【シンガポール・居住性の判定・恒久的施設(PE)】コロナ下における判断基準。

Covid-19の影響で渡航ができなくなり、通常はシンガポールにおいて取締役会を開催していたにも関わらず、今年は日本からビデオ会議で実施した会社も少なくないのではないでしょうか。

この場合、シンガポール法人の居住性が問題となります。

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また、渡航ができずに想定外にシンガポールに留まっている方も多いのではないでしょうか。

この場合は、シンガポールにおける恒久的施設(PE)の論点が問題となります。

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シンガポール税務当局(IRAS)より、コロナ下における会社居住性及び恒久的施設(PE)の判断に関する取扱いが公表されているため、紹介します。

 

コロナ下における会社の居住性はどうなる?

シンガポールで会社を経営する場合、その居住性が重要となります。

居住法人であれば、各種免税制度や租税条約の適用、外国税額控除が利用できるためです。

シンガポールの居住性は、「事業の支配と経営が行われている場所」で判断され、「取締役会」の開催がシンガポールで行われているかが重要な基準となります。

ところが本年度はコロナの影響で渡航制限がかかり、取締役会をシンガポールで開催できない企業が多いことが想定されます。

そこで、シンガポール税務当局(IRAS)は、特例として以下の状況を満たす場合は、取締役会がシンガポール国内で行われていない場合でも、シンガポール法人を「居住法人」とみなすこととしました。

・2020賦課年度において、シンガポール居住法人である

・経済的状況(economic circumstances)(*)に変更がない

・取締役はシンガポール外開催された、または電子的手段(ビデオ会議・テレビ会議)によっておこなわれた取締役会に出席している

経済的状況(economic circumstances)

経済的な状況は以下のような項目を含む概念です。

・会社の主要な活動及びビジネスモデル

・事業の性質(nature of the business operations)及びシンガポールその他の地域での事業活動

シンガポール法人の居住性を証明するため、必要な関連書類及び記録(例えば、役員が特定の場所から参加したことを記載した取締役会議事録等)を保管し、シンガポール税務当局(IRAS)の求めに応じて提出できることが必要です。

 

コロナ下における恒久的施設(PE)の判断はどうなる?

ある国において支店や工場など収益活動の実態がある場合、その国から生じる所得については課税対象となります。

国際税務において、この収益活動の実態は「恒久的施設(PE)」と呼ばれ、恒久的施設(PE)がある場合は、その国を源泉とする所得について課税対象となります。

恒久的施設(Permanent Establishment: PE)

事業を行なう一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所。支店や事務所、工場や代理人などが含まれ、その詳細は租税条約に定義されている(租税条約適用国以外ではその国の内国法によるものとする)。

今年のコロナの影響でシンガポール国内に留まらざるを得ない従業員がいる会社もあると思います。

恒久的施設(PE)は、工場や支店など物理的な支店以外にかぎらず、企業に代わって行動するような「代理人」の存在も恒久的施設(PE)と認定されることから、国内に滞在した従業員が恒久的施設(PE)と認定されないかが問題となります。

そこで、シンガポール税務当局(IRAS)は、以下の状況を満たす場合は、従業員等の滞在がシンガポールにおける恒久的施設(PE)みなさないことを公表しました。

・2020年賦課年度において、シンガポールに恒久的施設(PE)を有しない

・経済的状況(economic circumstances)(*)に変更がない

・従業員の予期しない滞在は、コロナの影響であり、2020年12月31日までの滞在は一時的なものである

・従業員の予期しない滞在中にシンガポールでおこなった活動は、渡航制限がなければ実施しなかったものである

経済的状況(economic circumstances)

経済的な状況は以下のような項目を含む概念です。

・会社の主要な活動及びビジネスモデル

・事業の性質(nature of the business operations)及びシンガポールその他の地域での事業活動

 

恒久的施設(PE)に該当しないことの証明のため必要な関連書類及び記録を保管し、シンガポール税務当局の求めに応じて提出できる必要があります。

 


当該情報は執筆時時点に公表されている法令・ガイドライン等を参照しています。本記事に記載された制度は、弊法人作成後、法令・条例・通達・税制の変更・改正等により、改廃が行われている可能性があります。従いまして、特定の目的利用及び専門的な判断にあたっては、会計・監査・法務・税務・労務等の専門家にご相談頂くようお願いいたします。本資料に基づいた行為(不行為)につき、一切の責任を負いません。


 

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