シンガポールでは、特定の固定資産の所有について固定資産税(Property Tax)が課税されます。
地震などの不動産シンガポールの不動産は外国人でも永住権者の住居目的、また投資賃貸目的で保有する方も少なくありません。
国土が広くないシンガポールでは、不動産の供給も限られているため値崩れしにくく、投資収益(キャピタルゲイン)が見込める点や地震などの大きな災害がない点で、不動産投資に向いています。
(ただし、不動産の所有権は99年のリースホールド(定期借地権)であることや、外国人の不動産購入には20%以上の高税率の印紙税が課税されるなど、マイナスのポイントもあるので投資に関しては留意が必要です。)
シンガポールの税金のひとつに印紙税(Stamp Duty)があります。 印紙税とは日常の経済取引伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)など特定の文書に課税される税金(日本国税庁HPより) 今回は、シンガポールの印紙税につ[…]
日本人がシンガポールにおいて留意すべき固定資産税は、住宅用不動産、商業・産業用不動産かと思います。
今回は不動産を所有した際に課税される固定資産税(Property Tax)の概要について解説したいと思います。
固定資産税率の引き上げ(2022年税制改正)
2022年2月18日に公表の税制改正により、2023年1月1日より固定資産税の税率が引き上げられました。当記事では、改正後の情報を反映させています。
2022年2月18月にシンガポールの国家予算及び税制改正の2022年度版が公表されました。 当記事では、2022年税制改正の主な内容について解説したいと思います。 (2021年度の税制改正はこちら参照) [sitecard[…]
シンガポール固定資産税の計算式
シンガポールの固定資産税は、以下の計算式で算定されます。
年間評価額(Annual Value)及び税率(Tax Rate)は固定資産の種類によって異なります。
それぞれ見ていきましょう。
年間評価額(Annual Value)とは
年間評価額(Annual Value)とは、固定資産算定の基礎となる不動産評価額です。
住宅用不動産、土地及び商業・産業用不動産で取り扱いが異なります。
住宅用不動産
住宅用不動産の年間評価額は、見積り年間賃貸料総額(Estimated gross annual rent)となります。
この金額は、賃貸料のマーケット相場または比較可能な不動産の相場を元に算定され、実際に受け取っている賃貸料とは別に計算されます。
この年間賃貸料には、家具など備品の賃料、メンテナンスフィーなどは含まれません。
オーナーが住んでいる場合でも、そうでない場合(たとえば第三者に賃貸している場合)でも評価額は異なりません。(ただし適用される税率は異なります。)
土地及び商業・産業用不動産
土地及び商業・産業用不動産の年間評価額は見積り市場価額(Estimated freehold market value)の5%となります。
https://www.iras.gov.sg/IRASHome/Property/Property-owners/Learning-the-basics/About-Annual-Value/
シンガポール固定資産税の税率
それでは、税率を見ていきましょう。
住宅用不動産の固定資産税は、年間評価額(Annual Value)に応じた累進課税となっています。
住宅用不動産については、オーナーが居住している場合と、オーナーが居住していない場合で料率が異なります。
オーナーが居住している場合は、賃貸収益を得る事ができないため、固定資産税は低額となります。
オーナーが居住している場合の税率
2023年より、固定資産税率が引き上げられています。
オーナーが居住していない場合の税率
2023年より、固定資産税率が引き上げられています。
商業・産業用不動産(非居住用)
商業用・産業用不動産については、年間評価額(Annual Value)に対して一律定額の10%が課税されます。
シンガポール固定資産税の納付時期
固定資産税は年1回、1月末までに納付する必要があります。
対象となる期間は翌年度1年分ですので、年間支払額を前払いすることになります。
シンガポール税務当局(IRAS)から、固定資産税納付書(Annual Property Tax Bill)が送付されますので、その課税金額に従って納付します。
また、年間評価額(Annual Value)の評価通知書(Valuation Notice)が送付される年度があります。IRASの方で、対象物件の年間評価額(Annual Value)が計算され、物件所有者に通知される仕組みです。
当該情報は執筆時現在に公表されている法令・ガイドライン等を参照しています。本記事に記載された制度は、法令・条例・通達・税制の変更・改正等により、改廃が行われている可能性があります。従いまして、特定の目的利用及び専門的な判断にあたっては、会計・監査・法務・税務・労務等の専門家にご相談頂くようお願いいたします。本資料に基づいた行為(不行為)につき、一切の責任を負いません。