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【海外子会社管理・異文化マネジメント】外国人スタッフを率いて成果を上げるリーダーシップとは?

文化の異なる外国人スタッフをいかにマネジメントするか。

これは海外で事業を行い、外国人スタッフをマネジメントするグローバルリーダーにとって大きなハードルではないでしょうか。

人間の行動や思考様式は、文化や宗教、教育に根ざしているため、国ごとに大きく異なりますし、人間の本質に関わるものであるため、簡単に変えることはできません。

ではグローバル・リーダーたる日本人社長やマネージャーは、どのような考え方に基づいてリーダーシップを発揮すべきでしょうか。

当記事ではハーバード・ビジネスレビューより公表された論文「異文化適応のリーダーシップ」を紹介したいと思います。

この「異文化適応のリーダーシップ」の著者はエリン・メイヤー氏。名門ビジネススクールINSEADの教授で、異文化マネジメント分野の第一人者です。

「異文化適応のリーダーシップ」を参考に、外国人スタッフを率いて成果を上げるグローバル・リーダーシップについて考察してみたいと思います。

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グローバルリーダーに必要な能力

本論文では、異文化リーダーシップについて以下のように結論づけます。

どこかの国でリーダーとして成功する方法を知っているだけでは不十分である。どの文化でどのスタイルが最も効果的かをよく知った上で柔軟に選択し、望む結果を得るためにどう適用するかを慎重に決めなければならない。

日本でリーダーとして成功したからといって、そのやり方で海外でも通用するというものではありません。

むしろ、日本におけるリーダーとして適応しすぎた人は、海外でのマネジメントは苦労するかもしれません。

では、異文化リーダーシップにはどのようなスタイルがあるのでしょうか。

リーダーシップの2つの側面

本論文では、リーダーシップの重要な側面として「権威」と「意思決定」があるといいます。

権威:

その人の階級や、地位にどれくらい注意を払い、敬意を抱くか

意思決定:

誰がどのように采配を振るうか。上司か、チーム全体か

「権威」と「意思決定」は同じリーダーシップに含まれる概念ですが、その対応は文化によって全く異なります。

「権威」があるからといって「意思決定」ができるわけでもないし、その反対も、また然り。

例えば本論文では、日本人とアメリカ人を例に挙げています。

日本人は「権威」を重んじますが、「意思決定」は、多くの人がプロセスに関わり、全体の合意が必要となるケースが多いです。

これは「稟議」や「根回し」など日本の独特なビジネス慣行に見て取れますね。

一方でアメリカ人は平等主義的な文化ですが、「意思決定」はトップダウンです。

米国のような「トップダウン型の意思決定」は、変化のスピードが早い業界、例えばIT産業に向いており、日本のような「合意型の意思決定」は製品が完璧であることが求められる業界、例えば自動車産業に向きます。

そのためグローバル・リーダーは、「権威」と「意思決定」の2つを混同してはいけません

ちなみに中国、インドネシア、インドなどの新興国では、ヒエラルキーや権威への敬意が文化的に深く根付いているため、下部への権限移譲というマネジメントは簡単にフィットしないといいます。

各文化圏におけるリーダーシップの違い

上述の「権威」と「意思決定」の2軸から、「日独型」「英米型」「北欧型」「アジア・新興国型」の4象限に大まかに分けることができます。

「異文化適応のリーダーシップ, Harvard business review」より一部加工

各タイプにおいて、リーダーは以下のように振る舞うべきと本論文では指摘しています。

「日独型」:合意制・ヒエラルキー

・スタッフから常に意見や情報を求めるようにする

・忍耐と徹底を期す

・グループの決定が固まってきたら、反対意見に耳を傾けるように特に気を配る

・収集した情報の質や完成度、論拠の確かさを重視する
 

「英米型」:トップダウン型・平等主義

・自身の地位の如何に係わらず、決定が下される前に意見をはっきりいう

・自らの見解を述べることで意欲と自信を示す

・一旦結論が出たら、たとえ自分が表明した意見と違っていても、上司にすぐ同調し、その決定を尊重する

・決定後も柔軟性を保つ。必要に応じて修正や再検討が可能となる

「北欧型」:合意制・平等主義

・意思決定には時間がかかり、会議ややりとりも増えることを覚悟する

・いろいろな意見が出て議論が長引いても、我慢強く最後まで責任をもって付き合う

・上司はまとめ役であり、決定者ではない

・あとで変更がききにくいので、時間を取ってなるべく最善の決断を下す

「アジア・新興国型」:トップダウン型・ヒエラルキー

・上司とは指揮する人であり、単なるまとめ役ではない

・部下は仕事ではもちろん、プライベートでも上司の意向に従う

・期待を明確に示す。求める行動を明確かつ具体的に強調する

・発言に注意する。思いつきのコメントが決定と解釈されることがある

さいごに

本論文はビジネススクールの教授による科学的なリーダーシップ分析でした。これは、異文化の理解不足からくるミスコミュニケーションを防ぐ効果があると思います。

本論文では、以下のようにアドバイスします。

意思決定の仕方が違う文化グループをマネジメントするためには、個人のリーダーシップスタイルを調整するだけでは不十分で、どのような意思決定プロセスにするか明確にする必要があります。

個人的には、本当に重要なリーダーシップとは「相手に信頼されること」、「相手を思いやること」、「積極的にサポートしたいと相手に思わせるほど圧倒的な情熱をもって事業に取り組むこと」が大事であると思います。

当記事では、本論文の一部を解説しています。異文化リーダーシップについて、様々な国の例示がのっていますので、グローバルに仕事を行っている方は本論文を参考にリーダーシップを見直してはいかがでしょうか。

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