シンガポール金融庁が、2024年上半期の経済動向レポートを公表しました。グローバル経済、シンガポール経済、労働市場、インフレの4項目について、現状の分析と今後の見通しを分析しています。
以下、ポイントについてまとめておきたいと思います。
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グローバル経済
- 世界経済:数四半期の低迷を経て、年初から世界経済活動が勢いを増した。
- アジア経済:シンガポールの多くの貿易相手国、特にアジアの経済圏では、米国からの強いICT投資需要に支えられ製造業活動と商品の輸出が増加した。
- 中国経済:中国の成長は強い輸出によって支えられており、民間消費が減速しているにもかかわらず堅調。
- 新興国経済:24年後半の金融政策緩和、労働市場の安定で、新興国投資は引き続き堅調。
- 先進国経済:サービスインフレ高止まりで、インフレ緩和は緩やかも、下半期から来年にかけて徐々に緩和予想。
- 世界経済のリスク:インフレ上振れリスク、供給の混乱、輸送・物流コストの上昇リスクがある。
シンガポール経済
- GDP成長:2024年第2四半期において、シンガポールのGDPは前四半期比で0.4%増加し、第1四半期の0.3%の増加に続き上昇。前年同期比では、GDP成長率は2.9%のプラスも若干減速。2024年全体は、2〜3%を見込む。
- 製造業:製造業の生産は前四半期の収縮後に安定、
- 輸送関連産業:港湾活動の増加、米国による中国輸出規制の前倒し出荷に支
- 貿易関連産業:世界のテクノロジーサイクル拡大の恩恵で成長維持。
- サービス業:主要中央銀行による金利引下げで成長強化。
- 旅行関連産業:世界の旅行産業回復のトレンドより、引き続き強い。
- 国内消費サービス:2024年の国内消費サービスは、パンデミック前のレベルに回復。
労働市場
- 労働市場の状況:労働力不足が緩和され、 2024年上半期は、国内労働市場の過度な逼迫が緩和される可能性が高い。全体的な採用意向は減少し、ほとんどのセクターでの採用率も低下。
- . 労働市場の見通し:2024年下期は景気循環の回復が予想されるものの、労働市場は完全雇用に近い状態を維持。労働需要はセクターごとに異なり、国内は軟調、対外セクターは強い。
- 賃金の見通し:名目賃金の伸びはコロナ前からわずかに高い水準も、生産性の上昇で単位労働コストへの影響は緩和予想。
インフレ
- インフレの状況:シンガポールのインフレは緩和しており、前年比のコアインフレ率は第1四半期の3.3%から第2四半期には3.0%に低下。輸入コストの緩和と軟調な国内消費者支出による。
- インフレの見通し:コストへの新たなショックがない限り、シンガポールのインフレ率は引き続き緩和。シンガポールドルの上昇、賃金の伸び緩和で、特に第4四半期から25年にかけてより顕著に下落予測。
- コアインフレ率予測 :通年のコアインフレ率は、平均2.5%-3.5%の中間値付近で推移。GST1%引上げの影響を除くと、1.5%-2.5%。さらに2025年には2%前後まで下落と予測。
- インフレ変動のリスク要因:地政学的緊張の激化、国内総需要の予想外の強さがインフレ上振れ要因。金利の予想以上の長期高止まりが、インフレ下振れ要因。