シンガポールの会計・財務アドバイザリー

IT・テクノロジー嫌いの会計経理人財、あえてアナログで勝負するという戦略もある。そこで必要な能力は?

「もう今更、ITとかプログラミングとかわかんないし、ついていけないよ」

このような不安を持っている会計経理職の仕事人は結構多いのではないでしょうか。

著者自身は、未来の会計経理人財はITやテクノロジーを駆使しなければかなり厳しいと考えていますが、よくよく考えれば「あえてITやテクノロジーと距離を置く」、という戦略もありかもしれません。

時間というリソースには限りがあり、なんでもかんでも手をだすと全てが中途半端になってしまうからです。

ITやプログラミングなどを本気で学び始めたら、いくら時間があっても足りなさそう。

そこで、あえてアナログに徹するという戦略について検討してみましょう。

IT・テクノロジー以外で会計経理職の人財に求められるスキルは?

ビジネス界という荒波で闘っていく中で、ITという最新かつ強力な武器を諦める以上、それに匹敵するような強力なウェポンが必要です。

この武器として私は、以下のアナログ兵器の活用をおすすめします。

1.コミュニケーション能力

まずはこれ。ありきたりですが王道の「コミュ力」です。

そもそも、会計経理業界は、他の業種、例えば営業やマーケティングなどに比べて人とのコンタクトが少なく、どちらかというと数字を相手にしていることが多い

そのため、コミュニケーション能力が多少足りなくてもやっていける傾向にあり、そのような人財が希望して入ってきがちな業種。

ということは、逆に高いコミュニケーション能力があれば差別化になり、かなり有利な戦いに持っていけます。

AIやITの発達で、今後は専門知識だけでは勝負にならず、プレゼン力などのコミュニケーション能力が会計経理人財生き残りのキー・スキルとなります。

例えば、ファームに努めるコンサル、税理士、会計士などでも、どんなに数字に強く、分析がキレキレでも、お客さんがつかないと始まりません。一番偉いの、はやはり売上を持ってくる人です。

とすれば、コミュニケーション能力を駆使して営業でお客さんをがっちり掴んでいれば、あとはITやら数字やらに強い実務系の会計人材に任せてしまえばいいですね。

実務においても、理解の早い専門家・難しい専門知識をわかりやすく説明してくれる専門家、という評判を得れば引っ張りだことなるのは間違いなしでしょう。

2.人財活用能力

こちらは、コミュニケーション能力からさらに一歩進んで、リーダーシップ能力が求められます。

そもそも、ITの嫌いだったとしても、自分の代わりに得意な人が業務を行ってくれるのであれば、わざわざ自分がITに習熟する必要はありません。

そのためには、IT人材が喜んで協力してくれるという高度なコミュニケーション能力である「リーダーシップ」を発揮する必要があります。

ただし、リーダーとして認められるためには、少なくともIT人材が何を言っているかは理解できるくらいの知識は必要です。

3.ネットワーク構築力

ネットワーク構築力。この能力もコミュニケーション能力の派生スキルですが、この能力を持っている人も、会計経理業界には非常に少ないのが現状ではないでしょうか。

組織の中でもプライベート環境でもいいですが、自分のネットワークからプラットフォームを構築できる人は、プラットフォームのメンバーから便益を受けることができます。

この上で、前述「コミュニケーション力」や「人材活用能力」があれば、たとえば独立起業など、かなり大きな仕事ができるようになります。

皆が考えつかないようなコンセプトを掲げて実行しましょう。または誰もが尻込みするようなリスクをとって行動しましょう

そのようなリスクをとる、責任を取る人の周りには、そのコンセプトに魅力を感じて優秀な人財が集まってきます

ITエンジニアはもちろん、自分より優秀な様々な人財を束ねて、コンセプトを実行しましょう。

4.専門的基礎能力

会計人材としての基礎能力、例えば財務会計・税務に関する豊富な知識や経験ですが、これらが達人級であれば、「口を挟むだけ」というビジネスモデルが成立しますし、他の専門家と「専門スキルの交換取引」が可能となります。

ITの習熟を諦めて、ひたすら自身の専門分野を磨くというのも有効な戦略です。

この際、特に有効なのは、

Give戦略

です。ご存知の方もおおいかと思いますが、ペンシルバニア大学で組織心理学を研究するアダム・グラントいよるベストセラー『Give&Take―与える人ほど成功する時代』において、「与える人」こそ成功できることを喝破しました。

ここで少しだけ紹介すると、アダム・グラントは、ビジネス人材を3つのタイプに分類しました。テイカー(Taker)、マッチャー(Matcher)、そしてギバー(Giver)です。

 

テイカー(Taker)
自分のせいかで頭が一杯で自分の利益になることしかしない人

 

マッチャー(Matcher)
自分に利益がある時に、他人にもギブする人
ギバー
(Giver)
見返りを求めず、ひたすら他人の利益に貢献する人

 

世の中の多くの人が何か恩恵を受けたら、それにかえしてお返しする考え方である「give and take」を前提とする「マッチャー」としての性格を強く有して生きています。

中には、一見「ギバー」のように見えるけど、ひたすら人から収奪する「テイカー」のような人もいます。例えば、ちょっとおごってくれるけど、すごく見返りを期待してるのが見え見えの人なんかですね。「テイカー」は長い目で見ると人が離れていき、成功することはできないでしょう。

本書の慧眼なところは、

一番生産性が低く、ダメ社員の烙印を押されるのが「ギバー」

である一方、

大成功する確率が一番高いのも「ギバー」

であったということを社会実験において科学的に発見したことです。

ギバー」がダメダメなのは、見返りもなく人助けしていたら、自分の作業の時間が失われるし、キャリアアップも狡猾に行えないため。

一方で、「ギバー」が大成功する要因としては、

ギブをし続けると「いいヤツ」という評判ができ、ギブする過程で自然発生的に形成されたネットワークから、必要な時に多種多様な助けを得ることができるから。

自分が対応可能な依頼に「ギブ」し続けることで、その分野の知見が蓄積し、基礎能力も自然に上がっていきます。

この「GIVE戦略」は、上述したアナログ人財の必須スキル4つを自然に効率よく育むことができるように思います。

「ITなんて今更勉強できないよ」という超アナログ会計人材の方は、ひたすら相手に貢献するいいヤツになってみるというのも有効な戦略でしょう。

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