2021年、中国企業にとってのシンガポール事業の状況は?

在シンガポール中国商工会議所(SCCCI:Singapore Chinese Chamber of Commerce&Industry)が2021年度の中国会員企業に対するビジネス調査を発表しました。

SCCCIは1906年に設立され、40,000社の企業が参加する、シンガポールでビジネスを行う中国企業の経済団体です。

本調査は2021年6月〜8月の間に実施され、会員1,058の会員企業が回答、うち92%を中小企業が占めます。

当記事では、主なポイントについて紹介したいと思います。

シンガポールにおいても中国のプレゼンスは増大しており、中国企業の事業に対する所感は、日系企業の参考にもなるのではないでしょうか。

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在シンガポール中国商工会議所のビジネス調査結果

以下が、調査報告書の報告事項要旨となります。

1.75%の回答者が、2021年度は前年費で売上が停滞または減少と回答。また、事業コストが増加しているとの回答が28.5%と増加している。

2.40%の回答者は2021年通期で事業損失となると見込んでいる。60%の回答者がコロナ前のレベルまで回復するのに2年以上かかると予測している。

3.55.6%の回答者が、事業上の懸念事項として事業コストの上昇を上げている。安定的な人員(50.4%)、コロナ安全対策措置への適応(43.9%)がそれに続く。

4.60%近い回答者が、従業員を維持すると回答。政府の提供する従業員支援制度(Job Support Scheme等)が従業員を維持し、採用を増やすことの助けとなっていると回答。

5.上昇する人件費(外国人労働者を含む)が最大の人事上の問題である。続くのが、求めるスキルを持ったローカル人材の採用が難しいこと。このもんだいに対処するため、事業の変革、オートメーション化、デジタル化を勧めている。

6.70%近い回答者はコロナの問題に対処する政府のスキームを採用している。コロナを契機としてデジタル技術を採用している。

7.59.7%の回答者が海外への展開を視野に入れている。これは2020年の50.7%に比べて増加している。ただし海外出張に制限があるため、海外展開はスローダウンしている。

8.70%の回答者が、デジタル化への取り組みの成果が次第に大きくなってきている。

さいごに

2021年度はコロナの影響で売上、利益水準が停滞、デジタル化の促進、シンガポールで厳しくなる外国人労働者雇用問題、海外展開、と日系企業でも同じように問題となっている事項が並びます。

引き続き、シンガポール事業においては、シンガポール政府の機敏な政策推移に対応していくことが求められます。

SCCCI’s Annual Business Survey 2021

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