「お金持ちはどのようにお金持ちになったのか?」
これは、誰しもが興味のあることだと思います。
この疑問に答えるべく、大手会計事務所PwC(プライスウォーターハウスクーパース)が、「ビリオネア」(資産10億ドル以上の人)に対する科学的な調査を実施しています。
この調査は、
「10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか」
という書籍にまとめられています。
今回は、本書をもとに、会計経理職で働く仕事人がお金持ちになるために心がけるべきことについて、考察したいと思います。
意外なビリオネアの特徴
PwCの調査結果から見るビリオネアの特徴は意外なものでした。それは、
・75%が営業を経験している。
・80%がレッドオーシャンで成功している。
というもの。この結果はちょっと意外ですね。
成功者というと、地道に仕事でスキルを磨くというよりは、天才的な発想力で一気呵成にお金持ちになってるイメージがあります。
しかも世の中一般的には、
「ブルーオーシャンを見つけてそこで戦え!」
的な風潮がありますが、ビリオネアの大半は競争の激しい「レッドオーシャン」で成功しています。
どうやら思っているよりかは、地味に大富豪になれるようです。
ビリオネア特有のメンタリティ
もちろん、レッドオーシャンな業界で普通に仕事のスキルを磨いているだけではビリオネアにはなれません。
本書によると、ビリオネアは特有のメンタリティを持っているということです。
それは、「ビリオネア・マインド」。
ビリオネアの精神。そのままですが、具体的にはどのようなものでしょうか。
PwCが発見したビリオネア・マインドの定義は次の通りです。
これは、簡単にいうと
『普通の人がバラバラに捉える物事を、一つにまとめる能力』。
例えば、
・ バラバラに見える事柄をどんどん繋げて、一つの巨大なアイデアにする
なんとなくイメージはわかりますね。
創造性というのは、何かとてつもなく新しいものを生み出すことではなく、既存のアイデアを組み合わせることだといわれます。
「ビリオネア・マインド」とは、要は創造性を持つということ。
たとえばコンサルタントや国家資格試験を合格したような弁護士や公認会計士など、論理的でアタマが良いといわれる人は、どちらかというと物事を単純化し、シンプルにしてしまいます。「要するに●●」と、なんでも要してしまう人たち。
これはおそらく「ビリオネア・マインド」に向きません。
会計経理職の業務は更にひどい。会計経理系の業務はもっぱらタスク毎に業務を切り分け、できるだけルーティン化、マニュアル化してしまう。
これでは「ビリオネア・マインド」を育むことはできないでしょう。
会計経理職の人がビリオネアになるには
お金持ちになるには、「ビリオネア・マインド」が必要であることがわかりました。
それでは、会計経理職に従事する方に当てはめるとどうなるでしょう。私見とはなりますが、考察したいと思います。
会計経理職がビリオネアになるためには
1.共感と想像力をもつ
共感、つまりは他者が何を求めているかを感じ取る能力を高め、未来の技術や社会がどのようになっているか思いを巡らせましょう。
共感力は相手を思いやる気持ちを持っていれば自然と高まります。
想像力は、自ら経験したもの、見たり聞いたりして知っているものからでしか生まれません。
そのため、目の前の業務に忙殺されるだけではなく、色々なことに挑戦し、海外旅行に行き、本や映画に嗜むことでインプットを増やす必要があります。
2.ルーティンワークに想像力を働かせる
会計経理職の仕事にはルーティン業務が多いです。というより、基本はルーティンであり、ルーティン化できない社員は能力がないとみなされます。
会社の経理にしても、税理士事務所の申告にしても、監査法人の会計監査にしても基本的に法令に従って、毎期同じ作業となるまで落とし込むのが理想です。
そんなルーティンワークの中でも想像力を働かせて、より効率的にならないか?より良いものはないか?を常に問い続けることが大事でしょう。
3.多様な人、自分とは正反対の人、を仲間にする
前述のとおり、ビリオネア・マインドとは「対立や矛盾を包含する能力」であり、この能力を鍛えるためには、様々な視点を取り入れる必要があります。
会計人材業務、特に会計事務所や税理士法人などプロフェッショナルファームで働いている人は、同じような資格、同じような大学で同じようなライフスタイルを送っている人から構成されがち。
なるべく自分とは別のジャンルに生きる人と繋がり、多様な視点を取り入れるようにしましょう。
本書によると、
90%のビリオネアは成功するまで複数の事業を実施している
と報告しています。
チャレンジし続ける人だけに、ビリオネアとなる幸運が舞い込むのでしょう。
私も日々「ビリオネア・マインド」を抱いて仕事にあたっていきたいと思います。