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【シンガポール・リート銘柄】SUNTEC REITについて考察。

シンガポールREIT(不動産投資信託)は、高い配当利回り比較的堅調な値動きが特徴でおすすめです。

特にシンガポール在住者は、売却益や配当金が非課税のため、高い投資リターンを期待でき、投資を検討する方も多いのではないでしょうか。

当記事では、代表的なシンガポールリートのひとつSUNTEC REIT (SGX:T82U)について紹介したいと思います。

SUNTEC Reit (SGX:T82U)は、シンガポールの中心街にあるサンテックシティやマリーナベイのオフィスビルなどを保有する商業施設・オフィスビルリートです。

シンガポールの主要な商業施設以外にも、オーストラリアや英国でも不動産を運用しています。

SUNTEC Reitの株価推移は以下のとおりとなります。

それでは、以前の記事で紹介した「シンガポール・リートを選ぶ際のポイント」8項目に沿ってそれぞれ分析していきたいと思います。

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1. 物件のポートフォリオ

リートがどのような不動産を保有するか、SUNTEC Reitの物件ポートフォリオについて確認してみましょう。

SUNTEC Reitは、2022年3Q時点でシンガポール、英国、オーストラリアの3カ国に、計11物件を保有します。

SUNTEC Reitの保有資産は、シンガポールを代表する商業・オフィス施設であるSuntec Cityや国際会議場であるSuntec Conventionマリーナベイ・ファイナンシャルセンターOne raflles Queyなど、大規模な物件が多いです。

(Source: SUNTEC REIT business update)

収入ベースでは、シンガポールが67%、オーストラリアが20%、英国が13%となっています。

(Source: SUNTEC REIT business update)

2. スポンサー

スポンサーとは、リートの資産を運用する会社(資産運用会社)の大株主です。

SUNTEC Reitのスポンサーは、ESR Groupです。ESR Groupは香港に本社を置く、アジアにフォーカスした不動産投資会社で、シンガポールの他、中国や韓国、日本などにも投資します。

Suntec Reitのマネジメント会社はESR Groupの子会社であるARA Trust Managementであり、Suntec ReitのHPによれば世界で3番目に大きい上場不動産投資マネージャーとのことです。

3.  一口当たり分配金(DPU)と配当利回り

執筆時現在のSUNTEC Reitの四半期一口あたり分配金(DPU)は0.02ドル、株価は1.39ドルとなっていますので、直近の年間配当利回りは7%程度となっています。

最近1年の推移では5% 〜7%程度となっており、シンガポールリートとしては妥当な配当利回りではないでしょうか。

(Source: Investing.com)

4. テナントの状況

SUNTEC Reitの直近のテナント状況は以下のとおりです。

入居率 (Occupancy rate)

オフィス施設の入居率は97.9%、商業施設の入居率は95.9%と公表されています。

(Source: SUNTEC REIT business update)

コロナ明けの現状においては、悪くない入居率かと思います。

加重平均リース満了期間 (Weighted Average Lease Expiry)

SUNTEC Reitの2022年度1Qにおける加重平均リース満了期間はオフィス施設で4.5年、商業施設で2.3年です。通常、事業の賃貸契約は3年〜で、3年を下回ると現状のテナント契約を更新できていないと考えられ、リートの将来の収益性の低下につながります。

加重平均リース期間は5年超が望ましく、商業施設の2.3年が少し短くて気になります。

ただし、Suntec Reitの物件は、シンガポールの主要施設であり、コロナの状況から回復し、旅行者の往来が通常通り戻れば、人気施設のテナント入居者を探すのはそう難しくないのではないでしょうか。

https://mypassiveinvesting.com/weighted-average-lease-expirywale-and-lease-occupational-profile/

5. ギアリング比率

リートのギアリング比率とは、「リートの負債/ リート資産」の比率であり、リート資産の取得に対する外部負債の割合を表すものです。Average leverage (平均レバレッジ)とも呼ばれます。

2022年3Q におけるSUNTEC Reitのギアリング比率は43.1%です。シンガポール金融庁(MAS)によるギアリグ比率規制の50%を下回り、健全な水準と言えます。

(Source: SUNTEC REIT business update)

また、SUNTEC Reitは、負債総額に対する固定金利負債の割合を58%と報告しており、利上げの影響は大きく受けない底堅い財務体質を有しているといえそうです。

6. 財務コスト

リートの財務コストは主に物件取得の借入金に対する支払利息です。財務コストについてはインテレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)で確認することができます。ICRとは、「収益/支払利息」で算定することができ、数値が高いほど財務コストが低く安全性が高いことを示します。

SUNTEC Reitの2022年度1QにおけるICRは2.5倍です。

シンガポールのメガバンクDBS銀行の2022年3月の記事によると、シンガポール・リートの平均ICRは4.9倍程度と報告されており、平均より割高な財務コスト水準といえます。

現在インフレ抑制のための利上げ局面にあり、今後さらなる金利上昇により支払利息の負担が一株あたり分配金に影響しないか留意が必要ではないでしょうか。

7. 株価純資産倍率 (PBR)

株価純資産倍率(Price Book-value Ratio: PBR)は、REIT株価(一口当たり投資額)を一口当たりの純資産価値(Net Asset Value: NAV)で割った値です。

PBRが1より大きい場合は、REITが純資産額に比べて大きく評価されている一方、1を下回る場合は評価が低いことを示します。

(Source: Investing.com)

執筆時現在のSUNTEC ReitのPBRは0.62で、Industry平均0.93より低い数値です、割安といえそうです。

将来の金利上昇による配当減額を織り込んで、現状の株価が割安になっているのかもしれません。

8.成長戦略

SUNTEC Reitの成長戦略について、2021年度の年次報告書や2022年3Qの最新レポートでは特段記載がありませんでした。

すでに魅力的な物件を保有しているので、その価値向上、収益増大を目指すものと思われます。特筆すべきとして、コロナが終息に向かうことで国際会議場であるSuntec Convention Centerの収益回復が期待できそうです。

さいごに

SUNTEC Reitは、2006年の上場以来、シンガポール中心部の代表的なオフィスビルやカンファレンスセンターへ投資する安定感のあるシンガポールリートです。

オフィスと商業施設、シンガポールと英国、オーストラリアとポートフォリオの分散もされており、長期投資に向いているかもしれません。

ただし、0.5%の金利上昇で一株あたり分配金が5.1%減少するという情報もあり、金利の動向に留意する必要がありそうです。


 

なお当記事は、投資を推奨するものではなく、あくまでも参考情報として提供するものです。投資は自己責任となりますので、何卒よろしくお願い致します。

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