【シンガポール・リート】Ascendas REITについて考察。

シンガポールREIT(不動産投資信託)は、高い配当利回り比較的堅調な値動きが特徴で、投資を検討する方も多いのではなでしょうか。

特にシンガポール在住者は、売却益や配当金が非課税のため、高い投資リターンを期待できます。

シンガポールリートの種類、メリットやリスク、リートの選び方については以下の記事にて解説しています。

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当記事では、シンガポールリートの代表ともいえるAscendas REIT (SGX:A17U)について紹介したいと思います。

Ascendas Reit (SGX:A17U)は、シンガポールで最も古い産業用施設(Industrial)リートです。時価総額は1兆円を超え、アジアで最大規模のリートの1つといえます。

Ascendas Reitの株価の推移は以下のとおり。

それでは、以前の記事で紹介した「シンガポール・リートを選ぶ際のポイント」8項目に沿ってそれぞれ分析していきたいと思います。

1. 物件のポートフォリオ

リートがどのような不動産を保有するか、Ascendas Reitの物件ポートフォリオについて確認してみましょう。

Ascendas Reitは、2022年1Q時点でシンガポール、米国、オーストラリア、欧州(主に英国)の4カ国に、計228物件を保有します。

その内訳は、商業空間 (business space)が41%で最も多く、物流施設(Logistics)、 産業施設(Industrial)が続きます。その他、データセンターやライフサイエンスの物件も保有しており、様々なセクターに分散投資されたREITといえます。

Source: Ascendas REIT 1Q2022 Business Update

2. スポンサー

スポンサーとは、リートの資産を運用する会社(資産運用会社)の大株主です。

Source: Ascendas REIT HP

Ascendas REITのスポンサーは、18 % の株式を保有するCapitaLand Investmentです。CapitaLandはアジア最大級の不動産会社で、その保有者はシンガポールの国営ファンド、テマセクホールディングス。最大限信頼のおけるスポンサーといえそうです。

3.  一口当たり分配金(DPU)と配当利回り

執筆時現在のAscendas Reitの年間一口あたり分配金(DPU)は0.13、株価は2.770となっていますので、直近の年間配当利回りは4.7%程度となっています。

最近1年の推移では4.8% 〜6.75%程度となっており、魅力的な配当利回りではないでしょうか。

Source: Investing.com- Ascendas Real Estate Inv (AEMN) as of 15 June 2022

4. テナントの状況

Ascendas Reitの直近のテナント状況は以下のとおりです。

入居率 (Occupancy rate)

シンガポール政府機関であるJTC統計との比較において、Ascendas REITの入居率は概ね市場平均と同等です。

Source: Ascendas REIT 1Q2022 Business Update

Logisticsに関しては、市場平均95.4%に比べて90.3%と多少低い水準となっています。

加重平均リース満了期間 (Weighted Average Lease Expiry)

Ascendas REIT の2022年度1Qにおける加重平均リース満了期間は3.7年です。通常、事業の賃貸契約は3年〜で、3年を下回ると現状のテナント契約を更新できていないと考えられ、リートの将来の収益性の低下につながります。

Source: Ascendas REIT 1Q2022 Business Update

加重平均リース期間は5年超が望ましいですが、3.7年は及第点といえそうです。なお、2022年1Qに新規に契約した物件の加重平均リース期間は4.2年と改善しており、今後もコロナ後の市況回復で好転するかもしれません。

5. ギアリング比率

リートのギアリング比率とは、「リートの負債/ リート資産」の比率であり、リート資産の取得に対する外部負債の割合を表すものです。Average leverage (平均レバレッジ)とも呼ばれます。

Source: Ascendas REIT 1Q2022 Business Update

2022年1Q におけるAscendas Reitのギアリング比率は36.8%です。シンガポール金融庁(MAS)によるギアリグ比率規制の50%を大きく下回り、健全な水準と言えます。

また、Ascendas Reitは、負債総額に対する固定金利負債の割合を79.1%と報告しており、利上げの影響は大きく受けない底堅い財務体質を有しているといえそうです。

6. 財務コスト

リートの財務コストは主に物件取得の借入金に対する支払利息です。財務コストについてはインテレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)で確認することができます。ICRとは、「収益/支払利息」で算定することができ、数値が高いほど財務コストが低く安全性が高いことを示します。

Ascendas REIT の2022年度1QにおけるICRは5.3倍です。

シンガポールのメガバンクDBS銀行の2022年3月の記事によると、シンガポール・リートの平均ICRは4.9倍程度と報告されており、平均より健全な財務コスト水準といえます。

7. 株価純資産倍率 (PBR)

株価純資産倍率(Price Book-value Ratio: PBR)は、REIT株価(一口当たり投資額)を一口当たりの純資産価値(Net Asset Value: NAV)で割った値です。

PBRが1より大きい場合は、REITが純資産額に比べて大きく評価されている一方、1を下回る場合は評価が低いことを示します。

Source: Investing.com- Ascendas Real Estate Inv (AEMN) as of 15 June 2022

執筆時現在のAscendas REITのPBRは1.12で、Industry平均1.03より若干高い数値ですが、適正水準です。

Ascendas REITの規模と知名度により、他のリートに比べて評価、投資されている証拠といえそうです。

8.成長戦略

最後に、Ascendas REITのDPUが今後も増加していく可能性があるか、Ascendas REITの成長戦略について確認したいと思います。

Source: Ascendas REIT 1Q2022 Business Update

2022年1Qには、オーストラリアで2つの物流施設を取得、シンガポールでデータセンターの再開発を完了させています。

Source: Ascendas REIT 1Q2022 Business Update

現在進行中のプロジェクトでは、オーストラリアで1件の新規取得、シンガポールで2件の再開発、2件の資産価値向上プロジェクトが報告されています。

さいごに

Ascendas REITは、シンガポール最大規模のリートとしてその歴史も古く、投資対象も国やセクターに多様性があり、安心感があるなと思いました。

配当利回りもシンガポールリートとしては高くはありませんが、4.5%〜5%程度はコンスタントにもたらしてくれそうで、高配当投資の一つとしてポートフォリオに入れてもいいのかなと感じました。

参考資料: Ascendas REIT 1Q2022 Business Update


 なお当記事は、投資を推奨するものではなく、あくまでも参考情報として提供するものです。投資は自己責任となりますので、何卒よろしくお願い致します。

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