シンガポール国税庁(IRAS)が、22年度納税に関する年次報告書を公表しました。
前21年度より税収は増加しており、コロナパンデミックからの経済回復が反映されたカタチとなりました。
当記事では22年度シンガポール国税庁年次報告書について俯瞰してみたいと思います。
シンガポール税収の増加
2022年度のシンガポール税収は686億Sドルで、前年比13.1%の増加でした。
新型コロナからの経済回復を反映しています。
税収の内訳は、会社法人税が全体の33.7%と最大で、個人所得税の22.6%、消費税(GST)が20.5%と続きます。
内訳ごとの前年比率では、会社法人税が+26.8%で最大の増加、消費税が+11.6%など。
消費税の増加は1%の税率上昇の恩恵もありそうです。
賭博税ーBetting Taxの割合(4.0%)が、源泉税ーWithholding tax(3.1%)より大きいのは興味深いです。
源泉税は主に国外への所得支払の際に源泉する金額がメインと思われますが、クロスボーダーの取引課税を制限して国際取引を邪魔しない一方で、国内の賭博からはしっかり税金を徴収しているようです。
印紙税ーStamp Duty(8.7%)や固定資産税ーProperty Tax(7.4%)は、23年度に税率が大きく引き上げられており、不動産市況は依然活発であることから、来年度は税収増が見込まれそうです。
日本の税収内訳は?
参考までに、日本の税収についても言及しておきたいと思います。
国税庁は令和5年度の一般歳入について、以下のデータを公表しています。
上記のうち、税に関する項目のみ抽出すると以下となります。
日本国の最大の税収は消費税の34%、ついで個人所得税の30%、法人税が21%と続きます。
シンガポールは法人から徴収する会社法人税が税収がメインである一方、日本はお金持ちも低所得者も同率となる消費税の割合が大きいです。
また、労働者の大部分を占めるサラリーマンが、個人所得税を会社に源泉納税させる成果なのか、個人所得税の割合も大きくなっています。
昨今、個人の労働者は個人事業主としてマイクロ法人を設立することを推奨する風潮がありますが、納税の観点では個人労働者が会社法人をつくるべしという考えは間違っていなさそうです。
シンガポールは働くという点において人気な国の一つですが、その理由として低い所得税率が挙げられます。 日本に比べてどれくらいシンガポールの個人所得税が有利どなるか、当記事では、シンガポールにおける個人所得税率について解説したいと思いま[…]
さいごに
今回の年次報告書では、99.6%の納税者が電子申告を利用していると公表されました。
また、ウェブサイトの閲覧やAIボットの活用により納税者が主体的に申告・納税できるシステムが構築されていることを強調しています。
実際わたしも、個人所得税にしろ、会社法人税にしろ非常にスムーズに納税・申告できており、シンガポール税務のDXはかなり進んでいるなと感じます。
引き続き税務コンプライアンスをしっかり守って納税を行っていきたいと思います。