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【書評・レビュー】「グローバル・ジャパニーズ」:一流の海外駐在員を目指して。

長いキャリア人生において、海外駐在のチャンスに巡り合う仕事人も少なくありません。

駐在中は、日本では味わえないような貴重な経験を積むことができる一方で、想定外の苦労を負うこともしばしばあります。

普段と違う環境の中、必ずしもすべての駐在員が駐在期間中に期待された成果を上げることができるわけではありません。

駐在を成功させるためには、正しい姿勢や行動規範が必要であると考えますが、本書『グローバル・ジャパニーズ:一流の海外駐在員を目指して』は、駐在員が赴任決定から赴任後において参考にすべき31の項目について解説してくれます。

グローバル・ジャパニーズ:一流の海外駐在員を目指して

著者は松下電器産業に入社し、ドイツ、ロシア、シンガポール、インド、アメリカと計19年の海外駐在経験を有し、現在は日系企業のアメリカ子会社でCEOを務める中原基喜氏です。

著者によると、近年の環境変化により、日本人駐在員に求められる役割も変わってきています。既存組織に迅速に適応し、求められる業務を遂行し成果を出す能力が求められているといいます。

日本が経済大国から後退し、赴任先国のローカル社員との関係構築がますます重要となった昨今において、駐在員が意識すべき内容も変わってきています。

当記事では、本書に記載されている、駐在員が留意し、行動の参考にすべき31の項目についてチェックリストを紹介したいと思います。

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駐在チェックリスト

本書では、目次の項目一つ一つが、駐在員が心に留めるべき行動規範として章立てされています。

こちらの目次リストを度々見返すことで、駐在前から駐在後にかけて成果を出すことができるのではないでしょうか。

書籍の中では、著者の実体験を踏まえて、各項目について詳細に解説されており、より納得感を得て学びが深まる仕様となっています。

ぜひ本書の内容を読んで各項目を腹落ちさせ、実際の駐在生活に活かしていただければと思います。

さいごに

本書において「三流、二流、一流の駐在員の条件」が紹介されています。

曰く、

三流の駐在員は成果を残す

二流の駐在員は組織・仕組みを残す

一流の駐在員は人を残す

これは聞いたことがある方も多いかもしれませんが、オリジナルは「駐在員」ではなく、三流、二流、一流の「社長」の条件を言い換えた格言です。

組織のリーダーたる社長にしろ、いちスタッフである駐在員にしろ、一流とは成果を出し、組織・仕組みを作り、優秀な人を育てることなのだと思います。

本書を参考にすれば、駐在中に成果を残すことはもちろん、その後の後任駐在員のために組織や人を残すこともできるのではないかと思います。

本書は海外駐在員はもちろん、外国企業や海外スタッフと仕事をする際にも参考になる良書です。外国人のマネジメントのためにも、ぜひチェックリストとして活用されることをお勧めします。

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