スイスのプライベートバンクであるCREDIT SUISSEが、2021年度版「Global wealth report」を発表しました。
コロナパンデミック及びそれに対応した各国政府による支援など、例年とは違う経済環境の中でも、世界の富裕層は増加している結果になっています。
今回は、「Global wealth report」から、いくつかデータを紹介したいと思います。
イギリスの不動産コンサルティング会社Knigt Frankが超富裕層の投資に関する報告書「The wealth Report2021」を発表、コロナ下における世界の富裕層の投資状況が明らかになりました。 「Wealth Report[…]
2021年度における世界の富の状況は?
まず、当レポートにおける「富」の定義は以下となります。
金融資産の時価に家計が所有する実物資産(主に住宅)の時価を加え、債務を差し引いたもの。(会計上の貸借対照表の純資産時価に該当するもの)
1. 10万米ドルの富を保有していれば、世界の上位12%。
世界の55%の人は、資産が1万ドル以下であり、10万米ドル以上の富を保有していれば、世界の上位12%のリッチ層であり、1百万米ドルに達すれば上位1%に入ることができます。
2.GDP成長率はマイナスでも、家計の富は増加。
ほとんどすべての国で、GDP成長率がマイナスでもかかわらず、家計の富は増加しているという結果になっています。
これは、主に株価及び住宅価額の上昇によるものと分析されています。
中国については、GDP成長率がプラスであるにも関わらず、家計の富は減少するという他国とは異なるトレンドなっており興味深いです。
3.成人一人あたりの家計の富
日本とシンガポールの成人一人あたりの富は、以下となっています。
シンガポール:平均 33万2千米ドル(10位)、中央値 8万6千米ドル(20位)
シンガポールはリッチな国であるイメージがありますが、中央値にすると金額、ランキングが下がっていますね。これはスーパーリッチがいる一方、大多数の国民は、平均以下の富となっていることによるのかもしれません。
4.ミリオネアの比率
お金持ちのベンチマークであるミリオネア(1百万米ドル(約1億円)の富を所有する人)の割合は、シンガポールは5.5%です。
シンガポールでは20人とすれ違えば、そのうち1人はミリオネアということになります。
日本の3.5%は約330万人がミリオネアです。結構多いですね。なお、スイスは驚異的で15%。7人に1人はミリオネアです。
2025年までのミリオネアの推移
2025年までに、世界のミリオネアは27百万人増加して84百万人に達すると見積もられています。これは現在の49%の増加にあたります。
日本では、366万人から541万人の47%増加、シンガポールは27万人から43万人の61%増加です。
やはりトップレベルの増加率が見込まれるのがは中国で、527万人から1,017万人へ92%増加となります。
これからさらにテクノロジ―の進化が加速していき、チャンスを掴むことのできる人はミリオネアの仲間入りをしていくことでしょう。
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日本、韓国、シンガポール、台湾の比較
韓国、シンガポール、台湾などアジアの新しい先進国の追い上げは激しいものの、人口の多さもあって、依然として日本は圧倒的に富を蓄積していることがみてとれます。
さいごに
トマ・ピケティが提唱した、
「r > g」
すなわち、資本利益率(r)は経済成長率(g)を上回るという公式のとおり、国家経済がコロナであえぐ中でも、富裕層の富は増大しつづけるという結果になりました。
資産を持つ者はますます富み、持たざる者との経済格差が拡大しています。
個人レベルでも賢く投資を行い、「r」の恩恵を受けることを考える必要がありそうです。