【シンガポール・税務】事前税務裁定(Tax Advance Ruling)で税務処理の取扱いを確認。

シンガポールの税務において取り扱いが不明な場合、「事前税務裁定(Tax Advance Ruling)」の制度が認められています。

事前税務裁定(Tax Advance Ruling)とは

事前税務裁定(Tax Advance Ruling)とは、ある取引において税務上の取り扱いが不明瞭な場合に、税務当局に対して見解を問い合わせる行為をいいます。法律の解釈が必要であるけれど、明確な取り扱いがわからない場合に「事前税務裁定(Tax Advance Ruling)」の利用を検討します。

注意すべき点は、「事前税務裁定(Tax Advance Ruling)」による税制度の解釈は、裁定の申請者及びその特定のケースで対象となる年度(year)または期間(period)においてのみ適用可能である点です。

事前税務裁定(Tax Advance Ruling)が認められないケース

税務上の正しい取り扱いが不明瞭な場合に非常に役に立つ事前税務裁定(Tax Advance Ruling)制度ですが、以下のようなケースでは、申請が拒否されます。

・外国法(foreign law)や、2重課税回避のための租税条約の適用が関連するもの

・シンガポール税務当局(IRAS)にとって事実関係の確認が必要なもの

・シンガポール税務当局(IRAS)にとって一般に公正妥当と認められた会計原則または商習慣に対する意見の形成が必要なもの

・異議申し立て(objection)や訴訟(appeal)に関するもの

・裁定結果の正確性が、将来やその他の事象に関する仮定に依存する

・対象となる取引の賦課年度について、IRASがすでに課税通知を発行している

・IRASがすでに税務調査(audit or investigation)に着手している

・IRASの意見において、重要ではない、または申請する企業が真剣に取り扱っていな


・IRASの要求に対して申請企業が十分な情報を提出しない

事前税務裁定(Tax Advance Ruling)の申請方法

事前税務裁定(Tax Advance Ruling)の申請には、所定のフォームを提出する必要があります。以下のHPにリンクがあります。

事前税務裁定(Tax Advance Ruling)の処理は、申請の順番に応じて勧められますが、IRASは8週間以内に結論を出すように努力すると記載しています。案件が複雑で時間が必要な場合は、事前に連絡が来ます。

660シンガポールドルの申請料がかかり、申請自体が却下されても返金はされないため、留意が必要です。

4時間を超えてIRASの対応が必要である場合、超過時間について、165シンガポール/時間のタイムチャージが発生することがあります。

税務上の取り扱いがわからない取引がある場合、事前税務裁定(Tax Advance Ruling)に申請すベき取引か否かを慎重に検討するため、現地の専門家に相談することをおすすめします。


当該情報は執筆時時点に公表されている法令・ガイドライン等を参照しています。本記事に記載された制度は、弊法人作成後、法令・条例・通達・税制の変更・改正等により、改廃が行われている可能性があります。従いまして、特定の目的利用及び専門的な判断にあたっては、会計・監査・法務・税務・労務等の専門家にご相談頂くようお願いいたします。本資料に基づいた行為(不行為)につき、一切の責任を負いません。

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