シンガポールの金融コンサルタント会社であるAccuityが、2021年度における「デジタル決済に関する4つのトレンド予測」を発表しました。
この予測「Four Digital Payment Trends in 2021 For Banks and Payment service providers」は、AccuityのHPからダウンロードすることができます。
デジタル決済は、フィンテック技術の発達により最近急激に進化している領域です。
本記事では概要を紹介したいと思います。
オンライン購入の決済が多様になる
現在、オンラインショッピングにおいて、最後の支払手続ではクレジットカードやPaypalなど複数の支払オプションが選択できます。
2021年には、例えば銀行クレジットカード不要の短期ローンが可能となるなど、オンライン支払の選択肢が以前にも増して増えるだろうと予想されます。
ただし、新しい決済方法が乱立することで、引き続きユーザーは昔ながらのブランドを信頼するのでは、とも述べられています。
また、2021年はオンラインのマーケットサイトにおいて、自社のプラットフォーム内に支払インフラを実装するケース、いわゆる「組込ファイナンス(embedded finance)」が増加すると予測されています。
GAFAはApple PayやWhatsApp Payなど、自社プラットフォーム内で決済サービスを有していますが、プラットフォーマーはこれに続くと思われます。
東南アジア地域でe-commerceを提供するiPrice Groupから、シンガポールにおけるデジタル決済アプリのランキングが公表されました。 シンガポールではデジタル決済がかなり普及していますが、それは気軽に使えるアプリが存在すること[…]
決済サービス業者は「強力な本人認証(SCA)」を備える
オンライン決済にあたり重要な要素のひとつに「本人認証(Customer Authentication, CA)」があります。
クレジットカードのフィジカルな利用では、PIN番号の入力など比較的強力な本人認証が求められますが、オンライン決済では、認証が不十分なサイトも多く、不正のリスクが高まります。特に2020年の巣ごもり消費でオンラインショッピングの需要が増加したものの、本人認証の導入は遅れています。
ヨーロッパでは2021年より「強力な本人認証(Strong CA)」が導入されることで、よりセキュリティが強化され不正は減っていくと予測されます。
決済サービス業者にとってのポイント、は「いかに顧客の手間(customer friction)を減らせるか」。例えば、生体認証を用いた認証などが提案されています。
Apple Payで導入されている、I phoneのFace IDなどが参考になりますが、Androidスマホなどでは使えないとのこと。シームレスに利用できる規格が待たれます。
2020年度において、コロナのパンデミックを追い風に、東南アジアではデジタル決済が急成長しました。 [sitecard subtitle=関連記事 url=http://sg-bizadvisor.com/2020/12/1[…]
新しいタイプのバンキング
2020年度はフィンテックを駆使した新しいバンキング(Neo bank)が勃興しました。
2021年度は引き続きのコロナパンデミックにより不透明感が続くものの、BaaS(バンク・アズ・ア・サービス)の発達で、Neo Bankの技術的なハードルは下がっており、さらに多様なサービスが登場すると予測されます。
2020年12月4日、シンガポール金融庁(MAS)がデジタル銀行のライセンス取得企業を発表しました。 シンガポールのデジタル・バンクに選ばれた企業 シンガポール金融庁は、2019年6月に、従来の銀行に加えて、新しい事業社に対してデジタル銀[…]
伝統的な銀行によるデータ共有
伝統的な企業にとって、新たなクラウドベース・アーキテクチャーにシステムやデータを移行するために「オープン・バンキング」が重要になります。
「オープン・バンキング」では、システム間のデータ連携が容易となるため伝統的銀行は、ホストとなるAPI(Application Programming Interface、アプリとプログラムをつなぐ機能)を通じてデータの連携をすすめると予想されます。すでに国によってはAPIにより顧客データを共有するための法整備を進めています。
今回は、シンガポールのフィンテックに関する話題。オープン・バンキングの状況についての記事です。 オープンバンキングとは オープン・バンキング(Open Banking)とは、 顧客の同意のもと、銀行の保有する顧客データを他企業が利用[…]
さいごに
2021年度は、オンライン決済や銀行サービスがますます便利になりそうです。
新しい技術サービスは積極的に利用してテクノロジーの進化に置いていかれないことも重要ですね。