シンガポールでは、個人所得税は原則として、納税者自身が申告することになります。
つまり、日本のように、会社に勤めている場合は給与から天引き(源泉徴収)され、年末に調整を行えばいいというわけではなく、各納税者が主体的に申告・納税をする必要があります。
申告時期について
毎年1月下旬~2月に、シンガポール税務当局(IRAS)から手紙及びSMS(ショートメール)にて、申告が必要である旨及び期限が通知されます。
年間の収入が22,000SGD以上あるにもかかわらず通知が届かない場合は、免税であることが明確、またはIRASより免税の通知を受けているなどの場合でないかぎり、納税義務の有無についてシンガポール税務当局(IRAS)に問い合わせる必要があります。
会社に勤めている場合
7人以上の従業員を有する法人はAuto-Inclusion Scheme(AIS)への加入が強制されます。AIS法人は、3月1日までに従業員の給与や手当等が記載された年間給与明細であるIR8Aを発行し、シンガポール税務当局(IRAS)に従業員の給与情報を通知します。IR8Aは、日本における源泉徴収票に似たものとなります(ただし、日本とは異なり申告手続きは納税者自身で行う必要があります。)
従業員はIR8Aに記載された給与等の所得や所得控除(Tax Relief)等を所得税計算に含めて申告します。電子申告する場合は、個々人の申告ポータルサイト上において、既にIR8Aの所得情報が更新されています。
申告期限
3月末~4月までに申告書を提出します。申告期限は年によって異なりますが、2019賦課年度は以下の期限となっています。
・紙面による申告:4月15日
・電子申告:4月18日
日系企業がシンガポールに進出した場合、駐在員の個人所得税申告をタックス・エージェント(Tax Agent:税務申告を代行する会計事務所など)に依頼する場合が多いですが、その場合は事前に申請することで、申告期限を6月末まで延長することができます。
IRAS-Auto-Inclusion Scheme (AIS) for Employment Income
納税手続
申告後、シンガポール税務当局(IRAS)より、納税通知(Notice of Assessment;NOA)が交付されます。交付の時期は決まっていませんが、2~3か月後に届くことが多いようです。納税者は納税通知交付後、1カ月以内に納税する必要があります。
納税方法は、①銀行口座自動引き落とし(GIRO)、②電子決済、③クレジットカード、④電信送金が認められていますが、シンガポール税務当局(IRAS)は、銀行口座引き落とし(GIRO)の利用を推奨しており、大多数の納税者はこの方法を利用しています。主な特徴は以下の通りです。
納税方法 | 主な概要 | |
銀行口座自動引き落とし | GIRO | ・支払人の銀行口座に自動引き落としを設定する方法。 ・一度設定すれば毎年自動で支払われるため、便利納税者の大多数が利用する。 ・無利息の12か月分割を利用できる。 ・申告システム(myTax Portal)、インターネットバンキング、ATMから設定可能。 |
電子決済 | Electric Payment Modes | ・インターネットバンキング、ATM、AXS,、SAM等から支払い可能。 ・AXS、SAMはシンガポール街頭にある専用端末で24H利用可能。 ・取引手数料がかかる。 |
クレジットカード | Credit Card | ・一般的な方法ではないため、クレジットカードを発行している銀行へ問い合わせが必要。 ・上記のAXS端末では、マスターカードでの支払いが利用できる。 ・クレジットカード会社の手数料が高いため、IRASでも利用していない。 |
電信送金 | Telegraphic Transfer | ・海外在住者からの支払い、および上記のいずれでも支払いが不可能な場合のみに認められる。 |
まとめ
シンガポールにおける個人所得税の申告と支払手続きに関する時系列まとめは以下のとおりです。
申告・納付期限に遅れないように準備しましょう!