シンガポール、インドネシアが牽引。2021年度ASEANのフィンテックの状況。

シンガポールのメガバンクUOB銀行、コンサルティング会社のPwC及びシンガポール・フィンテック協会が2021年度のASEANにおけるフィンテックの状況に関する調査レポート「FinTech in ASEAN 2021」を発表しました。

前回、Google、ベイン、Temasekによる同様の調査報告書「e-Conomy」を紹介しましたが、合わせて読むことでASEANにおけるフィンテックの現状について深く理解できます。

今回も、「FinTech in ASEAN 2021」から主要な項目を紹介したいと思います。

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ASEANのフィンテック投資

ASEANのフィンテックに対する投資は急増、2020年比で3倍の35億米ドルへ。

大型投資(最低1億米ドル)は13件で、ASEANのフィンテック資金調達の半分以上を占める。

(Source: Fintech in ASEAN 2021)

大きな資金調達の大半は決済サービス(Payment)となっている。

ASEANのデジタル決済

現金利用率は依然高いものの、デジタル決済が増加している。オンラインショッピング、フードデリバリー、ライドシェアの成長、また販売店におけるキャッシュレス決済の増加により、デジタル決済サービスが急増している。

調査によると、60%の人が過去3ヶ月にデジタル決済を利用し、うち20%は最もよく使う決済手段だと回答している。

一方で、現金の利用は依然として高く、過去3ヶ月に現金を利用した割合は85%で、38%の人は、最もよく使う決済手段であると回答している。

(Source: Fintech in ASEAN 2021)

牽引するのはシンガポール、インドネシア

成熟した最先端のファイナンス・システム有するシンガポールと、不十分な銀行サービスしか受けていない莫大な人口を有するインドネシアがASEANのフィンテックを牽引していることが、今年のフィンテック資金調達額にあらわれている。

(Source: Fintech in ASEAN 2021)

インドネシアをはじめASEAN市場が成長し、成熟する一方、シンガポールの資金調達・オペレーションハブとしての役割は継続していく。

デジタル・プラットフォーム

コロナパンデミックの間で、多くの人がデジタル・プラットフォームを利用して、投資を開始した。60%の回答社が、デジタル投資プラットフォームを利用すると回答した。

保険についても、オンライン保険が急増している。回答者の半数近くがオンラインで健康保険、生命保険を購入したと回答している。

(Source: Fintech in ASEAN 2021)

デジタル銀行

ASEAN各国でデジタル銀行ライセンスが付与されており、「デジタルだけの銀行」を利用してみたいとする回答者は57%(ベトナムが最多で68%、シンガポールが最低で45%)。シンガポールにおいてデジタル銀行への期待は高くないが、これはすでに伝統的な銀行がデジタルバンキングサービスを提供しており、十分に浸透しているためと考えられる。

多くのフィンテック企業はデジタル銀行を潜在的なパートナーで協業可能と考えている一方、デジタル銀行が成長してASEAN域内へサービス提供をすることで、競合企業へもなりうると考えている。

(Source: Fintech in ASEAN 2021)

さいごに

昨年度の調査報告書と比較しても、今年はフィンテックへの投資が加速したことが見て取れます。来年はますますフィンテック企業が様々サービスをローンチし、生活に浸透していくのではないでしょうか。

ASEANでもますます便利に、シームレスにお金のやりとりができそうで楽しみです。

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