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【海外人材のキャリア論】海外駐在すべきか否か、メリット及びデメリットから考える結論。

長いキャリアの中で、海外駐在をすべきか否か。これは難しい問題ではないでしょうか。

もともと海外に興味がある人は、巡り合ったチャンスにすぐに飛びつけば良いですが、そうでない人にとっては、仕事のこと、プライベートのこと、種々悩ましい問題になります。

筆者も30代で海外駐在を経験していますが、人生においては断然プラスだったと思いますが、キャリアにとってはプラスともマイナスとも言えるという感じです。

その中で、海外駐在をすべきか?という質問に対しての回答は次です。

海外駐在はすべき、でも、できるだけ早いタイミングで経験したほうが良い。

本記事では、海外駐在のメリットとデメリットを検討し、上記の結論に行きついた理由について解説したいと思います。

海外赴任・駐在のメリット

インターネットや移動手段の発達で、ますます世界は近くなって、今後も国境を超えた活動が不可欠になります。

執筆時現在においては、コロナパンデミックの影響で国外への移動は制限されてしまっていますが、これは一時的なもので、今後ますます多国籍企業から中小企業まで、海外市場へ打って出ていくと予想します。

今後、翻訳機がさらなる進化を遂げ、言語の壁も取り払われることになると、国内も国外も同じ市場ということにもなります。

特に日本は、人工の減少により国内市場が縮小しているため、生き残りのためには海外市場に目を向けることが必須です。

さて、このような状況下で、今後も海外赴任を打診される社員は増えて行くと思われます。

海外赴任をするメリットは以下のものが考えられます。

1.マネジメント力・問題解決力の向上

2.独自のポジションの構築

3.人脈の構築

それぞれ見ていきたいと思います。

1.マネジメント力・問題解決力

日本企業からの海外駐在である場合は、海外法人のマネジャー以上のポジションでの出向となり、現地スタッフをマネジメントする立場となるの場合が多いと思います。

このような、文化的背景の違うスタッフをマネジメントし、組織をリードする経験をすることはプロフェッショナル力を大変鍛えられる経験になるのではないでしょうか。

また、海外赴任先では、日本では考えられないような問題にぶつかることも多く、仕えるリソースが限られた中で対処しなければならないため、問題解決力も自然と伸ばすことになります。

海外赴任中に鍛えられたこのようなマネジメント力・問題解決力は日本に戻ったときに大いに発揮できるはずです。

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2.独自のポジション

海外に赴任することで、独自の情報、リソースを取ることが可能となり、赴任国の専門家としての地位を確立することができます。

いわばナレッジブローカー(知識の仲介者)として日本⇔外国間で知識、ナレッジの橋渡しをすることができます。

さらには、イノベーションを起こす触媒になることすら可能かもしれません。

イノベーションは異なるアイデアの組み合わせです。

異文化にふれることで新しいアイデアが生まれることや、自分の中で新しいアイデンティティが生まれることもありえます。

3.人脈の構築

こちらはいわずもがな、未知の場所に行けば新しい人との出会いがあります。

日本にいるとなかなか出会うことが難しいような様々な外国人や海外志向の日本人と新たな人脈を築くことができます。

海外赴任・駐在のデメリット

いいことづくしの海外赴任ですが、デメリットについても注意が必要です。

海外駐在のデメリットは、主に以下が考えられるのではないでしょうか。

1.機会損失

2.本社での昇進

3.家族や社会との関係

それぞれ見ていきたいと思います。

1.機会損失

まずは機会損失です。

機会損失とは、「選択しなかったことで逃した、得られるべきであった利益」です。

海外赴任中をすることで機会費用が発生することには注意が必要です。

たとえば、時間

海外赴任の準備にある程度時間がかかりますが、赴任がなければ日本での業務に集中できた時間です。

また、日本にいれば本社で大きな仕事を経験できたかもしれないところ、海外に行った場合はそのチャンスを手に入れることはできません。

2.本社での昇進

また、海外にいることで日本の本社で存在を半ば忘去れさられ、本社での昇進が遅れてしまうというのもよく聞く話です。

日本での直属の上司は、自分の目の見えるところで一生懸命頑張ってくれた部下を引き上げたいと思うのは人情でしょう。

本社で求められる能力と海外赴任中に身につけることができる能力は直接的には一致しないことも多々あります。

3.家族や社会との関係

家族や社会との関係についても海外駐在に際して無視できない問題です。

家族や友人、自分が生活していた環境から離れることは、無視できない精神的な影響があります。

このようなストレスに対処できるか、家族も含めて慎重に検討する必要があります。

それでは、海外駐在をすべきか

上記のような海外駐在のメリット・デメリットを踏まえると、海外駐在をすべきか、否かという問いにたいして、冒頭で述べたように、筆者は以下のように考えます。

海外駐在はすべし、ただしキャリアのできるだけ早いタイミングがよい

メリットで挙げたような、海外駐在で獲得できる「マネジメント力」や「問題解決力」は、早く身につけばその分、その後のキャリアを通じて長期的に使うことができます。

社内での独自ポジションや、人脈についても本社に戻ったあと、キャリアを築く中で必要に応じて有効に使うことができるでしょう。

一方、デメリットについても、キャリアの早いタイミングではあまり問題になりません。

独身であれば家族のケアはあまり必要ないでしょうし、人間関係の構築もこれからです。

本社での昇進についてもそこまで気にする必要はありません。海外赴任中に培った力で、帰任後に挽回できます。

赴任国が自分に合わなかったとしても、若いうちのたった2−3年程度の経験です。

一方、すでにある程度長いキャリアを築いてきた人にとってはどうでしょうか。

このような場合は、デメリットで挙げた項目に比重をおいて検討してみてはいかがでしょうか。

デメリットが自分のケースではそこまで重要ではないということであれば、海外駐在はすべきです。

「今の自分」が一番若い自分です。「今」がこれからのキャリアにとって一番早いタイミングですので、思い切って経験してみるのも良いのでは。

さいごに

今回は、海外駐在のメリット、デメリットについて考えてみました。

色々ありますが、最後は、打診された国とのフィーリングになるのではないでしょうか。

ちょっと調べてみてなんとなく、行ってみたいという気が起きれば行ってしまうべきです。

また、今後は、ビジネススクールINSEADのリンダ・ブリム教授が「グローバルコスモポリタン」と名付けたような「自分が生まれた国や地域にとらわれずに活動する人材」が増えてくると思います。

「日本」と「海外」のような区別を設けず、両者を自由に行き来するような人材にチャンスがあるように思います。

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