2021年度ASEAN国民の意識調査。日本の好感度、期待は依然として高いという結果に。

ASEAN Studies Centreが、東南アジアに属する国民に対する意識調査「The state of Southeast Asia 2021」を公表しました。

以下のカテゴリーに関するオンライン調査となっています。

(1)学問・研究
(2)ビジネス・ファイナンス
(3)政府
(4)市民社会・民間・メディア
(5)地域・国際組織

回答者は1,032名であり、ベトナム、シンガポール、ミャンマー人が各150名以上で多数となっています。

当記事ではいくつか紹介したいと思います。

東南アジア人が現在、最も懸念する事項は?

コロナ下ということもあり、東南アジアで最も懸念すべき事項は「Covid-19パンデミック」との結果に。「雇用問題」「収入の問題」があとに続きます。

(Source:The state of Southeast Asia 2021)

一方、「ASEANの政治」という観点からは、「非効率な発展、発展の遅れ」が多数を獲得しています。「米中2大国の競争地域になること」「パンデミックへの対処不能」が続きます。

米中どちらか選ぶなら?

ASEANへの影響が大きい2大国であるアメリカ、中国のうちどちらかを選ぶなら、「米国がよい」とする意見が61.5%となり、2020年度の53.6%から増加しています。

(Source:The state of Southeast Asia 2021)

国別ではフィリピン、ベトナムでは84%の回答者が、シンガポールでは65%の回答者が米国を望ましいパートナーとしている一方、タイ、カンボジア、マレーシアでは50%近辺で意見は割れているようです。

戦略パートナーとして期待できるのは?

米中2大国の影響を緩和するための戦略パートナーとして期待されているのが、EU(40%)と日本(39%)でほぼ拮抗しています。複数国のEUに対して同程度ということは、まだまだASEANにとって、日本への期待は大きいようです。

日本への期待は?

「日本を信頼する」と回答した割合は67%であり、主要大国中、最も高い信頼値でした。(米国:48%、EU:57%、中国:16.5%)

(Source:The state of Southeast Asia 2021)

その理由として、「日本は合理的な利害関係者であり、国際法を遵守するため」が最多で、「日本が巨大な経済的リソースを有しており、国際的なリーダーシップを発揮する政治的な意思がある」が続きます。

一方、日本を信頼しないとする理由は、「国際的なリーダーシップを発揮する政治的な意思がない」がトップに、「中国や韓国など東アジアでの対立に手間取り、国際的な問題に対処する余裕がない」が続きます。

日本の国際的なリーダーシップに対するASEANの捉え方は割れていることが見て取れます。

お気に入りの海外旅行先は?

「お気に入りの海外旅行先」についても、日本がトップとなりました。30%を獲得し、2位のEU(23%)を大きく引き離しています。

(Source:The state of Southeast Asia 2021)

カンボジア、ベトナム、インドネシアを除く全ての国で日本が最もお気に入りの旅行先に選ばれています。

さいごに

本調査レポートでは合計57の質問に対する調査結果が報告されています。近時を反映してCovid-19に関する質問や、米中対立に関する質問が厚くなっています。

サンプル数が多くはないため、回答がASEAN全体の意見を表せているかには疑念が残りますが、現在ASEANが直面している論点整理ASEANの意見のイメージ感を掴むことができる報告書となっています。

いまだにASEANでは、日本への期待値や好感度が高いことが浮き彫りになっており、今後も日本はASEANと良好な関係を築けるようにASEANに貢献することが必要ではないでしょうか。

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