シンガポールの会計・財務アドバイザリー

シンガポールが最新の金融政策を公表(22年10月発表)。さらなる金融引き締め、円安加速か。

2022年10月14日にシンガポールの中央銀行の機能を担うシンガポール金融庁(MAS)が、最新の経済見通し、金融政策について公表しました。

シンガポールの金融政策は、5回連続の金融引き締めとなり、金融緩和を続ける日本とのギャップが拡大、円安シンガポールドル高が加速する結果となっています。

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シンガポール金融庁(MAS)が半期ごとに公表している「MacroEconomy Review」が2021年10月28日に公表されました。本レポートのハイライトについて、当記事で紹介します。詳細な内容についてはリンク先の原文をご参照下さい。[…]

シンガポールの為替政策について

・政策バンドの中央値を、実勢水準に上方シフト(シンガポール高方向)
・シンガポールの指標金利(SORA)は2.1%から3.4%へ上昇

高いインフレ率を抑制するため、シンガポール金融庁は、金融政策のさらなる引き締めが必要であると評価、政策バンドの中央値を実勢水準にシフトさせることを決定しました。

(Source: MAS HP)

なお、政策バンドとは、「シンガポールドル名目実行為替レート(S$NEER)」のことであり、為替相場の変動幅が一定の範囲内(為替バンド)内に収まるように、「傾き、幅、中央値」を調整して決定します。為替目標レートを、主要な貿易相手国の通貨を貿易量で加重平均する通貨バスケット制度をとっており、毎年4月と10月に調整されます。

これを受けて、シンガポールの指標金利であるシンガポール翌日物金利平均(SORA)も、2.1%から3.4%へ上昇、10年以上ぶりの高金利となっているとのことです。

シンガポール経済の見通し

・インフレ率が高い状態が継続、世界経済の成長も鈍化
・2022年のGDP成長率は3-4%
・2023年の成長率は下回ると予測される

シンガポール経済は2022年の第3四半期は前四半期比+1.5%と、第2四半期の0.2%縮小から回復しています。

これは主にCovidの規制緩和による、国内、旅行セクターの回復が貢献していると報告されています。一方で、製造業、金融サービスは振るわず、これはの外需の軟化によるとのことです。

今後も金融引き締めにより世界経済は軟調、一部主要国で景気後退となる可能性があり、シンガポールの製造業や一部貿易関連サービスの見通しは後ろ向きとみられています。

インフレの動向

・コアインフレ率は前年比4.9%
・堅調な需要の中で、商品、サービスのインフレが主要因

シンガポールのインフレ率は、前年比4.9%と、第2四半期の3.8%から上昇。世界的なエネルギー、食料コストの上昇が影響していると報告されています。また、民間交通機関や宿泊施設のインフレも加速。

2022年後半から2023年上半期にかけても、需要要因、供給要因ともに上昇、労働市場の逼迫による賃金上昇もあいまって、依然高いインフレ率が継続する見通しです。

2023年後半には労働市場の需給調整やコスト圧力の緩和によりインフレ率は減速すると予測しています。

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