シンガポール内国歳入庁(IRAS)が2020年度の年次報告書(Annual Report)を公表しました。
この年次報告書は、2020年度におけるシンガポールの活動状況をまとめたものです。
当記事では、年次報告書の内容について簡単に紹介したいと思います。
シンガポール税務当局(IRAS)が、2019年度の年次報告書(Annual Report)を公表しました。 この年次報告書はシンガポールの税務当局の活動状況をまとめたものです。IRASは税金により運営されているため、その仕事っぷりを国民に[…]
2020度シンガポールの税収は減少
2020年度の税収は前年比7%減の496億シンガポールドル(約4兆600億円)でした。これはシンガポールの歳入における73.6%であり、GDPの10.6%を占めるとのことです。
税収のトップ3は、法人所得税:33%、個人所得税:26%、消費税(GST):21%。
本年度、税収が大きく落ち込んだ理由は、コロナの影響によるビジネス活動の停滞に起因します。
税収全体の62%を占めるIncome Tax(法人税、個人所得税及び源泉税)は前年比0.9%の微減。これは主にコロナ対策としてタックス・リベートを実施したこと等によります。
影響が大きかったのは、GST(7.3%の減少)、固定資産税(34.3%の減少)、及び印紙税(7.2%の減少)。これらは経済活動にダイレクトに課税される税金であり、コロナ下におけるビジネス活動の制限・停止の影響を大きく受ける結果となっています。
IRASの活動
年次報告書には、2020年度におけるIRASの活動が紹介されています。
たとえば税務調査の件数は9,473件で前年から3%の減少(2019年度は9843件)。
税務調査による追徴課税及びペナルティ金額も、374百万シンガポールドル(300億円程度)と、前年比で15%近く減少しています(2019年度は444百万シンガポールドル)。
コロナの影響で活動制限があり、件数や追徴税額が少なくなっているのかもしれません。コロナ収束後に向けて、税金計算、納税をしっかりこなしておくことが重要かと思われます。
また、移転価格関係では、相互協議(MAP)14件(前年度15件)、事前確認制度(APA)14件(前年度5件)との結果になっています。
[ouその他にも、多くのIRASの活動が紹介されていますので、興味のある方は、ご参照ください。