シンガポールは、スタートアップ・中小企業に対して補助金や融資など様々な支援を提供しています。
企業に対する補助金や融資は「エンタープライズ・シンガポール」が管轄しています。
エンタープライズ・シンガポール(Enterprise Singapore)は、2018年にシンガポール国際企業庁とSPRING(規格・生産性・革新支援機関)が合併して設立された、企業発展の支援機関。補助金(Grant)、政府融資(Loan)、Tax Incentive(税務優遇制度)の許認可などを取り扱っている。
今回は、スタートアップ企業及びローカル企業(シンガポールで設立された会社)向けの補助金(Grant)について紹介したいと思います。
スタートアップ向け補助金
1.スタートアップ・SG・ファウンダー
スタートアップ・SG・ファウンダー( StartupSG Founder)に選定された会社は、スタートアップ助成金として50,000SGDの提供を受けることができます。また、ベンチャー企業の育成に実績のある、エンタープライズ・シンガポールの認定メンターパートナー(AMP)からイノベーションや資本調達についての支援・助言を受けることができます。
ただし、当該制度はシンガポール国民及び永住権者(PR)のみ利用することができます。
2.スタートアップ・SG・テック
スタートアップ・SG・テック(Startup SG Tech)は、スタートアップ企業の独自技術の商業化のためのアーリーステージ資金サポートを目的とします。
知的財産(IP)や知的資産(IA)を含む独自技術(Proprietary Technology)の開発が対象であり、既存技術の統合などは含まれません。技術が商業的に実行可能であるかが審査されます。
スタートアップ・SG・テックに応募するためには、以下の要件を満たす必要があります。
・設立後5年未満のスタートアップ企業
・グループ年間売上高1億ドル以下、またはグループ雇用者数200人以下
・少なくとも30%についてシンガポール人・永住権者(PR)が株式保有
また、主たる事業はシンガポールで実施され、申請時にプロジェクトが開始されていないことが要件になります。
以下のような事業領域が申請の対象となります。
・高度な製造業、ロボット工学
・生物医学、ヘルスケア
・ クリーンテック
・IT技術
・ブロックチェーン、ARなどの新規技術
・精密工学・DX・バイオ食品・技術
現地企業向け補助金
3.生産性ソリューション補助金
生産性ソリューション補助金(Productivity Solutions Grant:PSG)は、生産性を高めるIT技術の活用に対する補助金であり、生産性を向上させるITソリューションやIT機器の購入に補助金が提供されます。
生産性ソリューション補助金を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
・シンガポールで登録・事業運営されている
・ITソリューション・IT機器の購入、リース、サブスクリプション
・少なくとも30%の株式をローカル(シンガポール人、PR)が保有している
・グループ年間売上高 1 億シンガポールドル未満、または従業員数が 200 人未満
4.マーケット準備支援補助金
マーケット準備支援補助金(Market Readiness Assistance :MRA Grant)は、中小の海外事業展開を支援する補助金です。
以下の支援を受けることができます。
ー海外市場プロモーション(上限20,000シンガポールドル)
ー海外事業展開(上限50,000シンガポールドル)
ー海外市場の立ち上げ(上限30,000シンガポールドル)
各申請は、例えば「見本市への参加」や「市場の参入調査」など単一の海外市場での1つの活動に制限されます。(例:市場参入、見本市への参加)
マーケット準備支援補助金を受けるためには、基準を満たす必要があります。
・シンガポールで登録・事業運営されている
・申請者が過去3年間の海外売上高で100,000シンガポールドルを超えていない海外市場をターゲットにする
・少なくとも30%の株式をローカル(シンガポール人、PR)が保有している
・グループの年間売上高が1億シンガポールドル以下。または会社のグループ雇用規模が200人以下
5.企業開発補助金
企業開発補助金(Enterprise Development Grant :EDG)は、事業の発展、海外市場でのイノベーション等を支援する補助金です。
「コア機能」(自社ビジネス基盤の強化)、「イノベーション・生産性」、「市場参入」に対する対象プロジェクトの外注費用、IT機器等の購入費、内部人件費に対して補助金を提供します。
企業は次の基準を満たす必要があります。
・事業体はシンガポールで登録/法人化されている
・新しい市場参入基準、つまり、申請者が過去3年間の海外売上高でS $ 100,000を超えていない海外をターゲットにする
・少なくとも30%の株式をローカルが保有
・グループの年間売上高が1億シンガポールドル以下。または会社のグループ雇用規模が200人以下
さいごに
シンガポールで事業運営を行う場合に補助金を受け取ることができれば、企業の成長や競合企業との競争において有利に事業展開することができます。
要件が該当する場合は、補助金の申請を検討することをおすすめします。
なお、当記事で紹介した補助金は、執筆時現在の情報になります。最新の情報については、Enterprise SingaporeのHPをご参照ください。
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