【シンガポール・GST】輸入サービスに係るGST課税の概要。(リバース・チャージ等)

シンガポールでは日本の消費税制度に該当するGST(Goods and Service Tax)が適用されており、原則7%の税率となっています。

GSTは課税の対象となる物品やサービスが詳細に決められており、取引時には注意が必要な税金となります。

特に、目に見えない取引対象である「サービス」について、デジタル経済の進展により、取扱が複雑になっています。

今回は、シンガポール国外からシンガポール内の会社や個人に提供される「輸入サービス(Imported Services)」について概要を解説したいと思います。

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輸入サービスに係るGST課税の概要

原則としてGSTは、シンガポール国内で消費される物品、サービス(のうち課税対象取引)について課税されます。

そのため、2020年1月1日以前は、シンガポール国内のサービス提供者によるサービスがGST課税の対象となる一方、シンガポール国外のサービス提供者によるサービスは非課税という取扱いでした。

この点、国内サービス事業者と国外サービス事業者の公平性を保つ観点から、2020年1月1日から輸入サービスについても一定のGST課税がなされるよう、以下の取扱いが施行されました。

・輸入サービスのB2B事業者については、リバース・チャージ制度(Reverse charge regime)を適用する

・輸入デジタルサービスのB2C事業者については、海外事業者登録制度(Overseas vendor registration regime)を適用する

B2B事業者とは、シンガポール国内のGST登録事業者に対してサービス提供する者をいいます。GST登録事業者には、会社やパートナーシップ、個人事業主などが該当します。

B2C事業者とは、GST登録をしていない者に対してサービス提供をする者をいいます。GST登録をしていない者には、GST非登録会社のほか、個人も該当します。

さらに、2021年度の税制改正案では、2023年1月1日以降、B2C事業者のデジタル以外の輸入サービスについても、海外事業者登録制度(Overseas vendor registration regime)を適用し、GST課税の対象に入ってくることが公表されています。以下具体的に見ていきたいと思います。

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B2B事業者の輸入サービス:リバースチャージ制度

国外のB2B事業者がシンガポール国内の会社等へサービスの提供を行う場合は、サービスを受ける者がGST登録事業者である場合と、そうでない場合で取扱が異なります。

サービスを受ける者がGST登録事業者である場合

以下に該当するGST登録事業者にはリバースチャージ制度(Reverse Charge)が適用されます。

1.部分免税のGST登録事業者(Partially exempt business)である場合

2.GST登録事業者である非営利のチャリティやボランティア福祉団体

部分免税のGST登録事業者」には、IRASのガイドラインに”Reguation 34 businesses”として例示規定されていますが、金融機関やリース会社、保険会社などが該当します。

リバース・チャージ制度では、海外事業者から提供を受けたサービス(輸入サービス)に係るGSTについて、サービス提供者としてのOutput GST(仮受消費税)を計上し、一方でサービス受領者としてのInput GST(仮払消費税)を計上します。(一部サービスについてはリバース・チャージの対象外となります。)

要は、仕入者として支払ったGSTと、販売者として受け取った(と想定する)GSTを両方会計計上し、納税する必要があるということです。

これは、シンガポール国外の事業者は原則としてシンガポールでGSTを納税する義務がないため、サービス提供を受けるシンガポール国内の事業者等が代わりに納税するというようなイメージです。

サービスを受ける者が、上記に該当しないGST登録事業者である場合は、リバースチャージ制度は適用されないため、輸入サービスのGSTに関して特に処理は不要です。

サービスを受ける者がGST登録事業者ではない場合

輸入サービスの12ヶ月間合計が1百万シンガポールドルを超える場合は、GST事業者としての登録が必要になります。

この場合、上記の1及び2に該当する事業者である場合はリバースチャージ制度が適用されますが、そうでなければ特に処理は不要です。

B2C事業者の輸入デジタルサービス

次に、国外のB2C事業者シンガポール国内の会社や個人等にサービス提供を行う場合は、2020年1月1日以降、以下の条件に該当する場合に海外事業者登録制度(Overseas vendor registration regime)に従い、国外B2C事業者シンガポールにおいてGST事業者登録することが求められます。

1.年間の世界売上が1百万シンガポールドル

2.シンガポール国内の顧客に対して、10万シンガポールドルを超えるデジタルサービスを提供している

GST登録事業者となった場合、シンガポール国内の顧客に対するデジタルサービスの提供について、GSTの課税及び納付が必要となります。

B2C事業者のデジタル以外の輸入サービス

2021年度の税制改正案により、2023 年1月1日以降、B2C事業者のGSTに関する海外事業者登録制度(Overseas vendor registration regime)は、デジタルサービス以外の輸入サービスにも拡大する予定です。

デジタルサービス非デジタルサービスは、遠隔サービス(remote services)として整理されます。

デジタルサービスの例

・ダウンロードできるデジタルコンテンツ
・メディアのサブスクリプション
・ソフトウェアプログラミング
・クラウドストレージなどの電子データ・マネジメントサービス

非デジタルサービスの例

・投資アドバイスやコンサルティングなど専門家サービス
・オンラインカウンセリング、遠隔医療などのパーソナル・サービス
・教育試験サービス専門家機関のメンバーシップ

シンガポール国外からの遠隔サービス(remote services)の提供事業者で以下の基準に該当するものは、海外事業者登録制度(Overseas vendor registration regime)に従い、シンガポールでGST事業者登録をする必要があります。

1.年間の世界売上が1百万シンガポールドル
2.シンガポール国内の顧客に対して、10万シンガポールドルを超える遠隔サービスを提供している

電子マーケットプレイス運営者

2020年1月1日以降、特定の状況において、電子マーケットプレイス運営者(electronic marketplace operator)は、シンガポール事業者または海外事業者に関わらず自社のマーケットプレイスを通じた海外事業者のデジタルサービスの供給者とみなされる場合があります。

GST事業者登録義務を判定するにあたり、マーケットプレイスを通じたデジタルサービス提供金額を含める必要があります。

GST登録事業者に該当する場合は、自社のマーケットプレイスを通して行われたB2Cのデジタルサービスについては、自社がシンガポールの顧客に対して直接供給したデジタルサービスに加えて、海外供給者が提供したサービスについても代表してGSTを課税し、納付する必要があります。

2023年1月以降は、デジタルサービス以外の遠隔サービス(remote services)についても、上記の規定が適用される予定です。

詳細な論点ですので、該当しそうな事業者はGST納税の義務について慎重に検討する必要があります。

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