シンガポール経由での日本不動産投資では、税の「二重減免」が可能となってしまい、法人税と配当課税の両方が軽減されているという日経記事。
ポイント
これは、日本の特定目的会社(TMK)を通じた投資スキームで、資産流動化法により利益を圧縮し、さらに租税条約により配当課税も軽減される構造。
実際に2020~2022年の3年間で、約6400億円の配当がシンガポールに流れ、税率5%で済み、本来の20%課税と比べて約987億円の税負担が回避された。
こうした「二重減免」は、租税条約の抜け穴によるものであり、他国との条約では塞がれているが、シンガポールとの条約(1995年締結)では未改定のまま。
国税当局も課税処分を検討したが、違法とは言えず、課税を見送った。
専門家からは、「条約や国内法の見直しが必要」「今のままでは日本の税収が不当に減る」といった制度改正の必要性を指摘する声もある。
感想
この報道は、シンガポール法人が日本に投資する上での優位性を改めて浮き彫りにするものです。合法的に税負担を抑えることができるこのスキームは、シンガポールを拠点とする企業にとって非常に魅力的です。
特に次の点が重要です:
- 日本のTMKスキームとシンガポールの租税条約により、税務上の効率が非常に高い。
- シンガポールを経由することで、日星租税条約適用後の配当課税率は5%と非常に低水準。他国ではすでに塞がれている「二重減免」もシンガポール経由では可能。
- シンガポール自体が国際金融センターとして機能しており、投資ファンドやSPC設立が容易で、資金調達や出口戦略も柔軟。
制度が見直される可能性もあるとはいえ、現時点ではシンガポール法人を活用して日本に投資するのは極めて有利な状況であるといえます。
税制だけでなく、法制度や実務面でも非常に整っているシンガポールからの投資は有用で、少なくとも法改正が行われるまでは、今後もシンガポールから日本への投資スキームが利用されるのではないでしょうか。
海外マネーがシンガポールを通じて日本の不動産などに投資されると、多額の利益に対して税負担がわずかになる実態が国税関係者へ…