DBS銀行の概要
DBS銀行はシンガポールのメガバンクの1角、シンガポールを代表する銀行です。
現在は、シンガポール、香港を中心に、一般銀行業務、ファイナンス、資産運用、証券仲介業などを提供、グループ従業員は33,000人を超えます。
2022年度末における世界の時価総額ランキング(銀行業)では69位、「世界で最も安全な銀行ランキング」ではアジア1位(世界12位)、「世界のデジタルバンク」では20、21年に世界1位と、世界的な評価の高い銀行です。
シンガポールで事業を行うにあたり避けて通れないのは、銀行口座の開設です。 シンガポールにはローカルの商業銀行としてDBS銀行、OCBC銀行、UOB銀行の3行がありますが、今回はその中でも最大のDBS銀行について、各種ランキングを見て[…]
DBS銀行の業績は?
DBSは、2022年度に売上高165億SGD(1兆6500億円程度)、**純利益81億SGD **(8,100億円程度)を記録し、前年度から増収・増益、利益率も50%と好業績を記録しています。
これは主に以下の理由によるものです。
- シンガポールの金利上昇による利息収入の増加
- 富裕層のファミリーオフィスの設立増でウェルスマネジメント手数料収入が増加
- 国民所得の増加によるカードなどの手数料収入の増加
特にシンガポールは加速するインフレを抑制するために政策金利を引き上げており、22年度は利ざやが2.11%と、前年の1.63%から拡大していると報告されています。
ちなみに、DBS銀行のPL(損益計算書)では売上を主に3つの区分で開示しており、各売上の金額及び主な内容は以下のとおりです。
利息収入(interest income)
利息収入は、DBS銀行が保有する金融資産から発生する金利収入で、金融負債に対して支払う利息費用とのネットで表示されています。
手数料収入(commission income)
いわゆる銀行の利用手数料で、DBS銀行の提供する様々な事業から手数料収入を得ています。
トレーディング収入 (trading income)
トレーディング収入は、DBS銀行が投資する株式等金融資産から生じる配当収入が主な内容です。
DBS銀行の事業セグメント
さらに、DBS銀行が開示している情報では、以下の区分で事業を分類しています。
- 消費者銀行/ウェルス・マネジメント
- 企業向け銀行
- 債券市場
- その他
「企業向け銀行業」の売上高が最大の事業セグメントで、「消費者銀行/ウェルス・マネジメント」がほぼ同規模の売上高で続きます。
「企業向け銀行業」は、企業への資金貸付の金利収入がメインであり、2022年度は金利利率の上昇、貸出業務の増加により収益が拡大したと報告されています。
「ウェルス・マネジメント事業」については、DBS銀行の成長の牽引役として海外で積極的に事業買収をすすめており、台湾のシティバンクや豪ANZ銀行の事業部門を買収など、当該事業セグメントの収入は2009年から2019年で6倍に増加した報告されています。
DBS銀行はどこで事業してる?
ロケーション別で見てみると、2022年度の国別売上のシェアは以下のとおりとなっています。
- シンガポール:64%
- 香港:18%
- 中国:7%
- 東南/南アジア:7%
- その他:4%
シンガポールだけではなく、中華圏、アジア圏でもかなりの売上比率があることが見て取れます。
前述のウェルス・マネジメント事業に加えて、海外支店を設立して現地企業のファイナンスをサポートしていることによる収入と考えられます。
さいごに
本記事では、シンガポールで最も重要な金融業のトップを走るDBS銀行の事業内容を概観してみました。
一般的な銀行業務以外でもウェルス・マネジメント事業の拡大やDX化の成功など、魅力的な話題が多いです。
シンガポールの発展とともにDBS銀行も成長していくと思われ、引き続き注目していきたいと思います。
(Source: DBS Bank Annual Report 2022 )