党独裁的資本主義インドネシアやタイなどの財閥経済など、資本主義を基調としながらも、個性の強い様々な国から成立しています。

このアジアの経済イデオロギーを理解するのに非常に有益な経済書が、「アジア資本主義 危機から浮上する新しい経済」です。

著者の小平龍四郎氏は、日本経済新聞編集委員で、経済・金融に関する多くの著書を発表されています。

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小さな会社が世界で稼ぐ(佐々木隆彦氏)

生産性が上がらず、利益率が高まらない状況に陥っている中小企業は少なくないのではないでしょうか。

そこには構造的な理由があり、今後、中小企業が飛躍するためには解消すべき状況であるといえます。

この点について示唆を与えてくれるのが「小さな会社が世界で稼ぐ」という本です。

著者は日本の中小企業の海外事業展開支援をコンサルタントである佐々木隆彦氏。

著者の語る「中小企業が海外で成功する」エッセンスは、年の経験から導出されたものであり非常に説得力があります。

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海外で結果を出す人は異文化を言い訳にしない(高橋亨氏)

毎年多くの会社が社員を海外に駐在させ、海外市場の攻略に挑みます。

海外に赴任した社員の中では、目覚ましい成果を出す人もいれば、めぼしい成果もなく帰任となってしまう人もいます。

このような、「海外で結果を出せる人とそうでない人の違い」は何に原因があるのか?

これはすべての駐在員に興味深い論点ではないでしょうか。

この問いにヒントを与えてくれるのが、「海外で結果を出す人は「異文化」を言い訳にしない」。

著者の高橋亨氏は、イランとベルギーでの合計11年に及ぶ駐在を経験し、その後グロービズのビジネススクールで戦略立案、講師等を努めています。

本書では、自身の海外での経験が、ビジネススクール流に体系化されており、これから海外に駐在する人、既に駐在している人にとって有益な内容となっています。

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日の丸コンテナ会社ONEはなぜ成功したのか?(幡野武彦氏、松田琢磨氏)

シンガポールの港で一際目立つ「真っピンク」のコンテナ船。シンガポール在住者は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

このピンクのコンテナ船、実は日本トップ3の海運会社である日本郵船、商船三井、川崎汽船がシンガポールを本社として合弁で設立したコンテナ輸送会社「ONE(Ocean Network Express)」が運航するもの。

ONEは2017年設立ですが、2022年3月期には出資元の海運3社に 2兆円を超える利益をもたらし株価の爆上げに貢献したことで、注目の的となっています。

日本の伝統的な企業による合弁会社の設立は、半導体や液晶、家電など過去にも例がありましたが、どれも上手く行かなかったという歴史があります。

その一方で、この海運会社ONEは日本の大企業による合弁でありながら歴史的な成功を収めるということで、非常に興味深いケースです。

このONEの成功の秘訣について紐解いたのが2023年2月に日経PBから出版された「日の丸コンテナ会社 ONEはなぜ成功したのか?

著者は、日本海事新聞編集局長の幡野武彦氏、拓殖大学商学部教授松田琢磨氏の共著であり、ONE創立時の中心人物のインタビューや世界のコンテナ船業界の変遷を元に、ONE成功の軌跡をたどります。

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マネーロンダリング関連本3選

海外で事業を行う場合に注意しなければいけないことの一つに「マネーロンダリング」があります。

マネーロンダリングとは、違法に稼得した資金を出処不明なものにして、合法資金に洗浄する行為をいいます。

マネーロンダリングはもちろん犯罪であり、自分自身が行っていなくても、知らないうちに他者のマネーロンダリングの一部を担っていたなんてこともあり得るため、海外でビジネスを行う際には、マネーロンダリングに対する知識が必須です。

当記事ではそんな「マネーロンダリング」の理解が深まるマネーロンダリング関連本を三冊紹介します。

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シンガポール経済に関する本

イノベーション大国ー次世代への布石(日経BP)

イノベーション大国―次世代への布石」は2017年に日系BP総合研究所から出版されたビジネス書で、シンガポールで事業展開する大企業16社へのインビューより、シンガポールの事業環境や戦略について考察するという形式となっています。

三菱重工やNEC、パナソニック、コニカミノルタなど日本を代表する一流企業のシンガポールにおける最先端ビジネスについて取りあげられており、非常に興味深いものとなっています。

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シンガポール 賢い国家・賢い都市(ケント・カルダー氏)

1965年創立された新興国であるシンガポールの国土面積は東京23区程度であり、いわずもがな天然資源に乏しい上、中国を筆頭に、インド、インドネシアなど大国に囲まれた極小国であるのにもかかわらず、なぜ世界一となるまで国際競争力を高めることができたのか、非常に興味深いところであります。

ジョンズ・ホプキンス大学教授アジア研究者のケント・カルダー氏による著書「シンガポール 賢い国家・賢い都市」では、シンガポールの強さの秘密に迫ることができます。

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シンガポール発展の理由 シンガポールは世界で最も経済的に成功している国の一つと言えます。たとえば、以下のランキングに見て取ることができます。 世界競争力報告(世界経済フォーラムWEF) ランキング世界1位(2019年度、前年は2位)。「[…]

リー・クアンユー世界を語る(グラハム・アリソン他)

シンガポールは1965年に創立された若い国家でもかかわらず、すでに世界有数の先進国にまで発展した奇跡のような国です。

この軌跡をおこした中心人物がシンガポールの建国者リー・クアンユー

日本における徳川の太平250年が、家康の遺訓を元に運営されていた例を挙げるまでもなく、偉大な建国者の思想はその国の根幹を成します。

リー・クアンユーは2015年に91歳で没するまでシンガポールに多大な影響を与えましたが、2021年現在でも没後10年と経っておらず、リークアンユーの思想が国家方針に重んじられてることは想像に難しくありません。

2013年に出版されたリー・クアンユーのインタビュー集「リー・クアンユー世界を語る」(著者:グラハム・アリソン他)は、リー・クアンユーの「国家のあり方に対する考え」「移民政策」「人間観」について知ることができます。

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シンガポール・東南アジアの文化・社会に関する本

シンガポールの光と影(盛田茂氏)

シンガポールは、奇跡的な経済発展を成し遂げた国として世界に名高いです。

輝かしい経済的な成果をもたらしているシンガポールですが、全てが順風満帆と言えるのでしょうか。

どんな成功も、その裏には副作用、負の側面があるもの。

シンガポールの光と影:この国の映画監督たち」はシンガポールの映画史と現代の映画作品を通じて、シンガポールの社会問題を鋭くあぶり出す事に成功した書となっています。著者は、芸術学博士の盛田茂氏。

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砂戦争(石弘之氏)

」の社会学に特化した本書「砂戦争」を読めば、世界の砂事情に詳しくなります。

特にシンガポールは世界最大の砂輸入国で、21のインドネシアの島を消失させているほど。

本書を読むことで経済発展で世界の注目を浴びるシンガポールの違った側面を垣間見ることができます。

著書は、朝日新聞記者から国連組織、東大などの教授歴任、ザンビア特命全権大使などを努めた石弘之氏。

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「シンガポール湾岸地域の埋め立てで、インドネシアの島ひとつが消滅した。」 これは、シンガポールに住んでいると必ず1度は聞く都市伝説 ? ではないでしょうか。 実際のところどうなのか、この疑問に応えてくれるのが、角川新書「砂戦争[…]

教育大国シンガポール 日本は何を学べるか(中野円佳氏)

シンガポール人の学力は、国際的なランキングで常に上位に位置しており、その成功について、各国の教育関係者から注目を集めています。

一方、このような教育制度の成功の裏では様々な問題を生じさせている点も近年クローズアップされるようになってきています。

このようなシンガポールの教育制度とその実践、さらには問題点について活写し、ひいては日本の教育制度に対する示唆を与えるのが、『教育大国シンガポール 日本は何を学べるか』。

著者の中野円佳氏はもともと日本経済新聞社の記者でしたがその後大学院に入学、修士論文「育休世代のジレンマー女性活用はなぜ失敗するのか?」を出版、ジャーナリスト、社会学研究者という2つの専門性を有しており、シンガポールに5年間、母親として滞在しシンガポールの教育環境を実体験されています。

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プラナカン 東南アジアを動かす謎の民(大田泰彦氏)

シンガポールの政治経済、文化に深く溶け込んでいる民族に「プラナカン」があります。

「プラナカン」とは、マレー語で「その土地で生まれた子」という意味であり、華人とマレー人の混血子孫、または混血ではなくても土着の風習に適応した華僑も含むとされます。

現代のプラナカンは、見た目は華人とほとんど変わらないため、一見してプラナカンかどうかを見分けるのは難しいです。

プラナカンは、シンガポールやマラッカ、ペナンにおける美しい文化的建造物や装飾品以外ではあまり語られることがないのですが、シンガポールの建国から現在に至るまで陰に陽に多大な影響を及ぼしています。

プラナカンの過去から現在、文化から経済まで網羅的に理解するのにとても参考になる本が、「プラナカン 東南アジアを動かす謎の民」。

2018年に上梓された本書は、シンガポールに駐在されていた日経新聞の記者である大田泰彦氏。

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日本人が誤解している東南アジア近現代史(川島博之氏)

東南アジアの歴史について楽しく学べるのが、「日本人が誤解している東南アジア近現代史」。

著者である川島博之氏は、開発経済学者であり、以前は東京大学で准教授の職にあった研究者。現在はベトナムのビングループ主席経済顧問などに就いており、学問、実務の両面から東南アジアに精通した方です。

本書は、東南アジア各国の近現代史を概略し、特に日本人が誤解している点について解説しています。

東南アジアの歴史的文脈を理解し、アジア各国で事業をする際に正しい振る舞い、正しい事業戦略の立案する上で知っておかなければならない点について考えさせられます。

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東南アジアでビジネスを行うための成功の秘訣はなんだろう? これは、東南アジアで事業を行うすべての日本人が気になる点かと思います。 今回は、「日本人が誤解している東南アジア近現代史」を参考に、東南アジアで事業を成功させるために意識しなければ[…]

異文化理解(青木保氏)

海外での事業成功には、その国の文化を理解することが重要です。

相手の文化的な背景、習慣を理解しないでビジネスをしても相手を怒らせるだけだし、逆に外国人が自国文化を尊重していることを感じれば、好意をもって接してくれることには間違いありません。

本書「異文化理解」は、異文化理解のためのヒントになるようなポイントが満載です。著者は元文化庁長官、大阪大学名誉教授といった文化人類学の大家である青木保氏。

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ディアスポラという言葉があります。これは、自国文化、異文化にとらわれない活動をする人のあり方を言います。 以前の記事で、異文化理解の方法論について解説しましたが、「ディアスポラ」は、記事の参考文献「異文化理解(著者:青木保)」で出て[…]

日本人が海外で最高の仕事をする方法(糸木公廣氏)

突然、海外赴任をすることになったが、外国人のマネジメントがわからない。成果が出せるか不安。

海外駐在を任命される多くの会社員が考えることではないでしょうか。

海外駐在をする中で、一生懸命頑張っても結果がついてこず、やむなく帰任となる社員の方も少なくないと聞きます。

私も東南アジアの国へ日本の会社から海外赴任した経験がありますが、文化の異なる環境の中でチームワークを醸成し、成果を出すことは本当に難しいと体感しています。

それでは、海外赴任で満足する成果を出すにはどうすればよいか?

この問いに答えてくれる書籍が「日本人が海外で最高の仕事をする方法」。

著者はソニーで9カ国の現地社長などを経験し、現在は海外ビジネス向けコンサルティング事業を経営する糸木公廣氏

本書は、著者の9カ国における海外赴任の回想録となっており、各国での実践と教訓をまとめた内容となっています。

著者の9カ国での経験はまるで映画のような起承転結に富んでおり、最後の2カ国であるベトナム・韓国での活躍はソニー本社から社長賞として表彰されるまでの結果を出しています。

その実行力とその経験を深掘りして抽出した知見は、これから海外赴任する日本人の後進たちに非常に有益な内容であり必読の書です。

さいごに

以上、わたしが読んだ中でブログ記事として取り上げるほどに素晴らしいシンガポール・東南アジアの書籍について紹介しました。

是非、実際に本をお手にとって、素晴らしき知の世界を体験していただきたいと思います。

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