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シンガポールのオープンバンキング。銀行への影響は?

今回は、シンガポールのフィンテックに関する話題。オープン・バンキングの状況についての記事です。

オープンバンキングとは

オープン・バンキング(Open Banking)とは、

顧客の同意のもと、銀行の保有する顧客データを他企業が利用できる仕組み

「API連携」と呼ばれることもあります。

オープン・バンキングの導入により銀行以外の業種においても顧客データを利用することができるため、銀行にとっては競合企業が増えることを意味します。

例としては、家計簿アプリがあります。家計簿アプリでは、銀行データと連携して預金口座の入出金を自動で取り込むことが可能ですが、これはAPI連携の典型例です。

以下、Fintech news Singaporeから翻訳記事です。

オープンバンキング、伝統的な銀行に大影響

シンガポールにおけるオープン・バンキングの発展は、「デジタル銀行」よりも「伝統的な銀行」に大きな破壊的な影響を与える可能性ある。

シンガポール最大の伝統的な銀行であるDBS銀行はこのように危機感をつのらせている。

「現在発展途上であるデジタル銀行は、シンガポールにおいて2,200億〜2,430億シンガポールドルの貸出市場規模になると見積もられ、巨大な潜在的需要が見込まれている。その一方、伝統的銀行は、オープンバンキングの発展により大きなインパクトを受けるだろう。」

DBS銀行のアナリストであるRui Wen Limは説明する。

「シンガポールは既にバンキングが浸透しており、また国が小規模な市場であるため、新しい存在であるデジタル銀行は、顧客の獲得に努力を惜しまないだろう。」

デジタル銀行は、当初数年で無担保リテール及び中小企業向け貸出マーケットの1〜5%程度のシェアを確保するものの、利益を確保するレベルにはすぐには到達できないかもしれない。

一方で、伝統的な銀行は既に過去10年来デジタルトランスフォーメーションを推し進めており、デジタル銀行と競争できる価値提供ができるように努力を重ねている。

ところが、オープン・バンキングにより、顧客は銀行や保険投資の情報をあらゆる銀行及び金融期間から一つのプラットフォームに集約できるようになり、顧客は金融サービスの比較が容易となるので、銀行業界の競争は激化することが考えられる。

シンガポールにおいて、オープン・バンキングはシンガポール金融庁(Monetary Authority of Singapore : MAS)により管理されており、銀行に対して2016年度よりAPIを採用するよう奨励している。

MASはオープン・バンキングの促進のため、数種のイニシアティブを実施している。規制当局はオープン・バンキングとAPIに関するガイドラインを公表しており、2018年にはAPIのマーケット・プレイスであり、プラットフォームであるAPI Exchange(APIX)に参画している。現在351のフィンテック企業と54の金融機関がAPIXに参加し、120のトランザクショナルAPI及び200にのぼるインフォマティブAPIの登録がある。

MASは現在Financial Industry API Register を運営しており、シンガポールにおける全てのオープンAPIが利用可能、その数は、238のトランザクショナルAPI及び279のインフォマティブAPIが登録されている。

2020年の終わりには、新しいポータルの公表が予定されており、これにより顧客は様々な銀行や金融サービスの情報を集約し、共有することができるようになる。

顧客は銀行口座やクレジットカードの情報のみならず、年金や社会保障、政府の住宅スキームへの支払(government housing scheme payment)情報についても集約することができるとのこと。

シンガポールのデジタル銀行についてこちらでも取り上げています。

<シンガポール・フィンテック>シンガポールにおいてデジタル銀行ライセンスの交付を発表。

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