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【シンガポール・リート銘柄】Manulife US REIT、最新決算(2022年4Q)。

シンガポールに上場している不動産投資信託(REIT)である Manulife US REIT(SGX:MANU)が、2022年度の決算(1月〜12月の12ヶ月)を公表しました。

Manulife US REITは、米国の西海岸及び東海岸のビジネス都市12のオフィスを保有するオフィスリートです。

2022年度は前年比で8.3%増収も、2022年12月30日にポートフォリオ不動産評価額の10.9%の減少を公表後30%近く暴落しました。

その後2023年1月は多少持ち直すも、2023年2月8日に一株あたり分配金(DPU)の10.3%の下落を発表し、下落に転じています。

(Source: Yahoo finance )

Manulife US REITの概要については、以前記事で紹介しているので、今回は業績のアップデートを中心に見ていきたいと思います。

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一口あたり分配金(DPU)の状況

株価及び配当金というかたちで投資のパフォーマンスに重要な影響を与える一口当たり分配金(DPU: Distribution per unit)は、2022年下期において同期比で2.63USセントから2.36USセントへ10.3%減少という結果でした。

この減少の主な理由として、投資不動産の公正価値の評価損失、金利上昇による財務費用の増加及び物件占有率の低下不動産管理コストの上昇による賃貸収入の減少を挙げています。

リートで想定されるリスクの多くが顕在化している形で、かなり厳しい状況と言えます。

なお、2022年下期の配当は、運転資本及び財務の柔軟性確保とのため前述のDPUのうち9%を留保し2.14USセントとなると公表されています。資金繰りの厳しさが伺えます。

投資資産の状況

2022年度末における物件占有率は88%で、米国の平均的なクラスA不動産の占有率83%から比べて高い物件占有率となっています。

一方、2021年末と比較して、10.9%も公正価値が下落と、投資不動産の評価額が厳しい状況になっています。

とくに大きいのが、ロスアンゼルス(▲33%)、ニュージャージー(▲13%)など。

ロスの物件は、最大のテナントがリニューアル時にダウンサイズすること、また2番目のテナントが2023年末で撤退することを織り込んだ結果です。

財務の状況

米国は歴史的な金利上昇局面であり、負債の利息負担の影響が気になるところです。

この点、負債金利は3.74%で、前期末の2.82%から急上昇、これを受けて利息面における安全性指標のインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)は3.4倍から3.1倍へ低下と、財務指標が悪化しています。

特に「リートの負債÷リート資産」の比率で表すギアリング比率は前期末の42.8% から48.8%へ急上昇しています。これは主に投資不動産の評価額が急減したために負債の比率が上昇したことによるものです。

シンガポールリートは、免税措置など優遇制度を利用するために50%のギアリング比率及び2.5倍のICRを義務付けています。

今後、ギアリング比率やICRを維持するために資産の売却などのリストラクチャリングを迫られるかもしれません。

さいごに

2022年度末時点において、Manulife US REITは投資資産の評価減から一株あたり配当(DPU)が減少し、株価も厳しい状況となっています。

とはいえ、最近の下落で現状顕在化している悪材料はすべて株価に織り込まれており、また投資不動産の評価実務は詳しくないですが、トップ2のテナントに変わる新しい借り手が見つかり、同水準のリース料で契約できれば今後不動産価額の上昇を見込めるかもしれません。

さらにはManulife US REITのスポンサーは巨大保険グループのManulifeであるため、スポンサーによる救済措置があるかもしれません

現状では、利回りは7%程度PBR純資産倍率(株価/純資産)も0.6倍と依然割安水準ですので、Manulife US REITの今後の戦略を注視しながら投資するのはありかもしれません。

ただし、米国のさらなる利上げ、また物件占有率の低迷からくる投資物件の評価減により、ギアリング比率が上昇、追加資金調達が困難になることや物件売却を迫られるリスクも残ります。

引き続き米国の利上げの状況をにらみながら慎重に投資することが求められそうです。


 

なお当記事は、投資を推奨するものではなく、あくまでも参考情報として提供するものです。投資は自己責任となりますので、何卒よろしくお願い致します。

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