東南アジアにおけるデジタル経済を分析したレポートe-Conomy SEA 2020 Reportが公表されました。
このレポートは、戦略コンサルティング会社のベイン&カンパニー、シンガポールの政府系ファンドであるテマセク、そしてGoogleによる共同調査。
Googleの保有するビッグデータ、テマセクとベインによる分析と洞察、さらには専門家へのインタビューにより導かれたデータとなっています。
各分野を代表する組織が協力してたものだけあり、東南アジアにおけるeコマースの現在、そして未来がわかりやすくまとめ上げられた、128ページから構成される大作です。
特に、2020年度の分析はコロナの影響も分析に織り込んでいますが、コロナが東南アジアのeコマースを急速に推し進めていることが見て取れます。
ここではいくつかを紹介したいと思います。
デジタル経済の現状と2025年の予測
東南アジア地域におけるインターネット利用者は、2019年の3億6千万人から4千万人へ増加している。2020年度はコロナ期間中、1日のインターネット利用時間は平均1時間長くなっている。ロックダウの解除後も0.5時間長くなり、平均4.2時間である。
オンライン旅行サービス、トランスポート(移動手段)関係は大きな被害を受けているが、eコマース、オンラインメディア、フード宅配は大きく伸びている。オンラインの流通取引総額は2020年の1000億米ドルから2025年は3倍の3000億米ドルとなる予想である。
2018年をピークに、eコマース分野の資金調達が停滞している。プラットフォーム提供会社は、収益を獲得できるようコアビジネスを整理し始めており、パートナーシップを通じてマーケとのニーズに応えようとしている。特に、デジタル金融分野が次のプラットフォームのあらたな主戦場となっている。
シンガポールは、引き続き東南アジアのデジタル経済をリードする国である。多くのユニコーン企業(eコマースのLazada、フィンテックのSEA Groupなど)が地域統括拠点を置いている。2020年上半期に325の投資案件が実行されており、投資時価総額は250億USDに上る。引き続き、東南アジアのスタートアップ及びフィンテックのハブであると予測される。
ヘルステック、エドテック(Education Techの略で教育とテクノロジーの融合)が今後のフロンティアである。
今後の課題として、昨年(2019年度)の報告書では、「インターネット接続・資金調達・顧客からの信頼・決済機能・ロジスティック・人材」を挙げていたが、その多くが前進している。ただし、人材が今後も課題となるだろう。
UOB銀行の情報をもとにまとめられたこちらも、2020年度のASEAN地域におけるフィンテック事情を分析しています。
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