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【シンガポール・リート銘柄】CapitaLand Integrated Commercial Trustについて考察。

シンガポールREIT(不動産投資信託)は、高い配当利回り比較的堅調な値動きが特徴でおすすめです。

特にシンガポール在住者は、売却益や配当金が非課税のため、高い投資リターンを期待でき、投資を検討する方も多いのではないでしょうか。

シンガポールリートの種類、メリットやリスク、リートの選び方については以下の記事にて解説しています。

当記事では、主にシンガポールの商業施設・オフィスビルに特化したリートのひとつ CapitaLand Integrated Commercial Trust (SGX:CICT)について紹介したいと思います。

CapitaLand Integrated Commercial Trust (SGX:CICT)は、シンガポール最大の時価総額を誇る代表的なS-REITです。シンガポール国外の欧米やアジアの物件に投資をするシンガポールリートも珍しくはないですが、CICTは大半をシンガポール国内に投資しているのが特徴です。

CapitaLand Integrated Commercial Trustの株価推移は以下のとおりとなります。

それでは、以前の記事で紹介した「シンガポール・リートを選ぶ際のポイント」8項目に沿ってそれぞれ分析していきたいと思います。

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1. 物件のポートフォリオ

リートがどのような不動産を保有するか、CapitaLand Integrated Commercial Trustの物件ポートフォリオについて確認してみましょう。

CapitaLand Integrated Commercial Trustは、2022年1Q時点でシンガポール、ドイツ、オーストラリアの3カ国に、計26物件を保有します。

その内訳は、シンガポール21物件、ドイツ2物件、オーストラリア3物件となります。

特に、シンガポールの物件は、商業施設のBugis+やFUNANショッピングセンター、WESTGSTE、またオフィス施設では、最近竣工して話題のCAPITASPRINGやASIA SQUARE、APITAGREENなど、シンガポールのランドマーク的な物件を数多く保有しており、シンガポール経済の好不況の影響を直接受けそうなラインナップとなっています。

(Source: Corporate Presentation)

2. スポンサー

スポンサーとは、リートの資産を運用する会社(資産運用会社)の大株主です。

CapitaLand Integrated Commercial Trustのスポンサーは、アジア最大級の不動産会社であるCapitaLandです。

CapitaLandの親会社は、シンガポールの国営ファンド、テマセクホールディングスであり、信頼性は抜群に高いといえそうです。

なお、CapitaLand Integrated Commercial Trustは、同じCapitaLandがスポンサーであった2つの代表的なリート、小売施設に特化したCapitaLand Mall Trustと商業施設に特化したCapitaLand Commercial Trustが合併して誕生しました。

物件ポートフォリオの多様性が確保されたため、より安定した物件の管理、展開が可能になると考えられます。

3.  一口当たり分配金(DPU)と配当利回り

執筆時現在のCapitaLand Integrated Commercial Trustの年間一口あたり分配金(DPU)は0.1044、株価は1.81となっていますので、直近の年間配当利回りは5.7%程度となっています。

最近1年の推移では4.72% 〜5.77%程度となっています。5%程度の配当があれば高配当銘柄と考えられるので、CICTは割安な配当利回りではないでしょうか。

(Source: Investing.com)

4. テナントの状況

CapitaLand Integrated Commercial Trustの直近のテナント状況は以下のとおりです。

(source: CICT 3Q 2022 Business Updates)

1社あたりの売上で、最大となるのはRC Hotelsです。RC Hotelsは5つ星ホテルのFairmont Singapore及びSwissotelを運営する会社であり、総賃貸収入の5.1%を締めます。

最大の顧客の賃貸収入が5.1%程度であるあため、収入は多くのテナントに分散されており安全性が高いといえそうです。

入居率 (Occupancy rate)

(source: CICT 3Q 2022 Business Updates)

2022年7〜9月の2022年第3四半期の資料によると、入居率は95.1%で、第2四半期時点から1.3%改善されています。コロナ規制が緩和されたことで、商業施設やオフィス需要が回復したと考えられます。

加重平均リース満了期間 (Weighted Average Lease Expiry)

2022年第3四半期の資料によると 、加重平均リース満了期間は小売施設2.2年、オフィス4年、複合施設5.4年です。通常、事業のオフィス賃貸契約は3年〜で、3年を下回ると現状のテナント契約を更新できていないと考えられ、リートの将来の収益性の低下につながります。

加重平均リース期間は5年超が望ましく、小売施設とオフィスのリース満了期間が少し短いように感じられます。

小売施設はテナントの事業がうまくいくかどうか未知数のため、短めの設定になるのでしょうか。

なお、加重平均リース満了期間を解説するウェブサイトでは、代表的な小売シンガポールリートのリース満了期間は1.38年〜9.7年とかなりばらついています。

5. ギアリング比率

リートのギアリング比率とは、「リートの負債/ リート資産」の比率であり、リート資産の取得に対する外部負債の割合を表すものです。Average leverage (平均レバレッジ)とも呼ばれます。

2022年3Q におけるCapitaLand Integrated Commercial Trustのギアリング比率は41.2%です。シンガポール金融庁(MAS)によるギアリグ比率規制の50%を大きく下回り、健全な水準と言えますが、今まで紹介してきた代表的なシンガポールリートのギアリング比率は30%代が多く、CICTは積極的に物件へ投資している様子が見て取れます。

(source: CICT 3Q 2022 Business Updates)

また、CapitaLand Integrated Commercial Trustは、負債総額に対する固定金利負債の割合を80%と報告しており、利上げの影響は大きく受けない底堅い財務体質を有しているといえそうです。

6. 財務コスト

リートの財務コストは主に物件取得の借入金に対する支払利息です。財務コストについてはインテレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)で確認することができます。ICRとは、「収益/支払利息」で算定することができ、数値が高いほど財務コストが低く安全性が高いことを示します。

CapitaLand Integrated Commercial Trustの2022年度3QにおけるICRは3.9倍です。2022年2Q時点では4.1倍から数値は減少、利益が増えていることを考えると支払利息もそれ以上に増加していることが考えられます。

しかし、シンガポールのメガバンクDBS銀行の2022年3月の記事によると、シンガポール・リートの平均ICRは4.9倍程度と報告されており、平均より健全な財務コスト水準といえます。

7. 株価純資産倍率 (PBR)

株価純資産倍率(Price Book-value Ratio: PBR)は、REIT株価(一口当たり投資額)を一口当たりの純資産価値(Net Asset Value: NAV)で割った値です。

PBRが1より大きい場合は、REITが純資産額に比べて大きく評価されている一方、1を下回る場合は評価が低いことを示します。

(Source: Investing.com)

執筆時現在のCapitaLand Integrated Commercial TrustのPBRは1.03で、Industry平均0.92より若干高い数値ですが、割安水準です。

CapitaLand Integrated Commercial Trustの規模と知名度により、他のリートに比べて評価、投資されている証拠といえそうです。

8.成長戦略

最後に、CapitaLand Integrated Commercial TrustのDPUが今後も増加していく可能性があるか、CapitaLand Integrated Commercial Trustの成長戦略について確認したいと思います。

(source: CICT 3Q 2022 Business Updates)

直近の2022年第3四半期決算資料では、あまり具体的な成長戦略は開示されていませんでしたが、上記図の4項目がフォーカスされていました。

・支払利息を含む管理費用の最適化
・資産価値向上プロジェクト中のRaffles City及びClark Queyの完了
・入居率の向上
・投資機会及び資産価値向上の継続的な評価

特にRaffles Cityは2022年度中、Clark Queyは2023年3四半期までに資産価値向上プロジェクトを完了させる計画となっています。

さいごに

CapitaLand Integrated Commercial Trustは、シンガポールで最も時価総額の大きいS-REITであり、シンガポールを代表するオフィスや商業施設を保有します。

優良な物件が多く、財務も健全であるため、シンガポールの不動産に投資したい投資家には適当な銘柄ではないでしょうか。

source: CICT 3Q 2022 Business Updates


なお当記事は、投資を推奨するものではなく、あくまでも参考情報として提供するものです。投資は自己責任となりますので、何卒よろしくお願い致します。

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