各国のリスクと回復力はどのようなもの?2021年度世界回復力指数(Global Resilience Index)。

150年の歴史を有する、米国の相互保険会社FM GLOBALがGlobal Resilience Index (世界回復力指数)を発表しました。

このGlobal Resilience Index (世界回復力指数)は、130ヶ国を対象にリスク、及びそれ対する回復力を評価し、ランク付けするものです。

2021年度のGlobal Resilience Indexは、トップのデンマーク2位のノルウェイを筆頭にランキング上位は北欧各国が占めていますが、この中でシンガポールは12位と健闘、前年の22位から上昇しています。

(Source: Global Resilience Index 2021)

当記事では、Global Resilience Index (世界回復力指数)について解説したいと思います。

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Global Resilience Index (世界回復力指数)とは

Resilienceとは、「弾力性」や「回復力」というニュアンスです。

Global Resilience Index (世界回復力指数)は、各国のリスク、特に企業が操業を中断されるリスク、そしてそこから立ち直る力を評価し、数値化のうえランク付けするものです。

具体的には、経済(Economic)リスク・クオリティ(Risk Quality)サプライチェーン(Supply Chain)のカテゴリーで評価されます。

経済(Economic)

経済(Economic)ファクターは、リスク回復力の、政治・マクロ経済への影響。生産性、政治リスク、石油強度、都市人口集中率が評価されます。

評価指標

・生産性(Productivity)
・政治リスク(Political Risk)
・石油強度(Oil Intensity)
・都市人口集中率(Urbanization Rate)

リスク・クオリティ(Risk Quality)

リスク・クオリティ(Risk Quality)ファクターは、商業・産業用不動産に関連するリスクを計測。具体的には、自然災害、火災リスクやサイバーセキュリティリスクなどが含まれます。

評価指標

・自然災害
への露出(Exposure to Natural Hazard)
・自然災害リスクへの対応(Natural Hazard Risk Quality)
・火災リスクへの対応(Fire Risk Quality)
・サイバーリスク(Inherent Cyber Risk)

サプライチェーン(Supply Chain)

サプライチェーン(Supply Chain)ファクターは、汚職の対応、インフラの質、コーポレート・ガバナンス、サプライチェーンの程度から評価される。

評価指標

・汚職への対応(Control of Corruption)
・インフラの質(Quality of Infrastructure)
・コーポレートガバナンス(Corporate Governance)
・サプライチェーンの程度(Supply Chain Visibility)

シンガポールのGlobal Resilience Index (世界回復力指数)

シンガポールのGlobal Resilience Index (世界回復力指数)は以下のとおりです。

(Source: Global Resilience Index 2021)

インフラの質で世界1位、政治リスクや汚職への対応、ガバナンスなどで世界2位となっています。

一方で、石油強度(Oil Intensity)が調査した130カ国中129位であり、これが総合ランキングの足を引っ張っていると言えそうです。

石油強度(Oil Intensity)とは、石油消費量をGDPで割った値であり、経済の石油消費への依存度を表します。小国でGDPが小さい割には、先進国で石油消費量が大きいことが原因でしょうか。

また、サイバーリスクについても116位と低い結果になっていますが、シンガポールはIT先進国であり、行政手続きもかなりIT化が進んでいるためサイバー攻撃への影響が大きいことも理由にありそうです。

 日本のGlobal Resilience Index (世界回復力指数)

日本のGlobal Resilience Index (世界回復力指数)は以下のとおりです。

(Source: Global Resilience Index 2021)

特に目立ったものはないですが、インフラへの質、サプライチェーンについての評価が高い一方、自然災害への露出で低い評価となっています。

さいごに

同じアジアの金融センターとしてシンガポールと比較される香港は、前回の19位からランクを落とし、26位となっています。

これは主に政治リスク(Political risk)の評価項目において26位から81位と大きく下げた事によります。レポートによると、民主化運動の激化中国からの締め付けが影響しているとのこと。

シンガポール、香港はアジア統括会社の設置国として検討される代表的な国ですが、海外進出を検討する際に地政学的、政治的、経済的リスクとリスクへの対応力は、重要な検討項目となります。

進出国を決定する際の参考情報として、Global Resilience Index (世界回復力指数)に関するレポートは参考になるのではないでしょうか。

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