【シンガポール・経済】消費者物価動向(CPI)、インフレの状況(毎月更新)。

毎月25日、シンガポール金融庁(MAS: Monetary Authority of Singapore)はシンガポールのインフレ率消費者物価指数(CPI)を発表しています。

当記事では、毎月の消費者物価指数(CPI)を定点観測していきたいと思います。

シンガポールの消費者物価指数(CPI)とは?

消費者物価指数(CPI)は、世帯が一般的に購入する商品やサービスの固定バスケット価格を追跡することで、シンガポールの代表的(平均的)な世帯のインフレ状況を反映することを目的としています。

MASのウェブサイトによると、シンガポール統計局は毎月、4,200にのぼる販売店舗から約6,800ブランド、商品及びサービス価格を集計してCPIを作成しているようです。

2019年のデータですが、固定バスケットの内訳は以下のように報告されています。

CPIは、世帯が負担する消費支出のみを対象とし、住宅屋株式、金融資産など非消費支出は含まれません。

MASの公表する消費者物価指数は2種類、「MASコアインフレ」及び「CPIー全品目インフレ」(総合CPI)です。

「CPIー全品目インフレ」(総合CPI)は、CPIバスケット全体の価格水準の変化を示します。

一方、「MASコアインフレ」は、総合CPIから「民間輸送(Private Transportation)」及び「宿泊施設(Accommodation)」を除外した、商品とサービスの価格変動を示します。

MASによると、コアインフレが多くの世帯に日々影響を与える価格変動であり、金融政策で最も重視される指標とのことです。

インフレ率はシンガポールでの生活費や、居住の賃借料、シンガポールの経済・雇用の状況、さらにはシンガポールリートやシンガポール上場株式などの金融商品価格に影響を与えるため、その動向は重要です。

2024年3月のシンガポール消費者物価動向(CPI)

2024年3月のシンガポール消費者物価動向は以下のとおり発表されました。

・原油価格の上昇にもかかわらず、食料品の世界価格は減少している。

・宿泊施設の供給改善で、海外旅行関係のサービスは今後緩やかになるとみられる。

・シンガポールドル高がインフレを抑制している。

・労働コスト上昇は沈静化している。

・24年通期見通しは変わらずコアインフレ率は2.5%〜3.5%と予測。GSTの1%増加分がなければ1.5%〜2.5%

・世界のエネルギーや海運ショックなど、インフレ上振れリスクは依然として残っている。

2024年2月のシンガポール消費者物価動向(CPI)

2024年2月のシンガポール消費者物価動向は以下のとおり発表されました。

サービス、宿泊施設のインフレ増加は、旧正月に伴う季節的な要因で押し上げられています。

電気ガスは前月比で横ばい、民間輸送機関は、自動車価格の上昇鈍化により2.9%から1.4%に低下しています。

今後の見通しとして以下が報告されています。

原油価格は上昇しているが、食料品や最終製品の価格は低下している。

・世界的なホスピタリティ産業のサプライチェーン回復により、海外旅行に関するサービスインフレも低下するとみられる。

・シンガポールドルの上昇傾向も、輸入インフレを緩和し続けると考えられる。

労働市場の冷え込みに伴い、単位あたり労働コストの上昇が鈍化。にもかかわらず、企業は引き続き労働コスト、事業コストを価格に転嫁し続ける可能性。

・賃貸可能な住宅の供給は年間を通じて増加。

・24年通期見通しは変わらずコアインフレ率は2.5%〜3.5%と予測。GSTの1%増加分がなければ1.5%〜2.5%

・世界のエネルギーや海運ショックなど、インフレ上振れリスクは依然として残っている。

2024年1月のシンガポール消費者物価動向(CPI)

2024年1月のシンガポール消費者物価動向は以下のとおり発表されました。

24年1月よりGST(消費税)率が8→9%と1%上昇しているにもかかわらず、1月のインフレ率は低下、主にコアではサービス、食品の低下総合ではコアに加えて宿泊施設、民間輸送が低下した結果です。

サービスの低下は、12月がホリデーシーズンで、休日出費、航空費が高かった事による。

民間輸送は、車両価格上昇の鈍化とそれに対応した車両証明書代金の低下。

宿泊施設は、HDB世帯に生活費補助のリベートが配布された影響。

一方、電力・ガス費用は、前月のインフレ率1.3%から5.3%へ上昇。エネルギー代金とカーボンタックスの上昇の影響とのことです。

今後の見通しとして以下が報告されています。

・世界の原油価格は23年4半期に下落し、現在水準で安定と予想

労働市場の冷え込みに伴い、単位あたり労働コストの上昇が鈍化。にもかかわらず、企業は引き続き労働コスト、事業コストを価格に転嫁し続ける可能性

・2月は旧正月の影響で再度上昇と予測

・その後、コアインフレは緩和傾向に戻る

・24年通期見通しは変わらずコアインフレ率は2.5%〜3.5%と予測。GSTの1%増加分がなければ1.5%〜2.5%

2023年12月のシンガポール消費者物価動向(CPI)

2023年10月のシンガポール消費者物価動向は以下のとおり発表されました。

12月のインフレ率上昇に寄与したのは、サービス及び民間輸送が大きい。

サービスは、前月3.5%→12月 3.9%で、休日出費、航空運賃などの影響。

民間輸送は前月 4.2%→ 12月5.0%で、ガソリン価格高騰の影響とされています。

今後の見通しとして以下が報告されています。

・世界の原油価格は23年4半期に下落し、現在水準で安定と予想

・サービス価格も、ホスピタリティ産業の供給改善で24年は緩和見通し

強いシンガポールドルもあり、シンガポールの輸入インフレは引き続き抑制

労働コストは緩やかなペースで上昇予測

・コアインフレは24年のGST料率1%増税の影響で上昇影響

24年のコアインフレ率は2.5%〜3.5%と予測。GSTの1%増加分がなければ1.5%〜2.5%

2023年10月のシンガポール消費者物価動向(CPI)

2023年10月のシンガポール消費者物価動向は以下のとおり発表されました。

車価格の上昇ペースが加速し、民間輸送のインフレ率が上昇(前年比 9月 8.5%→10月 11.7%)

サービスインフレの加速は、休日の出費学費、外来・入院サービスの上昇が大きい。

電気ガスについても、9月は前年比 ▲1.4%とインフレは解消されていたが、10月は1.8%と再び上昇

食品、宿泊施設は前年比4.1%、4.2%で、前月から若干鈍化

今後の見通しとして以下の内容が報告されています。

・Sドルの為替レート上昇により、輸入コストは緩和される見込み

・景気の回復を受け、労働コストは緩やかなペースで上昇の予測

・MASコアインフレ率は年内に2.5%〜3%程度へと落ち着く見込み

・宿泊施設の完成が進み、宿泊施設のインフレも緩和予測

2023年度全体の総合インフレ率5%、コアインフレ率4%で据え置き

2023年9月のシンガポール消費者物価動向(CPI)

2023年9月のシンガポール消費者物価動向は以下のとおり発表されました。

コアインフレは前年比3.0%に鈍化(前月8月は3.4%)。

サービス、食品、小売その他商品のインフレ低下。

総合インフレは前年比4.1%に微増(前月7月は4.0%)。

⇒コアインフレ、宿泊施設インフレ低下も、ガソリン価格高騰、自動車価格上昇加速で民間輸送増

MASより公表されているインフレチャートは下図のとおりです。

(Source: MAS HP)

今後の見通しとして、以下のの内容が報告されています。

シンガポールドル高原油価格の上昇によりシンガポールの輸入コストは今後数四半期圧力を受ける。

・国内の労働市場は冷え込み人件費は上昇も物価上昇ペースよりかは緩やか

電気、ガス価格は12月末までに前年比2.5%-3.0%程度下落見込み

住宅ユニット供給増加で、宿泊施設のインフレも緩和見込み

・地政学的な紛争、国内労働市場の逼迫でインフレの上振れリスクは残る一方、世界経済の急な減速による景気悪化での下振れもある

・2024年はコアインフレ2.5 %-3.5%を見込む(GST1%増税を除けば1.5%-2.5%)

2023年8月のシンガポール消費者物価動向(CPI)

2023年8月のシンガポール消費者物価動向は以下のとおり発表されました。

コアインフレは前年比3.4%に鈍化(前月7月は3.8%)。

サービス、食品、小売その他商品のインフレ低下。

総合インフレは前年比4.0%に鈍化(前月7月は4.1%)。

⇒コアインフレ率低下に加え、宿泊施設インフレ低下のため。

・前月ベースではコア:0.1%上昇、総合:0・9%上昇

⇒食品、サービスコスト増、ガソリン価格高等で民間輸送増

MASより公表されているインフレチャートは下図のとおりです。

(Source: MAS HP)

今後の見通しとして、以下のの内容が報告されています。

・世界的なサプライチェーン摩擦の緩和、食料品価格は前年水準を下回る

・シンガポール貿易国のインフレも低下で、シンガポール輸入品価格下落

労働コストは、短期的にさらに上昇と予測。

・企業は人件費上昇価格に転嫁する可能性が高い。

輸入コストの減少によりコアインフレは今後数ヶ月でさらに鈍化と予想。

民間輸送はガソリン価格高騰で短期的に上昇と予測。

宿泊施設のインフレについては住宅の供給増により、年間通じて緩和見通し。

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