世界的な金融サービスネットワークの英国CITCOの子会社であるMercatorが「各国の経営のしやすさ」を評価する「Mercator Entity Managemnet Report 2021」を公表、シンガポールが世界トップと評価されました。
本記事では、「経営のしやすさ」でシンガポールが1位となった理由について解説したいと思います。
シンガポール発展の理由 シンガポールは世界で最も経済的に成功している国の一つと言えます。たとえば、以下のランキングに見て取ることができます。 世界競争力報告(世界経済フォーラムWEF) ランキング世界1位(2019年度、前年は2位)。「[…]
当報告書の評価基準は?
Mercatorの本報告書は、世界160カ国に展開するクライアントの自社サービスのデータを利用・分析し、主に、
・コスト
の観点から、各国の事業管理のしやすさについて評価するもの。
特に法務や税務的な申告、書類提出など総務・管理業務を中心とした評価となります。
シンガポールが世界1位の評価。
本報告書において「経営のしやすい」国としてシンガポールが1位を獲得しました。
その理由として、以下が挙げられています。
・事業活動に関するほぼ全ての処理にオンラインでの対応が可能
・柔軟なリモート対応が可能であり、コロナ下においても事業継続が可能
・公式な文書でも電子署名が、認められている
・株主総会や取締役会の開催がリモートでも認められる
・(税務や会社法上の)法的義務履行の延長について、オンラインで簡単に申請できる
・(税務や会社法上の)法的義務履行の履行を遅れたことに対する罰則が比較的低い
たとえば、「経営陣の変更に必要な期間」という項目で1位となっています。
オフショアでのペーパーカンパニー拠点として著名なケイマン諸島より上位となっていますが、これは経営陣の変更についての法的書類の認や当局への報告に係る期間が最も短いことを意味します。
個人的には、シンガポールではデジタル化がかなり進んでいますが、これが低コストかつ業務手続期間の短縮に貢献して「ビジネスのしやすさ」を際立たせているものと思います。
ドイツの戦略コンサルティング会社であるローランド・ベルガーが報告書「Improving digital inclusion in Southeast」を公表しました。 東南アジアにおけるデジタル・インクルージョンの状況に関する内容と[…]
ちなみにランク最下位は意外にも先進国である韓国。
高コストな割に、手続きの期間が長くかかることが評価を下げているようです。その後インドネシア、カザフスタンに続きます。
さいごに
総務・管理業務的な視点からビジネスのしやすさを詳細に調査する報告書は、いままであまりなかったイメージです。
これら管理業務は、企業活動においてはバックオフィス的な業務で収益に直接貢献するものでもなくあまり重視されませんが、企業が余計なストレスなく、法令を遵守しながら業務をスムーズに回すには重要な業務となります。
今回のデータは海外展開する企業の子会社管理業務についてベンチマークを提供し、効率的なグローバル展開に役立つことになりますので、海外進出の際の参考になるかと思います。
興味のある方は、リンク先の報告書を参照してください。
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