海外で起業し、そのままFIRE(経済的自立・早期退職)に突入する。これは海外志向の強いビジネスマンの一つの理想型ではないでしょうか。
この海外起業・FIREを達成したのが本書の著者である蒲原隆氏。
本書「英語力ゼロから始めて海外起業でFIREする!」は、37歳で突然リクルートを退社し、語学留学。その後20年でシンガポールとタイに3つの会社を持つ会社オーナーとなった著者のキャリアストーリー。
近年FIREが話題ですが、金融や投資ではなく、起業、しかも海外起業というところが本書でユニークなポイントです。
「フツーのサラリーマン」だった著者が、なぜ海外に3つの会社オーナーになれたか、本書を読むとその道筋と、必要となるスキル・姿勢を学ぶことができます。
当記事では本書から、海外起業・海外FIREにつながる3つのポイントを紹介したいと思います。
本とは、著者がその知見やノウハウを惜しみなく発揮する知の結晶。 何か新しい事業を行う場合や、新しい場所に赴く際に、先人の知恵を学ぶことが出来る、素晴らしい宝庫です。 当記事では、シンガポール、東南アジアに在住する方、事業を起こ[…]
海外起業・海外FIREまでのキャリアの道筋
本書では、海外起業・海外FIREまでのキャリアの道筋として4つのフェーズをたどることを勧めています。
ここでは各フェーズの主な考え方を紹介します。
フェーズ①: 雇われ期(国内)
・企業に勤務して給料を得ながら、ビジネスパーソンとしての基礎スキルを習得
・特にリーダーシップの経験は、どの企業でも重宝される「雇用される力」となる
・この時期に英語力も並行して学ぶことが重要
フェーズ②: 雇われ期(海外)
・リーダーシップと英語力を身につけた後、海外の企業に転職
・海外のスタッフとともに働き実践的な英語力と国際的なビジネス経験を得る
フェーズ③: 起業(海外)
・「グローバル」と「リーダー」のスキルと経験が十分に高まったら起業の準備
・最初は一人でも起業。ビジネスが軌道に乗ればスタッフを雇い、チームで成果
フェーズ④: 会社オーナー(海外)
・他の社員が自立して仕事できるようになれば、スタッフに経営を任せる
・自身は現場から退き、会社オーナーとしての役割に専念
・これにより、定期的な配当収入を得ることができる
海外起業を成功に導く5つの行動特性
特定の行動特性を有する人が、海外起業で成功しやすいと著者は言います。
・好奇心(Curiosity):新しいことに興味を持ち続ける
・持続性(Persistence):失敗してもあきらめずに努力する
・楽観性(Optimism):何事もポジティブに考える
・柔軟性(Flexibility):こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
・冒険心(Risk Taking):結果がわからなくても挑戦する
たしかに、好奇心がないと海外で転がっている様々なチャンスを見逃してしまいます。また、海外起業はすぐに成果が出ることは稀で、粘り強く諦めずに続けることが必要なのも納得。
日本とは商習慣も文化も異なるため柔軟性と楽観性を持っていないと精神的に疲弊してしまいます。
冒険心。個人的にはこれが一番重要だと思いますが、冒険心をもって、とりあえず挑戦する姿勢なのは間違いありません。
海外起業・海外FIREを目指すためのスキル
本書で繰り返し強調されているのが、「グローバル」x「リーダー」のスキルと経験。
海外でFIREを達成するためには、英語力だけでなく、リーダーシップのスキルと多国籍環境での実務経験が不可欠です。
単に語学力を持つだけでなく、異なる国籍のスタッフと共に働き、彼らをマネジメントする経験をすること。
それにより他の国籍の人々と円滑にコミュニケーションを取りながら仕事を進める能力が養われ、どこでも通用する「グローバルリーダー」としての地位を築くことができると著者はいいます。
さいごに
当記事で紹介したポイント以外でも、本書には海外起業・海外FIREを達成するための知恵がたくさん紹介されています。
また、若いビジネスパーソン向けのキャリア論(特に海外)、リーダーシップ論(外国人マネジメントや決断力・心得など)、グローバルリーダーのための英語術(例えば、英語が拙くてもなんとか伝えようとする姿勢)など、ビジネスキャリア本としても秀逸です。
本書「英語力ゼロから始めて海外起業でFIREする!」は、海外での起業に興味のある方、グローバル人材として活躍したい方にぜひおすすめの一冊です。
-目次-
序章:FIREへの道は「海外の会社オーナー」で切り拓く!
第1章:「人生100年時代」。あなたのキャリア、大丈夫?
第2章:グローバルリーダーへの扉を開いた英会話学校
第3章:国内営業一筋のわたしが海外で社長、そして会社オーナーに?
第4章:「グローバルxリーダー」でレア人材を目指そう!
第5章:成長著しいアジアで起業にチャレンジしよう!
第6章:会社オーナーになってFIREに、さらにその「先」へ