イギリスの不動産コンサルティング会社Knigt Frankが超富裕層の投資に関する報告書「The wealth Report2021」を発表、コロナ下における世界の富裕層の投資状況が明らかになりました。
「Wealth Report」では、富裕層について以下の定義づけをおこない、世界のお金持ちの投資状況について調査・分析しています。
・富裕層(HNWI):1百万米ドル以上の純資産を保有する個人
当記事ではExective Summaryを中心に、シンガポール及び日本に関係のあるデータを紹介します。
スイスの有名ビジネススクールIMD及びシンガポール技術デザイン大学(SUTD)が調査報告書「Smart City Index Report(世界のスマート都市ランキング)」を公表、昨年に引き続きシンガポールが「トリプルA」を取得し、世界の[…]
世界の超富裕者は増加している
アジア地域では12%の驚異的な増加となっている一方で、ラテンアメリカ、ロシア、中東では通貨価値の下落、コロナパンデミックの広がりにより減少している。
富裕層及び超富裕層の人数推移は以下のとおりです。
総人口に対する富裕層(資産1百万米ドル、約1億円超)の割合は、日本で2.1%、シンガポールは7%となっています。
各国のお金持ち上位1%に入るために必要な資産額は、モロッコが7.9百万米ドルと突き抜けていますが、シンガポールは2.9百万米ドル、日本は1.5百万米ドルとなっています。
アジア諸国が上昇しており、台湾はすでに日本と同額の1.5百万米ドル、韓国は1.2百万米ドル、マレーシアでも0.5百万米ドルとなっています。
富の獲得について、アジアがカギとなる
2025年までには、世界の超富裕層の24%を占めるにいたるが、これは10年前の17%から急増加することになる。
特に中国では超富裕層の人数は246%増加することが見込まれる。
「富の不平等」がリスク要因になる
特に資産税(wealth tax)の導入がアルゼンチンやカナダ、韓国で議論されており、世界各国に広がる可能性がある。
グローバル化は縮小しているが、富裕層の移住熱は高い
また、超富裕層のうち25%近くが、2つ目のパスポートまたは外国市民権の取得を目指している。これは昨年比50%の増加である。
ただし、各国政府の財政と超富裕層の投資目的移民との間の緊張は高まっている。
都市の勃興
たとえば、コンパクトシティ、グリーンシティなど再開発ブームが予想される。都市開発は、超富裕層による不動産投資の中で、3番目に人気のある投資先である。
都市別の富、投資、ライフスタイルをランキングしたCity wealth index(都市別富裕指数)によれば、ロンドン、ニューヨークがトップ2です。
東京は富、投資で世界2位、ライフスタイルで順位を落とし11位、総合4位。シンガポールはライフスタイルで6位と健闘し、総合8位となっています。
他にはパリ、香港、シカゴ、ロスアンゼルス、ミュンヘン、アムステルダムがトップ10にはいっています。
住宅への投資
不動産投資は2020年度に落ち込んだものの、個人投資家による投資総額は、10年平均よりも9%高い水準となっている。超富裕層は2021年度も投資を計画していることから、この傾向が続くことが予想される。
テクノロジー革命がポスト・コロアン時代の重要な投資先であり、未成熟のデータセンター市場やライフサイエンスセクターへの需要が上昇している。
コロナウィルスによるオフィス空間の再設計も新しい投資機会を創出している。43%の投資家はESG(環境、社会的責任、ガバナンス)投資に興味を示しており、グリーン・省エネ不動産への需要が急速に増加している。
2020年度におけるシンガポールの住宅価値上昇は0%、2021年度は3%が見込まれています。一方、東京は2020年度6%の上昇、2021年も引き続き3%の上昇となっており、資金がないと不動産には手が出しにくくなっているのではないでしょうか。
さいごに
コロナ対策のため各国政府が財政出動を急激に増加させています。
2021年1月時点でその額は1400兆円にのぼり、この結果、世界の借金である公的債務がGDPの合計値97%を超えたと報じられています。
一方、世界に溢れた資金が投資に向かい、資産価値が上昇、富裕層はますます資産を膨らませていることが伺えます。
富裕層でなくても、適切に投資を行って資産防衛することが必要ではないでしょうか。