アセアンにおけるエドテックの投資。

6億7千万人の人口を有する東南アジアは、エドテックに関して、世界で最も大きな市場となる潜在性を有しています。

エドテック(EdTech)とは

Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた言葉で、ITをテクノロジーを使って、教育に関するサービスを提供する仕組みをいう。

当記事では、アセアンのエドテック事情について紹介したいと思います。

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近年のアセアンにおけるエドテック

Tech in Asiaに公開されたデータによると、アセアンのエドテック関連の投資は、2019年度に最大の投資件数(38件)を記録し、2020年度にディールバリューが2億2千万USドルを超えるなど、近年盛り上がりを見せています。

(Source: Tech in Asia)

最大の投資先は最先進国のシンガポールで、次にインドネシアが続きます。2021年度では現時点でインドネシアが最大の投資先となっています。

例えばシンガポールでは、2020年にLingoAceというエドテック・ベンチャーがベンチャーキャピタルから13百万USDを調達しています。

LingoAceは、6才から15才の子供に、オンラインで中国語学習を提供するサービス。華僑の多いアセアンにおいては非常に需要のあるサービスとなりそうです。

アセアンのエドテック市場は、今後、所得増加がさらに見込めるインドネシアが最大のエドテック市場となりつつ、優秀なエンジニアの多いベトナム、そして最先端テクノロジーの実験場でありテクノロジー企業の本社拠点としてのシンガポールという立ち位置でアセアンのエドテック市場を牽引していくのではないでしょうか。

エドテック市場参入の際の留意点

アセアンでは、多くの国で所得が急速に向上している一方、公共教育の質があまり高くないという問題があります。(シンガポールを除く。)

そのため、エドテックへのニーズは高いといえますし、また英語の普及率が高いため、英語サービスで多国籍展開も可能です。

一方、アセアンの発展途上国では、先進国にはない特有の困難もあります。

JETROフィリピンのレポートでは、エドテック市場参入の可能性について、以下の点に留意することを記載しています。

(1)不十分な通信環境に対応でき、導入コストが安価
(2)ITリテラシーが低くても簡単に利用できる
(3)導入のデモやカスタマーサポートが充実

確かに、筆者もフィリピン等の会社とウェブ会議をする場合、通信の質がわるくて会話がままならないというケースが多々あります。

また、教育は文化と密接に関わっているため、エドテックベンチャーが海外展開をする際には、その国に対する文化的な理解も欠かせないのではないでしょうか。

今後も東南アジアのエドテック事情についてウォッチしていきたいと思います。

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