シンガポールの会計・財務アドバイザリー

APACの高度デジタル人材比率でシンガポールは1位。日本は?。デジタル人材に関する報告書。

アマゾン・ウェブサービスにより、APACのデジタル人材に関する報告書「APACのデジタル潜在力を解き放つ(Unlocking APAC’s Digital Potential)」が公表されました。

本報告書によると、シンガポールでは高度デジタルスキルを身につけた労働者は全体の22%を占め、APAC(アジア太平洋地域)のなかで高度デジタル人材比率が最も高い国であるとの結果になりました。

一方、日本におけるデジタルスキル人材の割合は14%であり、シンガポール、韓国、オーストラリアに次いで4位

デジタル人材という観点からは、他のアジア諸国に差がつけられていることが浮き彫りとなっています。

本報告書の概要について、解説したいと思います。

(Source: Unlocking APAC’s digital potential, AWS)

デジタル人材の必要性

2021年のAPAC地域においては、GDPの60%がデジタル製品やサービスからもたらされると推測され、特にCovid-19の影響でこの傾向は加速しています。

APAC地域の労働者はクラウドコンピューティングやIOT、自動化技術の進化も相まってデジタルスキルの向上を求められており、たとえばシンガポールの経営者のうち93%が、従業員のデータ・スキルが十分ではないと考えているとの結果となっています。

個別スキルに関して紹介すると、「デバイス及びソフトウェア利用」スキルが最も利用されるスキルである一方、「デジタルコンテンツの制作」スキルが最も不十分とのこと。

これは、コンピュータなどデジタル機器の利用は業務上一般的に求められるものである一方、デジタル・コンテンツは、マーケティングやメディアなど限られた事業でのみ必要なためです。

なお2025年までには、一般的な労働者は、「8つの新しいデジタルスキルを身につける必要があり、デジタル人材の需要は現在の5倍になると予測されています。

以下が、デジタルスキルの概要です。

(Source: Unlocking APAC’s digital potential, AWS)
1.デバイス・ソフトウェア操作
デジタル機器やソフトウェアを操作し、組織の中で配置する能力

2.情報・データ能力
情報を検索、フィルタ、分析、評価する能力

3.デジタルコンテンツ制作
デジタルコンテンツを制作、編集、統合する能力

4.クラウド・コンピューティング
クラウドコンピューター技術及びクラウドベースのソリューションをを利用、配置、開発する能力

5.デジタルコミュニケーション
デジタル技術を通して、コミュニケーション、コラボレーションする能力

6.デジタル問題解決
デジタル技術を利用して問題を発見、解決する能力

7.デジタルセキュリティ・倫理
デジタルコンテンツや個人情報に対する驚異に対して安全策を施し、保護する能力

8.デジタル・プロジェクトマネジメント
リソースや利害関係者を管理し、成果をデザインのうえ、戦略的ゴールに向けてデジタルプロダクトを管理、提供する能力

上記のスキルのうち、特に「高度なクラウドコンピュータ・スキル」、たとえば企業のスタンドアローンのシステムからクラウドベースへのシステム移行を主導するようなスキルが重要であるとのこと。

また高度な「データ・スキル」、例えばデータ・マイニングやデータエンジニアリングなど、ビッグデータやデータベースを構築する能力が求められます。

このような高度デジタル・スキルは、2025年までに3倍の需要が見込まれるとのこと。

その他にソフトウェアを操作するスキルや、デジタルコンテンツ制作スキルが続きます。

日本におけるデジタル人材の状況はまずい

日本は、APACの中でも高度デジタル人材の割合が少ない国となっていることが報告書で明らかになっています。

これは、急速な高齢化により労働者がテクノロジーの進化についていけなくなっていること、ITテクノロジーを外部のIT会社にアウトソースしているため、社内にIT人材が育たないことが挙げられています。

現状でも、政府等の補助により多くのIT研修プログラムが提供されているものの、さらなるデジタルスキル獲得のため、長期の体系化されたプログラムに加えてデータ分析やクラウドコンピューティングに関する短期で利用可能な、柔軟なコースを提供すべきであると指摘されています。

また、伝統的であるものの非テクノロジー的なセクター(自動車製造業やエネルギー業界など、デジタル・トランスフォーメーションの恩恵に預かっていない業界)へ日本のテクノロジー業界にいるIT人材を移動させることや現在労働力に含まれていない個人であるシニア層や女性などを活用することが急務であることが提言されています。

本報告書では、政府主導でデジタルスキルに関するトレーニングを提供し、このようなシニア層、女性層をデジタルスキル人材として参加を促すことを提案しています。

関連記事

世界デジタル競争力ランキング(IMD World Digital Competitiveness Ranking)の2020年度版において、シンガポールが世界2位にランクインしました。3年連続での世界2位という快挙となっています。 なお、[…]

さいごに

日本は技術先端国だと思っていたら、ことITに関しては、いつの間にかにAPACの中でも後進国となってしまっている、そんなことが突きつけられる報告書になっています。

ただし、よく考えればデジタルを上手に活用できていないにもかかわらず、いまだに世界第3位の経済大国の地位を保ててているともいえます。

今の日本のビジネスにデジタルが組み合わせれば、かなり成長の余地があるのではないでしょうか。日本のビジネス潜在力はまだまだ侮れないと思います。

筆者一個人としてもデジタル・スキルの習得に励みたいと思います。

最新情報をチェックしよう!