金融相談プラットフォームMoneyDuck。【シンガポール・スタートアップ企業分析】

シンガポールで注目のスタートアップ企業を紹介する企画です。

今回は、お金に関して専門家と相談できるマッチングプラットフォーム「MoneyDuck」。

MoneyDuck(マネーダック)はWISE EGG PTE. LTD.が提供するプラットフォーム名です。

2021年11月に、ベンチャーキャピタルのジェネシア・ベンチャーズにより資金調達しています(出資金額は非公表)。

MoneyDuckの企業概要、ビジネスモデル、成長ポイントについて見ていきたいと思います。

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MoneyDuckとは?

MoneyDuckは、20179年4月に、日本人の松裏剛志氏により設立された、東南アジアで展開するフィンテック開発企業です。

同社のミッションは、「To connect experts and customers around the world to increase their productivity and success (世界中の専門家と顧客をつなげて、生産性と成功を高めること)」。

マッチング・プラットフォームを通じて、ユーザーは金融専門家に簡単に問合せることができる一方、専門家は顧客を獲得することが可能となります。

東南アジアでは生産人口が増加しており、所得の増加に相まって、金融商品、金融サービスへの需要が拡大することが見込まれます。

その一方で、このような東南アジアの若い潜在顧客の金融リテラシーが追いついていないこと、それゆえに最適な金融商品を選択する事ができていません。

金融の専門家側としても、コロナ下でのリアルな販売が難しいことなどからオンライン上でのマッチングは有効なマーケティング・チャネルとなります。

MoneyDuckのビジネスモデル

MoneyDuckのプラットフォームでは、まず、ユーザーは金融商品を検討する国を選択します。執筆時現在では、「タイ、シンガポール、インドネシア」から選択することができました(ベトナム、マレーシアは準備中)。

(Source: MoneyDuck HP)

次に、ユーザーは検討する金融商品のカテゴリーを選択します。「クレジットカードローン、銀行、保険、投資、その他」から選択することができます。

(Source: MoneyDuck HP)

カテゴリーをクリックすると、その国で利用可能な金融商品の一覧が出て来ます。カテゴリーごとに商品を横並びで比較することができるので、大変便利です。

(Source: MoneyDuck HP)

まだコメントは少ないですが、レビュー機能もついているので、今後はユーザーのレビューを比較しながら最適な商品を選択することが可能になりそうです。

ただし、現時点のプラットフォームはベータ版なのか、どのように商品を購入するか、また各金融商品の担当者に連絡を取るかサイト上から見つけることはできませんでした。
   
価格モデルについては不明で、現時点ではユーザーは無料で利用可能、金融専門家も有料登録の情報はありませんでした。

自社のサービスを掲載する際に出稿料を支払っているかもしれません。今後判明したら更新したいと思います。

MoneyDuckの成長ポイント

MoneyDuckが急成長している理由は、次の3つが考えられるのではないかと思います。

1.東南アジアにおける金融サービスの伸びしろ

東南アジアでは、満足な金融サービスを受けていないUnbank-ed(銀行口座えをもたない)人口がまだまだ多いです。そして、人口構成が非常に若い。

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これはつまり、将来の金融サービスに対する潜在的な需要が非常に大きいということ。

便利で、最適な金融商品を見つけることができるプラットフォームとして定着することができれば、大きな成長が期待できます。

2.お金の相談の煩わしさを解消

プラットフォームを介して金融商品を選ぶことができると、お金の相談に関する煩わしさに悩まされることは少なくなります。

つまり、金融機関にお金の相談をしにいくと、手数料の高いわけのわからない商品を勧められてしまうことが少なくなく、それが金融商品の購入をためらわせてしまう要因になってしまいます。

この点、プラットフォーム上で自分に最適そうな商品をいくつか選び出スことができます。

興味があるものだけ担当専門家とコンタクトすることができれば、ユーザーは煩わしさから解放されることが期待できます。

3.ユーザー、金融専門家の両者がwin-win

MoneyDuckのプラットフォームを利用することで、ユーザーは自分に適した金融商品を、レビューや比較情報を参考に、検索コストをほぼ無料の状況で探し出すことができます。

一方で、金融専門家側としても、MoneyDuckのプラットフォームを利用することで、リアル店舗の設置やマーケティング・広告、顧客面談をすることなしに、低コストで見込客にリーチすることができます。

このように、ステークホルダーにとってwin-winの状態を作り出すことができるので、利用者の増加を見込むことができます。

MoneyDuckに関する主なニュース

2021年11月:ジェネシア・ベンチャーズ、マネックス・ベンチャーズ等よりシリーズA資金調達を実施

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