英国のフィンテック・データ会社Findexableが、世界のフィンテックに関するグローバル・ランキング「The Global Fintech Index 2021」を発表しました。
264都市、83ヶ国・地域、11,000社超を調査対象とした当ランキングは、世界のフィンテック・エコシステムを評価したもので、2021年度は2年目の実施となります。
本報告書は103ページに及ぶ膨大なものですが、ここではその一部、シンガポール及び日本に関連するところを簡単に紹介したいと思います。
2020年度のASEANにおけるフィンテック事情を総括したレポート「Fintech in ASEAN」が公表されました。 「Fintech in ASEAN」は、シンガポールのメガバンクUOB銀行、コンサルティング会社PWCとシンガポール[…]
世界一のフィンテック都市は?
今回、世界一のフィンテック都市に選ばれたのは、米国サンフランシスコ。
2020年から2年連続の首位でした。
Google, Facebook, AppleなどGAFAはじめ、ツイッター、エアビーなどサンフランシスコ周辺のテック企業は数しれず。
フィンテックについてもPaypalやSquareなど、元祖フィンテック企業ともいえる大企業は、サンフランシスコか、その周辺地域出身です。
その他にも、スタートアップエコシステムを生かして、無数のイノベーティブなフィンテックベンチャーが生まれています。
このフィンテックランキングを伝統的な金融センターのランキングである「Global Financial Centres Index」と比較してみると興味深いです。
Global Financial Centres Indexは、世界銀行、OECDやEconomistにより2007年より発表されている権威あるランキング。
ここでは、テック都市のサンフランシスコは12位とふるっていません。1位のニューヨークから、以下ロンドン、上海、香港、シンガポールといった従来から金融都市が上位に名を連ねます。
今後、フィンテックが金融サービスのスタンダードになっていくのは間違いないでしょうから、従来の金融センターの序列は大きく変わることになるかもしれません。
シンガポールの順位は?
The Global Fintech Index 2021の国別ランキングにおいて、シンガポールは4位にランキングしました。
これはシンガポールのフィンテック規制緩和の状況、フィンテック人材などが評価されたためです。
伝統的な金融センターランキングでも4位と、同順位でした。これは、金融都市シンガポールが威信をかけてデジタル化を推進している結果と思われます。
シンガポールは金融センターとしての地位があやうくなると、国家としての立ち位置が揺らいでしまいます。金融の未来を注意深く洞察し、地位を失わないように柔軟に素早く対応している結果でしょう。
日本の順位は?
日本のフィンテックランキングは21位でした。
伝統的な金融センターランキングでは、東京が7位にランキングしていることからすると、やはりデジタル化への対応が遅れているのでしょうか。
90年代〜の完成された旧態然としたレガシーな金融システムからの脱却、フィンテックベンチャーが伸びるような規制緩和が求められます。
さいごに
テクノロジー界隈は変化が早いので、来年はランキングがどう変動しているかわかりません。
ただし、実際にシンガポールに住んでいると引き続きシンガポールのフィンテック界隈はダイナミックに進化しているのではないかと期待できそうです。
本レポートは、金融センターやフィンテック都市としてよく取り上げられる都市以外でも、アフリカや中東などの発展途上国の事情にも詳述しています。
興味ある方はレポートご参照ください。