シンガポールで話題となっているスタートアップ企業を紹介するシリーズです。
今回は、会計・事務手続に関するクラウドシステムを提供している会社であるLanturn(ランタ−ン)を紹介します。
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Lanturnの会社概要
会社概要によると、Lanturn Pte. Ltd.は、2017年8月8日にシンガポールにおいて設立されたテック企業で、従業員は11〜50人となっています。
主にベンチャー企業や中小企業(SMEs)に対して、会計・税務、総務関係の事務管理サービスをクラウドベースで提供しており、執筆時(2020年10月8日)現在、300社程度のクライアント数となっているようです。
マネジメントは、アジア地域における、シリアルアントレプレナー(連続起業家)であるVelisarios Kattoulas氏をCEOに、ロシア人、インド人、シンガポール人と多国籍なチームとなっています。
日本におけるSNSサービスであるミクシィの共同創業者兼CTOで、East Venturesを立ちあげたインドネシア人のバタラ衛藤氏もDirectorとして参画しています。
Lanturnの提供するサービス
Lanturnは、シンガポールにおいて事業運営をする上で不可欠である以下のサービスを、クラウドにてサブスクリプション(定期購買)にて提供しています。
日本において、今飛ぶ鳥を落とす勢いであるクラウド会計システム会社のFreeeやマネーフォーワードに近い会社ではないでしょうか。
・セクレタリーサービス(*1)
・会社設立サービス
・ビザ申請サービス
・バーチャルCFO、キャッシュ・マネジメント、財務戦略サービス
(*1) セクレタリーとは、シンガポールの会社に必ず設置が求められ、当局への登録・提出業務を行う役職。上場企業でなければ、誰がセクレタリーになることもできるが、上場企業ではシンガポール会計士など、ライセンス所有者である必要がある。
Lanturnの注目ポイント
・コーポレート管理業務の一貫したクラウド自動化
シンガポールにおいて、会計・税務などのコーポレート管理業務や当局への情報提供作業についてはかなりシステム化されており、効率的に実施できるようになっています。
とはいえ、このようなバックグラウンド業務は企業にとってコストセンターであり、できるだけ効率化・低コスト化したいところ。
シンガポールにおいて、会計・業務におけるクラウドプラットフォームはかなり増えてきていますが、会社設立からセクレタリー、ビザの申請・取得まで一貫して利用できるクラウドシステムは、Lanturnが初ではないでしょうか。
・スタートアップから中堅企業をターゲット
現段階では、社員が1名のようなスタートアップから100名程度のベンチャーをターゲットにしている模様。大手企業までをターゲットに広げると、大規模なシステム開発が必要となるので、コーポレート管理業務にまで手が回らないベンチャーをターゲットとするのは正解ではないでしょうか。
Lnaturn に関する最近のニュース
2020年10月:シード・ラウンドで3百万ドルを調達(Tech Crunch)
East Ventures及びCoCoon Ignite Venturesから3百万ドルの資金調達をしています。同社CEOによると、この資金は人材の採用とシステムの開発に利用するとのこと。
Covid-19の影響もあり、今期は想定よりも拡大はしていないものの、CEOによれば、「クラウドベースのLanturnがパンデミック下でも同様にサービス提供できることが自明となり、今後より多くのユーザーが利用するようになる」との趣旨で前向きに発言しています。
今後の成長に注目ですね。