【シンガポール・リート銘柄】ヘルスケアのFirst Reit、最新決算(2022年第3四半期)。

シンガポールに上場している不動産投資信託(REIT)で、インドネシアや日本、シンガポールのヘルスケア施設に投資するFirst REIT(SGX:AW9U)が、2022年第3四半期の決算(1月〜9月の9ヶ月)を公表しました。

概ね順当な決算内容であり、First REITの株価は公表後に上昇に転じています。

First REITの概要については、以前記事で紹介しているので、今回は業績のアップデートを中心に見ていきたいと思います。

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一口あたり分配金(DPU)の状況

株価及び配当金というかたちで投資のパフォーマンスに重要な影響を与える一口当たり分配金(DPU: Distribution per unit)は、前年同期比で2.61セントから2.64セントへ1.1%増加という結果でした。

足元の配当利回りが10%超となっており、将来の収益力低下を織り込んだ株価と見込んでいたために、意外な結果でした。

賃貸その他の収入(Rental & Other Income)は前年同期比40%近い増加となっており、これは2022年に投資した日本の14箇所のケア施設が貢献しています。

4半期ごとの配当は21年第4四半期から4四半期連続で0.66セントと安定しています。

運用資産残高(AUM)の状況

First REITの運用資産残高は前期末(2021年12月31日)比で2億シンガポールドル増加し、12億51百万シンガポールとなりました。こちらも主に、日本の14箇所のケア施設買収によるものです。

ケア施設買収のために、新規の株式持分4億31 百万シンガポールドルをOUE Lippo Healthcareに発行しており、一株あたり価値は、前期末36.65ドルから33.98ドルに減少しています。

この増資により、OUE Lippo HealthcareはFirst REITの44.1%を保有する結果となり、インドネシアの財閥であるLippoグループによる強固なスポンサーシップの下運営されていると考えられます。

財務の状況

シンガポールも金利上昇局面であり、負債の利息負担の影響が気になるところです。

負債の総額については、前期末(2021年12月31日)から92百万シンガポールドル増加していますが、「リートの負債÷リート資産」の比率で表すギアリング比率は33.6%から35.6%に上昇しており、負債割合は減少、安全性は高まっていると考えられます。

負債の金利は4.2%から4.0%に低下しているものの、「収益÷支払利息」で算定されるインテレスト・カバレッジ・レシオは5.7倍から5.2倍へと低下しており、支払利息の観点からは安全性が若干低下しています。

さいごに

First REITは、先進国市場の施設 が現時点では運用資産残高の 25%程度であるところ、2027年までにその比率を50%超に高めることを目指しているとのこと

ヘルスケア施設の需要は日本のような先進国でますます高まっていくと思われる一方、円安のため優良物件を有利な価額で取得できる可能性もありそうです。

引き続き、日本の介護施設に投資するシンガポールリートであるFirst REITに注目したいと思います。

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  なお当記事は、投資を推奨するものではなく、あくまでも参考情報として提供するものです。投資は自己責任となりますので、何卒よろしくお願い致します。

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