OCR技術の発達と会計経理業務への影響の考察。

OCR技術の進化

光学文字認識技術、いわゆるOCRの進化が進んでいます。

例えば、 パン屋さんですらAI搭載のレジを利用することができる様になっています。

このレジは、トレーに載ったパンを読み取り、約1秒で値段を計算することができるというシステム。

 パンの画像データをあらかじめ登録しておき、AI機能のついたOCRで、パンの種類を判断できます。

OCRが正確に認識できない場合は、まだまだ人間がマニュアルで選択する必要がありますが、AIが日々データを蓄積し、識別の精度は向上していくそうです。

記事によると、新人の店員さんはパンの種類が多い場合、値段を覚えるのに半年もかかってしまうのだとか。

導入費用は300万円とのことですが、このシステム導入によりレジ係を一人減らすことができれば、1年で投資費用は回収できます。

さて、このようなAIを利用したOCR技術がすさまじい勢いで発達していますが、会計経理人財の業務にどのような影響を及ぼすか、考えてみました。

商品棚卸の自動化

商品・製品を扱う会社の場合、年1、2回は必ず実施するのが棚卸です。

棚卸は、会社の在庫数量や状態、金額を把握するために必要不可欠な作業ですが、社員が総出で行わなければならないほど手間がかかる場合も。

特に、製品点数が多い製造業や小売業にとっては、一大イベントになります。

たとえ年1−2回の棚卸でも、そのコストは莫大です。

今回のAIレジのように、写すだけで製品を特定することができれば、棚卸は自動化することが可能かもしれません。

例えば、スーパーで棚卸において、1人の作業担当者が、商品を読み取るデバイスを手に持って、ゆっくり歩いていくだけで棚卸が完了する。

そんなことができるようになるかもしれません。

固定資産実査の自動化

棚卸と同様、工場などを有する企業の場合は、生産設備などの固定資産についても定期的に実査する必要があります。

貸借対照表上に計上されている固定資産が実際に存在するか、使っている固定資産が網羅的に貸借対照表に計上されているかを確認するためです。

さらには実査の過程で、固定資産の保管状態を把握することも重要な役割だったりします。

こちらは、画像識別技術を搭載した小型ドローンを工場内に飛ばすことで、広大な工場内を効率的に実査することなどができそうです。

会計記帳の自動化

従来、会計記帳は主に人の手により入力されていました。

ところが、画像識別技術が発達により、書類の画像を撮影するだけで自動で会計記帳ができるようになってきています。

こちらの技術はすでに世の中に出ており、大手会計事務所の1つであるデロイト・トーマツでは

AIを利用したOCRシステム

を開発しています。

このシステムは定式化した帳票テンプレートを用いることなく読み込むことができ、またパン屋さんのケースと同様、AIの力で識別能力が向上していくという特徴があります。

勤怠管理の自動化

人の管理に使うことは賛否ありそうですが、画像識別技術で勤怠管理も自動化できそうです。

例えば出勤管理において、現在はタイムカードをリーダーに読み取らせたり、ちょっと進んでいるところでは指紋認識などで管理しているところが多いかと思います。

この点、ドアのところに識別デバイスを設置しておけば、入退室を自動で記録し、従業員のより精緻な勤怠管理を行うことができます。

勤怠姿勢の評価

出勤管理から、さらに利用を進めれば、従業員の勤務姿勢を評価することができると思います。

例えば従業員が集中して作業している時の姿勢や動き、言動を分析することで、作業中の従業員の生産性を測定することができそうです。居眠りなども効果的に検出されてしまうかもしれません。  

このようなデータを元に、従業員の勤務姿勢を分析することができれば、生産性の改善に役立てることができるかもしれません。

ただし、このようなデータで従業員評価されるのはすこし恐いきもしますね。

上司から、

「データによると今期は集中できていないから、評価はマイナスだ。」

と言われて客観的データを見せられたら、反論の余地がありません。

 

さて、いかがでしょうか。

今回は、パン屋さんがAIレジを導入したというニュースから、今後の会計業務に与える影響を考察してみました。

画像識別技術の進歩はおそろしいスピードで進んでいます。生命体は古代、「目」を獲得したことにより爆発的な進化を遂げたという論があります。画像識別技術はAIにとっての「目」に当たる技術であり、この動向からは目がはなせません。

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