シンガポール金融庁(MAS)が四半期ごとに公表している「Recent Economic Developments in Singapore」が2021年8月13日に公表されました。
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シンガポール金融庁(MAS)が四半期ごとに公表している「直近のシンガポールの経済成長(Recent Economic developments in Singapore) 」が2021年2月5日に公表されました。 本レポートのハイラ[…]
世界経済の状況
世界経済は回復に向かっているものの、各国のワクチン接種率及び支援政策の度合いにより、経済パフォーマンに相違が見られる。
世界経済は2021年第1四半期において、コロナパンデミック前の水準を取り戻している。第2四半期では、多くの国でコロナ再流行となっている一方で、ワクチン接種率が高い国では、経済を再開後、急速に回復している。
接種率の低い経済では、活動に対する制限など公衆衛生に関する対策を再び厳格化している。先進国における寛大な政策的支援もあり、先進国と新興国の経済パフォーマンスの相違は拡大している。
世界経済の成長率
時間の経過によるワクチン接種率の上昇で、今後より広範囲に渡り世界経済の回復が回復すると期待される。
日本を除くアジア経済は、輸出需要の増大と感染拡大の抑え込みにより改善すると期待される。世界経済の成長率は2021年に6.2%、2022年には4.7%と予測されている。ただし、コロナパンデミックは、依然としてこの見通しに対する重要なリスクである。ワクチンが効かない新型株が登場した場合は、移動制限が再開されるリスクがある。さらなるショックに対応するための政策的余地は、多くの国で狭まっている。
インフレ率の上昇
一時的要因により、インフレ率の上昇を招いている。
グローバル・サプライチェーンの一部において定期的な制限や寸断が発生しており、供給のボトルネックが特定製品の価格上昇を引き起こしている。これらの要因は緩和されるものの、世界経済の需給ギャップは2022年の半ごろまでマイナスのままとなると予測されている。世界のインフレ率は2021年に2.5%、2022年には2.3%になると予測される。
債務の膨張
パンデミック禍におけるアジア経済全体での債務増加により、経済状況の急激な変化に対する域内の金融システムに対する脆弱性を増大させている。
予想よりも顕著で持続的なインフレの上昇は、世界的に政策と財政引き締めにつながり、資金調達ニーズの高い借り手の制約となる可能性がある。
シンガポール経済の状況
シンガポール経済は、コロナ不況により四半期比で1.8%縮小しており、これは2020年第2四半期以来の連続した減少である。
この後退は、主に国内の感染再発に対する規制強化によるものであった。とはいうものの、規制の影響は昨年度のサーキットブレーカーほどではなく、企業のほとんどが事業運営することができている。一方、製造セクターは、前四半期の堅調な成長に比して、第2四半期では停滞がみられた。
経済の再開は第3四半期のはじめにずれ込んだものの、シンガポール国内のワクチン接種率の上昇にともなう国内規制の緩和、国境の再開により、今年後半の景気回復を確固たるものにするとみられる。堅調な外需についても、貿易に関連したセクターに追い風となる。以上より、現状の苦境の中でも、シンガポール経済の2021年度の成長率は6〜7%と予測される。
シンガポールの労働市場
公衆衛生の状況にもかかわらず、第1四半期において労働市場の状況は改善を続けたものの、第2四半期からの規制により回復の勢いを弱めている。
総雇用数は2021年第1四半期に拡大し、2019年第4四半期以来初めて増加に転じたが、速報データによると第2四半期に収縮傾向に戻っている。
それにもかかわらず、居住者の雇用は今年の前半に増加し、労働市場の指標によれば、第1四半期に労働市場の停滞が減少したことを示唆している。厳しい国境制限と国内規制が緩和された第2四半期、第3四半期の労働市場の状況を確認する必要がある。ただし、あたらしい支援策及び外国人労働力の制限は、一時的な脆弱性となる。
シンガポールのインフレ上昇
•第2四半期には、CPI(消費者物価指数)-全品目のインフレ率及びMASコアインフレ指数の両指数が上昇した。
ベース効果を分離し、国内の警戒規制の影響による一時的な減衰効果も反映させた上で、連続的なコアインフレは緩和されている。
次の四半期において、コロナ規制の緩和による家計支出の増加及び消費者物価の上昇を通して主要な商品コストが上昇し、インフレ率は次第に上昇すると予測される。
CPI(消費者物価指数)-全品目のインフレ率及びMASコアインフレ指数はそれぞれ予測の範囲内に収まり、それぞれ0〜1%と1〜2%のレンジとなる。
シンガポールのマクロ経済
マクロ経済政策において、ここ数ヶ月のコロナ再流行によって引き起こされた経済的混乱に対する支援を継続する。
2021年4月にシンガポール金融庁(MAS)は、低いコアインフレ及びパンデミックの再発による下振れリスク増加にともない、S$NEER policy bandにおける0%の評価率を再確認した。財政政策を再起動する一方、サイドのコロナ規制により影響を受ける家計及び企業に対する支援策を拡大する一方財政支援策を再起動した。
S$NEER policy bandは、脆弱なセグメントに的を絞った支援を提供する一方、短期的な経済不確実性の増大を吸収するため為替レートに柔軟性を与える。
(本記事は非公式翻訳となります。正確な情報ついては原文を参照ください。)