【シンガポール・フィンテック】フィンテック投資の最新トレンド。

会計コンサルティング会社のKPMGが、2021年上半期のフィンテック投資の状況に関するレポート「Pulse of Fintech」を公表しました。

このレポートでは、世界各国のフィンテックの状況を分析した大作となっていますが、当記事ではシンガポールを中心に解説したいと思います。

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世界のフィンテックのトレンド

2021年上半期のフィンテック領域におけるトレンドは以下のとおり報告されています。

暗号通貨が注目

2021年度に入っってから、ブロックチェーン及び暗号資産に関する活動が拡大しています。今後もこのトレンドは加速し、ブロックチェーンのエコシステムが発展していくと予測されています。

M&Aは引き続き増加

フィンテック界隈のM&Aも引き続き増加しています。国境をまたいだクロスボーダーのM&Aもについても堅調で、フィンテックにおけるリーダー争いが繰り広げられています。

SPACが話題を呼ぶ

2021年度はSPAC (特別買収目的会社)が注目されました。SPACは、空のハコを上場させて資金を集め、そのお金で非上場株式を買収しハコに収める手法です。この手法でASEANなど新興国の会社を上場させるトレンドが来るかもしれません。

サイバーセキュリティーの問題

デジタル取引の増加により、サイバー攻撃やランサムウェアの問題が増大しています。サイバーセキュリティーは、特に企業には不可欠な分野であり、不正マネジメントやマネロン対策のKYC(Know your customer、本人確認)技術と並んで注目を集める分野になっています。

フィンテック業界におけるB2Bビジネス

BAAS(Banking as a service,サービスとしての金融)などフィンテックに関連したB2Bサービスが増加すると予想されます。これは決済領域だけではなく、ウェルス・テック(テクノロジーによる資産運用)やレグ・テック(テクノロジーによる法律サービス)など領域にも及びます。ファイナンスサービスと他領域の融合が進んでいくと予測されています。

パートナーシップモデル

パートナーシップによるサービス拡大が重要な手法になってきます。法律✗ファイナンス、資産運用✗テクノロジーや、プラットフォーマー✗金融機関などなど、ビジネス領域をまたいだ新サービスにはパートナーシップが必要となります。

シンガポールのフィンテック投資の状況

次に、シンガポールにおけるフィンテック投資の状況について紹介したいと思います。

(Source: Pulse of Fintech, KPMG 2021)

2021年度上半期のフィンテック投資の状況

2021年上半期におけるシンガポール・フィンテックの投資は6億14百万米ドルで、前年同期の9億30百万米ドルから減少しました。一方で、取引件数は72件と過去最高を記録しており、小型〜中型のフィンテック投資・資金調達が増加したと推測されます。

Grabの大型公開が予定

今後の大きなトピックとしては、シェア・ライドやフード・デリバリーアプリのGrabが発表したSPAC(特別買収目的会社)の手法による新規株式公開。400億米ドル規模と想定され、2021年度中に予定されています。

新たに認可されたデジタル銀行

シンガポール金融庁によりデジタル銀行のライセンスが4つの企業(または企業体)へ交付されていますが、デジタル銀行によるフィンテック投資は目立ったものがありませんでした。この理由としてレポートでは、オペレーションやプロダクトに注力しているためと説明されています。

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グリーン投資が注目

2021年の第1四半期に、シンガポール金融庁(MAS)よりグリーン投資に関するイニシアティブが公表されました。グリーン・ファイナンス、環境関連の情報開示等に関するロードマップなどが示されています。今後はグリーンビジネスが注目されていくのは間違いないのではないでしょうか。

詳細はレポートをご参照ください。

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