シンガポールで注目のスタートアップ企業を紹介する企画です。
今回は、ソフトウェア開発者向けAIプラットフォーム(AAAS: AI as a Service)を構築する「Sentient.io」。
2021年2月には、ベンチャーキャピタルのリアルテック・ファンドにより3.2百万シンガポールドルの資金調達をしました。
Sentient.ioの企業概要、ビジネスモデル、成長ポイントについて見ていきたいと思います。
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Sentient.ioとは?
Sentient.ioは、2017年5月に、シンガポールの連続起業家であるChristpher Yeo氏により設立された、英語の訛り解析に強みを持つAIプラットフォーム開発企業です。
創業者Christpher Yeoは、「全人類がAIを自然に簡単に、かつ平等に使える」ことをビジョンに掲げ、同社を起業しました。
音声・画像認識、ビデオ監視、サプライチェーン・在庫管理等のAI市場規模は、2025年には988億ドルに達すると予想され、AI需要が高まるのは疑いありません。
ところが、その一方で、企業のAI導入は難しいものとなっています。 これは、AIに関する知識と構築能力の欠如、ユーザーの産業領域に適用できるアルゴリズムの欠如、AIソリューション導入における高額な費用などが主な原因です。
ソフトウェア開発に従事する人も、2019年には世界で480万人から2024年には2800万人に急増することが見込まれますが、AIアプリケーションの構築には高度な専門的能力を必要とされる一方、その習得に長い期間が必要となります。また、その大部分はアジアで起こるとされています。
この状況を打開するために、同社はAIプラットフォームを開発し、ユーザー企業へ提供しています。
Sentient.ioのビジネスモデル
Sentient.ioは、ソフトウェア開発者の開発サイクル短縮につながる60を超えるAI機能のプラットフォームを構築しています。
ユーザーであるソフトウェア開発者は、このAIソリューションを組み込むことでAIモデルのトレーニングに多くの時間を費やすことなく、サービスアプリの開発に集中することができます。
同社のHPでは、人気のあるトップのサービスとして以下が挙げられています。
– いわゆる文字起こし機能。音声を認識し、テキストに変換する技術。
・固有表現認識(Named Entity Recognition)
– テキストに出現する固有名詞(人名、地名など)や数値表現(日付、時間など)をん認識する技術。
・読み上げ技術(Text-to-speech)
– テキスト文字を読み上げてくれる音声変換技術。
価格モデルは、執筆時時点の現状では従量課金型のようです。
Sentient.ioの成長ポイント
Sentient.ioが急成長している理由は、次の3つが考えられるのではないかと思います。
1.東南アジア特有の”訛り”解析に強み
Sentient.ioは、教師データの加工・ノイズ除去を精緻に実施できるアルゴリズムを保有しています。
(教師データとは、機械学習にいて予め正解がある「教師あり学習」において、人工知能のニューラルネットワークに与えられる、例題と答えについてのデータをいいます。)
Sentient.ioは、このアルゴリズムを用いて、シンガポールの放送局と共同でニュース映像を解析し、既存のAI技術では解析困難であったシンガポール特有の英語「訛り」を解析することに成功していると報じられています。
今後他の東南アジア地域へ展開し、言語解析AIを強化することで、東南アジア英語独特の文字起こし翻訳の効率化も期待できます。
2.日本、東南アジア市場へ拡大
Sentient.ioは、リアルテックファンド、ABCドリームベンチャーズ、Digital Garage Groupなど、日本籍の企業に支えられています。
今後、日本企業のアジア市場対応に必要となるAI解析サービスを提供できる点で大きな需要を見込めます。
3.AIという成長産業
すべての企業にとって、デジタル・トランスフォーメーション(DX)が急務ととなっています。そして、AIの導入はDXにおける最も重要な技術のひとつです。
Sentient.ioは、アジアに強みのあるAI機能を開発することで、AIという成長産業のアジアでの優位性を築いています。
Sentient.ioに関する主なニュース
2020年5月:日本企業数社がシリーズAラウンドで出資、これにより調達総額5百万米ドルを達成
2021年2月:リアルテックファンドが3.2百万シンガポールドルを出資
2021年12月:SEEDS CapitalがシリーズB1ラウンドに投資