シンガポールで注目のスタートアップ企業を紹介する企画です。
今回は、量子暗号ネットワークのソリューションを提供する「SpeQtral」。
2021年12月には、XoraInnovation等により830万米ドルをの資金調達に成功しています。
YouTripの企業概要、ビジネスモデル、成長ポイントについて見ていきたいと思います。
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SpeQtralとは?
SpeQtralは、2017年に、シンガポール人であるChuneYang Lumに設立された、量子暗号セキュリティ企業です。
近年、量子コンピュータの開発が急ピッチで進められており、一部実用化が始まっています。
ここで懸念されるのが、従来の技術に依存する暗号技術が、量子コンピュータでは解読されてしまうのでは、ということ。
量子コンピュータに対応するには、セキュリティも量子暗号を用いる必要があります。
SpeQtralが創業されたシンガポールはアジアの金融ハブとなっており、堅牢なセキュリティへの対応が必須です。
そこで、SpeQtralは、主にアジアの顧客が今後もデータ通信を安全に行うことを可能にするための量子暗号ソリューションを提供しています。
SpeQtralのビジネスモデル
SpeQtralは、衛星を利用した量子通信システムを設計及び製造しています。
① 安全なコミュニケーション
量子暗号通信(Quantum Key Distribution: QKD)方式による解読不能なセキュリティの提供、既存の通信ネットワークに量子保護レイヤーの追加。
②量子技術
安全な暗号鍵をグローバルに配信する量子ネットワーク、超小型衛星の軌道に最先端量子技術を配備。
SpeQtralの価格モデル
SpeQtralは研究開発のフェーズであり、かつ現状は企業向けのB to Bサービスであることから、価格モデルは不明です。
SpeQtralの成長ポイント
SpeQtralが急成長している理由は、次の3つが考えられるのではないかと思います。
1.最先端の技術
SpeQtralが提供するソリューションは、シンガポール国立大学の量子技術研究所で開発された技術に基づいています。
創業者のChuneYang Lumのチームは、世界で初めて宇宙で絡み合う光子を実証したグループであるとのことです。
2.東芝との協業
東芝は、量子暗号通信において世界最先端の技術を保有しています。
この東芝からパートナーとして認められているSpeQtralの技術は有望と言えそうです。
3.次世代に主流となるテクノロジー
量子コンピューターは、次世代に主流となるテクノロジーです。
現状のコンピュータより性能が異次元に向上する量子コンピュータの世界において、依然としてセキュリティを確保するために量子暗号は不可欠な技術といえます。
量子暗号通信に関連する市場は、2035年までに200億米ドル(約2.1兆円)と見込まれており、非常に大きなマーケットが期待できます。
SpeQtralに関する主なニュース
2021年9月:量子暗号通信で東芝と協業
2021年11月:XoraInnovation等により830万米ドルをの資金調達