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文化の境界を越える人「ディアスポラ」が今後のグローバル人材のあり方かもしれない。

ディアスポラという言葉があります。これは、自国文化、異文化にとらわれない活動をする人のあり方を言います。

以前の記事で、異文化理解の方法論について解説しましたが、「ディアスポラ」は、記事の参考文献「異文化理解(著者:青木保)」で出てきた興味深い概念でしたので、ここで紹介したいと思います。

 

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ディアスポラとは

本書によれば「ディアスポラ」とは、もともとは古代ユダヤ人が祖国を追われて流浪の民となった「離散」を語源とする言葉です。

このような流浪の民は、異国の地で自国の文化にも異国の文化にもどちらにも属さない、「文化の狭間」を生きることで、創造力を発揮し新しい文化を創出してきました。

筆者は、「ディアスポラ」こそが、人間が新しい文化を作っていく大きなきっかけになってきたと主張します。

「ディアスポラ」の代表的な例でいえば、アメリカ

移民の国、アメリカは、20世紀初頭のロシア革命やナチスによるユダヤ人迫害での流浪の民を受け入れることで新しい文化を創出し、ノーベル賞やハリウッド映画、音楽の発展につながりました。

また、最近までは香港がその役割を果たしていたと筆者はいいます。

香港は1997年にイギリスから中国に返還され、中国の1国2制度の下、欧米的な価値観の共存が認められていました。この、中国でもイギリスでもない「中間的な境界性」が香港の魅力でした。

最近では、香港の中国化が進んでおり、「ディアスポラ」的な発想は抑え込まれてしまっています。国際都市としての香港の今後は要注意です。

一方、もうひとつのアジア金融都市シンガポールは、政治的には一党独裁であるものの外国人の受け入れを積極的に行っています。

華僑を代表とする「東アジア」、マレー系を代表とする「イスラム」、インド系を代表とする「南アジア」の文化をコアに、様々な国からやって来る文化の越境者たちが、「シンガポール文化」といえる新しいモノを創り出しているといえそうです。

シンガポールはビジネス移民が多く、また国として積極的に誘致していることもあることから、その「シンガポール文化」は金融・IT・バイオ・AIなど最先端技術を基礎としたハイテク文化になりつつあるように思えます。

グローバル人材として活躍するには

今後、グローバル人材として世界で活躍するには、まさしく「ディアスポラ」である必要があると思います。

外国人にとって、異国の文化に同化するのはかなり難易度が高いです。一方で、自国の文化を持ち込んでもうまくいきません。

現代は変化が激しい時代ですから、新規性やクリエイティビティが多くの国で求められています。

短期間でも海外で働く人は、文化の狭間にいるという境遇を幸運と思い、独特な発想とクリエイティビティでパフォーマンスを出していくように心がけるのが良いのではないでしょうか。

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