世界104カ国における政府のガバナンスと成果を評価する指標「チャンドラー・グッド・ガバメント・インデックス(CGGI)」が公表されました。
CGGIは、チャンドラー研究所が公表する指標で本年度が初めての公表になります。
チャンドラー・グッド・ガバメント・インデックス(CGGI)の評価指標は?
CGGIでは、7つのカテゴリーにおける34の指標から評価。一般に利用可能なデータベース50以上について、重要性によりウェイトづけし、0〜1の値で評価しています。
1.リーダーシップ・先見性(Leadership&Foresight):腐敗防止、長期のビジョン、適応性、戦略的な優先
2.法律・政策(Robust Laws & Policies):法の統治、司法の質、透明性、規制ガバナンス
3.強い組織(Strong Institutions):調整、データ利用、実行、官僚組織の質
4.財政規律(Financial Stewardship):政府債務、歳入、歳出の効率性、カントリーリスク
5.魅力的な市場(Attractive Marketplace):不動産権、マクロ経済環境、投資の魅力、ロジスティック、ビジネス規制
6.世界的な影響力(Global Influence & Reputation):国際貿易、外交、国家ブランド
7.人へのサポート(Helping People Rise):教育、健康、公共サービス、安全、環境、所得の平等、公共交通、ジェンダーギャップ、無差別
シンガポールは3位。その理由は?
15位までのランキングは以下図のとおりとなります。
シンガポールは世界3位と上位にランクインしています。
各カテゴリーのうち、シンガポールが世界1位の指標となっているのは「財政規律」と「魅力的な市場」です。
「財政規律」に関しては、シンガポールの2019年度対GDP比政府債務は120%ですが、資産を差し引いたネットの債務は0%です。
この政府の借金についても、投資と市場創出目的のみに発行されており、その投資からのリターンにより利払など借金に由来するコストについては賄うことができています。
近年ではコロナの影響で政府債務比率が上昇しているものの、世界的の信用市場ではシンガポールは最も健全な政府であると認められていることになります。
また、同じく世界一と評価されたのが「魅力的な市場」。こちらも政府の国家ビジョンに基づき、東南アジア域内さらには世界のサプライチェーンとして君臨、アジアの金融センターとして資本市場でも存在感を放ちます。
国際物流会社の大手DHLが2020年度版国際連結指数「Global Connectedness Index」を公表しました。 前年に引き続き、シンガポールは世界で第2位という結果。世界で最もグローバル化が進んだ国のひとつということが示され[…]
さいごに
日本も14位と健闘していますが、「財政規律」や「強い組織」などのカテゴリーが足をひっぱっています。対GDP政府債務の膨張は言わずもがな、「強い組織」の点でもデータ活用やIT技術導入、縦割り行政により機能不全など問題は山積みです。
CGGIの上位には、北欧の先進的な民主主義国家が軒並みランクイン。この中にぽつんと東南アジアの独裁国家であるシンガポールが入っているのは特徴的です。
シンガポールは今後の世界における、効率的な国家運営の一つの形として注目に値するのではないでしょうか。
ただし、シンガポールのような政府が成功するためには、国民から尊敬され、支持されるような優秀な政治家及び官僚、明確な国家ビジョンと規律が求められそうです。