シンガポールで注目のスタートアップ企業を紹介する企画です。
今回は、レストランなど飲食店向けのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客との関係を管理する)プラットフォーム「Tablevibe」。
2021年11月に、Global Founders Capitalより1.5百万米ドルを資金調達しています。
Tablevibeの企業概要、ビジネスモデル、成長ポイントについて見ていきたいと思います。
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Tablevibeとは?
Tablevibeは、2021年に、元Googleの社員であったJeroen RuttenとMathieu Sneepにより設立された、飲食業向けの顧客データ管理プラットフォームを提供する企業です。
Tablevibeでは、飲食店が自社の製品パッケージや請求書にQRコードを添付することで、顧客からフィードバックを得ることができます。
レビューをした顧客はその見返りとして、次回の飲食の割引など報酬(リワード)を得ることができる仕組みとなっています。
報酬は、「5ドル割引」など一般的なものから、お店のピークをずらすのに有効な「平日のみ割引」など、柔軟に設定できるようです。
このサービスはもともと、創業者のRutten氏がシンガポールのレストランを訪れた際に、紙のフィードバックフォームを見たときにひらめいたものです。
紙の形式だと、顧客はフィードバックを記入するのが面倒だし、その場でできなければ忘れられてしまう。お店側も集計に時間がかかるし、分析に手間がかかる。
そこでQRコードから顧客は直接フィードバックを投稿できるプラットフォームを思いついたということです。
Tablevibeのビジネスモデル
Tablevibeは、お店側で次の手順で設定します。
②報酬(リワード)を選択する。
③QRコードを設定し、顧客のフィードバックを得る
④プラットフォームのダッシュボードに情報が集計される
⑤顧客がリワードを利用する
価格モデルはサブスクリプションです。
「食事、配送」のどちらかであれば1ヶ月59シンガポールドル(5,000円程度)、両方使う場合は1ヶ月79シンガポールドル(7,000円程度)で設定されています。
Tablevibeの成長ポイント
Tablevibeが急成長している理由は、次の3つが考えられるのではないかと思います。
1.顧客と直接つながることができる
Googleにもお店のレビューを残す機能がありますが、これだと顧客から収集した貴重なデータはGoogleが保有してしまうことになります。
また、画一的なフォーマットになってしまいお店独自の情報収集ができません。
Tablevibeを利用することで、Googleなどプラットフォーマーの依存を減らスことができます。
自社で直接情報収集し、その情報を分析した結果に基づいて直接顧客に対してアクションを起こすことができると考えられます。
2.Googleのノウハウ
創業者のJeroen Rutten氏は、Googleを使ったマーケティングであるGoogle Searchの、APAC地域における戦略担当責任者であり、Mathieu Sneep氏は、Googleの営業チームの責任者であったとのことです。
ビックデータ解析の総本山であり、データエコノミーにおけるベストプラクティスのGoogleで経験を積んだ2人による起業であるため、勝算は高いと思われます。
3.顧客が使いたくなるサービス
レストランのお客さんは、それがポジティブな経験も、ネガティブな経験でも、お店に伝えたいことが多いのではないでしょうか。それが感謝という形か、苦情という形かの違いはありますが。
Tablevibeを使えば、顧客はQRコードから気軽にレストランに思いを伝えることができます。さらには割引などのリワードも得ることができます。
この、「フィードバックをしたいという欲求の解消」と、「リワードがほしい」という2重のインセンティブがあるため、このサービスはユーザーが増加する潜在可能性が高いと言えそうです。